第601話 ウミヅリ王国の、あの3人の話をしよう配信
~~新シンギタイ 『心の鷹』メンタル~~
「おめでとうございますっ! これより、新シンギタイの面々はCランクパーティーとなりましたっ!」
パチパチパチッと、受付嬢さんの賛辞。
そして周囲の冒険者仲間達による、賞賛と嫉妬。
それらを受けつつ、私は、新シンギタイのリーダーであるメンタルは。
「光栄に思います」
と、当たり障りのない言葉を吐くのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あぁ……とてもしんどい、であります」
宿屋に戻り、そのままベッドへとダイブした私は、今の心境をそう吐露する。
「お疲れ様~。今日も良いテクニックだったよ、他の先輩方も賞賛してたし」
「メンタル、おつかれ。フィジカル、なぐさめる?」
そう言って励ましてくるテクニックとフィジカルの2人に、「だったら、あなた達も前に出て」と返す。
「大変なんですよ、調整。皆にバカにされないように、皆の希望の象徴となるというのは」
「分かってますって~。その辺のテクニックの難しさは」
「はいしん、教えてくれる」
いま、私達新シンギタイの3人は、創造主様たるススリア様に頼まれた『ウミヅリ王国での冒険者としての確固たる地位』とやらのために、Aランク冒険者になるため、活動している。
しかし、このAランク冒険者というのが、単純な戦闘能力だけではないのが厄介すぎるのだ。
「――依頼主やギルド、さらには他の冒険者達との、連携の捕れたコミュニケーション」
「――素行調査という名の、一定期間ごとに発生する強制調査」
「――ときおり来る、後輩冒険者のしどう。おしえる」
それらは全て、"信用できる冒険者"という地位を、Aランク冒険者という地位を得るのに必要な事、なんだそうだ。
「受付嬢さん曰く、冒険者としての一番上のランクは、一定以上の強さを持つ者がなれるAランク冒険者と、規格外の強さを持つ者がなれるSランク冒険者の2種類、なんだそうだ」
信用、信頼、実績。
それら全てを併せ持つ、まさしく冒険者の鑑とも呼ぶべき、Aランク冒険者。
そういうのを全く寄せ付けない、ただ圧倒的なる力のみでなれる、Sランク冒険者。
誰にでも分かる強さと、圧倒的な規格外の強さ。
私達、新シンギタイの3人が目指すのは、前者の方だ。
後者を目指すのならば、このような面倒なコミュニケーションだの、強制調査だの、後輩冒険者の指導だのとおさらばできる。なにせ、圧倒的な規格外の強さなのだから、そもそも他者に関わる事など、求められていないのだから。
そして、後者は目指すモノではない、らしい。気付いたらそうなっているモノ、なんだそうだ。
流石にそんなあやふやなSランク冒険者とやらになる方法は全く分からなかったため、こうして日々、地道に冒険者活動をしているというわけだった。
私達は、ゴーレムだ。
普通の生命体とは違って、疲れるという概念なんてモノはなく、定期的なメンテナンスさえしておけば、ほぼ半永久的に活動できる。しかしながら、そんな私達にもいくつか問題がある。
1つ目は、依頼だ。
いくら半永久的に活動できるとは言っても、ギルドに常に、私達が受領できる依頼があるというわけでは無い。もしかしたら隠しているだけかも知れないけれども、それは受付嬢さん達ギルド側がそこまで信頼を置いてくれていないからで、彼らが悪いというわけでは無い。
むしろここで、下手にギルド相手に文句を言って、依頼を奪い取って達成したとしても、それ以降の依頼を斡旋してもらえない可能性の方が高い。
長期的に、長い目で見れば、こうやってコツコツと地道にやっていくことこそが、冒険者としての正しい道のりなのであった。
2つ目は、仲間だ。
ウミヅリ王国に所属している冒険者は、ほとんどが人間だ。この場合の人間というのは、獣人族、魚人族など、"普通に生活している人間"のことを言い、私達のような造物ではないという意味である。
私達を作ってくださったススリア様に文句を言うつもりはない。私達の性能は非常に高く、これまでの依頼で苦戦したことなどほとんどない。
しかしながら、3人組のパーティーでは取れる戦略も限られてくるし、同じゴーレムでないと出来ない戦術もある。私達はこの3人だけで、常に冒険者として活動しなくてはいけないという事だ。
「3人で行動するのは、そもそもそういう風に作ってくださってますし、大丈夫なのですが……」
「あぁ~。"3人で"しか行動できないのよね~。2人が居ないと、冒険にいけな~い!」
「フィジカル、1人、むりっ!」
今回のように、ギルドに行って依頼を受け取るなどは、メンタル1人でも出来る。
しかしながら、冒険者として活動するとなると、3人揃って行動しないと、誰かが不慮の事故などで倒されてしまう可能性が高い。だから、依頼を受けると、3人揃って活動する事となる。
冒険者は、ただ冒険するだけでは無い。
装備を調えたり、情報を集めるのだって、大事な仕事の1つだ。
3人で冒険に行っている間、それらの作業が全部ストップしてしまうのが、足枷になりつつあった。
「「「せめて、パーティーを2つに分けられたら良いのに……」」」
3人は切実に望んでいた。
そう、新シンギタイの、新たな加入メンバーを!
新シンギタイも大変なのだ!!
そもそも、ススリアが適当に
「ウミヅリ王国で冒険者として活躍してこい」
といったのを遂行しようとしてるだけなのに……
ススリア、メンバーを与えろ(^o^)!!
ススリア「いや、あなたがするのでは……」




