第600話 【装着】の好奇心は何を殺すのか? 配信
――暗黒大陸。
それは、魔王ユギーや五本槍などの悪魔が存在する世界にある、意思のある大陸。空を飛び、自ら主となる者のための居城を生み出す大陸である。
そこには、現魔王ユギーが作り出した魔王城があった。
1000LDK、およそ50000平方メートル以上。
膨大な数の部屋には、娯楽目的の部屋、拷問部屋、食堂、牢獄、トラップエリア、訓練場など、ありとあらゆる部屋が用意されていた。
――その地下一番深くに、彼女と、2人は居た。
「ひっ、ひぃぃぃ! なんでこんな事をするでありんすか! 我らは同胞、いや同期でありんすよ!」
「あ、あぁっ! こんな戦闘と無関係な所で死ぬのは嫌ああああああああああああ!!」
悲鳴をあげる2人。この2人は、魔王ユギーの新生五本槍の2人である。
1人は、設定のダブルゼット。対戦アクションゲーム担当にして、炎と氷、その2種類を扱う特殊な女悪魔。
炎と氷、まったく正反対の属性を自由自在に、同時に扱うことが出来る女悪魔。男性と女性、そのどちらの特徴も有する両性類型の悪魔。その特性が故に、魔王ユギーから、"戦えば戦うほど自身を強化する"『格闘ゲーム』、"様々な効果をもたらすアイテムを自由自在に扱う"『パズルゲーム』という2つのスキルを魔王ユギーから与えられている悪魔。
自己強化と、効果付与。
自分自身はどんどん強くなっていき、そのダブルゼットと相手取る敵はどんどん弱くなっていく。
そんな強力なスキルを持つダブルゼットは現在、動けないように拘束されていた。
もう1人は、弱虫のディガンマ。ステルスアクションゲーム担当にして、身の丈50cmにも満たない小柄な悪魔。
かの悪魔はもの凄く小柄な悪魔。自分自身を生物、非生物問わず、その身の中に潜ませる事が出来る特殊能力を持ち、どこからでも相手を狩る事が出来る狡猾な悪魔。魔王ユギーからは自分自身を可能な限り分身させる特殊スキルを与えられ、1人で数百人にも及ぶ群れとして、敵を追い詰める。
敵はディガンマが、いつ襲ってくるかが分からない中で。
ディガンマに乗っ取られるか分からない状況下で、戦わなくてはならない。
そんな強力なスキルを持つディガンマは現在、動けないように標本にされていた。
2人の新生五本槍。魔王ユギーに新たに選出された2人は、もう1人の、新たに選出された3人目の五本槍によって地下室に囚われていた。
「いやぁ~! 氷炎を司る【設定】に、相手に潜む【弱虫】!
――このような素晴らしき悪魔に出会えるだなんて、五本槍になれて良かったぁ~でございますですよ!」
この2人を捕らえた悪魔は、装着のゲッコウ。別名、解剖の悪魔と呼ばれる、地雷系ファッションに身を包んだ犬耳女性のような悪魔であった。
ゲッコウは解剖のメスを手に取りながら、2人の新生五本槍を捕らえて、ニヒヒッと笑っていた。
「――そう、何を隠そうこの私こそ、魔王ユギー様の栄光にすがり! 悪魔を魔改造するためだけに現われた、この解剖の悪魔ゲッコウを!」
「たっ、助けて! 何かをするのならば、せめて戦った後にして欲しいのだが!」
「私はどうでも良いので、この標本から出して欲しいのです!」
2人はそう言って、逃がして欲しいと叫ぶ。しかし、ゲッコウはそんな2人の言葉を無視して、メスを叩き合わせて、カチカチッと音を鳴らす。
「自分の強化と、他者の弱体化。自分自身を強化しまくる【設定】。そして、生物と非生物のどちらにも潜り込むことによって、相手を強化して狂わせる【弱虫】。2人とも、どちらも素晴らしすぎる才能の持ち主で凄いでございますです」
「「そっ、それはどうも……」」
褒められ、めちゃくちゃ嬉しそうな2人とも。
たとえ囚われていようとも、自分自身の能力を褒められて喜ばない者は居ない。
「そんな素晴らしすぎる才能の持ち主たる、【設定】と【弱虫】の2人を合体わせると、どうなるかなぁ?」
「「――っ?!」」
2人はビクビクと、怯えていた。
分かってしまったからだ。これから自分達が、どういう姿にされるのかが。
「――さぁ、【設定】と【弱虫】の魔改造実験! このゲッコウが、めちゃくちゃカッコいい姿に変えて差し上げますなのだ!
うひひっ! うひっ、うひひひひひひひひひひひひひひ!!」
「「やっ、やめてくれぇええええええええええええええええええええええ!!」」
「やーだ、よ? あなた達の悲鳴なんかより、この私の興味津々さの方が優先されますなののだから」
ゲッコウはそう言って、解剖メスを2人に楽しそうに振るうのであった。
彼女は、装着のゲッコウ。
魔王ユギーの新生五本槍の中で、もっともヤバい思想を持った悪魔である。
「"好奇心は猫を殺す"なんて言葉があるようですが、たかだか猫という生き物を殺すだけで、この好奇心が満たされるのでしたら、100匹だろうと、1000匹だろうと、遠慮なくぶっ殺しましょうよ。
――まぁ、今はこの【設定】と【弱虫】の2人を、私の好奇心を満たすために使わせてもらいましょう、っと」
もう【設定】と【弱虫】は、
ほとんど敗北れたのと同意ですよね
本当に、【装着】はヤバすぎるよね(T_T)/




