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はちゃめちゃな異世界帰還〜実の姉が迎えに来たので本来の世界へ戻ります〜 【旧:Reminiszenz】  作者: 龍運
第3章:国外逃亡編

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第62話:座学

 それから数日が経ち、ケントは訓練を続けていた。

 剣を振ったり、魔力を制御して血の力と向き合おうとしたが、思うような成果は得られなかった。

 技術は向上していたが何かが足りなかった。

ライリスもそれは理解していて、

「違うね」

「そこじゃない」

「もっと考えな」

 などと助言はくれるが、それ以上は言わなず答えを教えてくれることはなかった。

 そんなある日、訓練を終えたケントが一人で考え込んでいると、一人の女性が近づいてきた。

 五大精獣神の1人であり、無愛想だった土の精獣神だった。

 彼女はケントの隣まで来ると足を止めた。

「……あんた」

「はい?」

 ケントが顔を上げると、女性は少しだけ視線を逸らした。

「あんたに足りないのは自分の恐怖に勝つことだ」

「恐怖……」

「ああ。だから早い話それを実体化させて倒した方がいい」

 ケントは目を見開く。

「実体化?」

「そうだ。この国にはそういう試練を行う場所があって、昔から優秀な戦士たちが利用してきた場所だよ」

 ケントは思わず立ち上がった。

「本当ですか!?」

「嘘を言ってどうする」

 ぶっきらぼうに返したが、その言葉には確かな重みがあり、ケントは深く頭を下げた。

「ありがとうございます」

 すると女性は少し気まずそうに頬を掻いていた。

「……その」

「?」

「名前くらい名乗っておくか。私の名前はテルスで土の精獣神だ。それと……初めて会った時は悪かった。どう接したらいいのかわからなかったから、あんな態度になった」

 ケントは少し驚いたがすぐに首を横に振るのだった。

「気にしてませんよ」

「そうかい」

 テルスはわずかに口元を緩めたその表情は初めて会った時よりもずっと柔らかかった。

 すると次の瞬間、ケントは勢いよく振り返り走り出したのだった。

「ライリスさんにこのことを話してきます!」

「ちょっ――」

 テルスが思わず声を上げたが、ケントは止まらなかった。

 そんな背中を見送りながら、テルスは小さく笑いながら誰にも聞こえない小さな声で。

「本当にあの人に似てるね」

 と言った。

 ケントは訓練場を飛び出した後、ライリスの元へ向かったのだった。

「ライリスさん!」

 勢いよく駆け込んできたケントを見て、ライリスは片眉を上げた。

「なんだい、騒がしいね」

「さっき土の精獣神であるテルスさんに聞いたんです!俺は恐怖に勝つことが必要で、このエルフの国には自分の恐怖を実体化させる試練があるって!だから――」

 そこまで聞いたライリスはため息を吐いた。

「駄目だね」

「え?どうしてですか?」

「あの場所を使うには陛下夫妻の承認が必要なんだよ。それも簡単には下りない。もしそんな簡単に認めるなら、今まで試練を受けようとしてきた者たちは何だったんだいとなる」

「……」

「それに、あんたはまだ何も知らなさすぎる」

「何も……?」

「ああ、エルフのこと、王族やこの国のこともね」

 ケントは言葉を失ったが、ライリスは続ける。

「だからしばらく訓練は中止」

「えっ!?」

「代わりに座学だよ」

 ケントは顔がライリスは気にしない。

「流石にね、自分の祖父である陛下の名前すら知らないのは問題じゃないか」

「うっ……」

 ケントは反論できず、ライリスは呆れたように首を振った。

「まずは知ることから始めな。力を扱うのも大事だけど、それだけじゃ駄目なんだよ」

 そう言って椅子から立ち上がる。

「まあ、ちょうどいい時期だし、ようやく教えるための準備もできた」

「準備……ですか?」

 ケントが首を傾げたが、ライリスは意味深に笑うだけだった。

「そのうち分かるさ。ほら、ついてきな。今日から座学をやる」

 その言葉に、ケントは思わず顔を青くした。

 ライリスに連れられたケントは、宮殿の一室へとやって来た。

「ここだよ」

 ライリスが扉を開くと、

「あっ!」

「ケント!」

 聞き慣れた声が響いた。

 部屋の中には隼人とフローラがいて、さらに

「ケントー!」

「やっと来たー!」

「遅いよー!」

「待ってた!」

 ミケたち四匹もいたのだった。

「みんな……?」

 ケントが驚いた瞬間、四匹は一斉に駆け出した。

「うおっ――」

 避ける暇はなく、先頭を走っていたミケが飛びつき、その勢いのまま他の三匹も突撃すして、

 ゴッ。

「うっ……!」

 四匹の頭が綺麗にケントの鳩尾へ命中し、ケントは思わず身体を折ってしまった

「ぐっ……」

「ケント!?」

 隼人とフローラは慌てて、立ち上がった。「だ、大丈夫ですか!?」

 しかし四匹は気づいていない様子だった。「久しぶりー!」

「会いたかった!」

「ずっと訓練ばっかりだったもんね!」

「今日は一緒だよ!」

 ケントにしがみつきながら嬉しそうに声を上げていて、ケントは鳩尾を押さえながら苦笑した。

「う、うん……元気そうでよかった……」

 そんな様子を見ていたライリスは肩を震わせる。

「くくっ……見事に入ったねぇ」

「笑い事じゃねぇだろ……」

 隼人が呆れたように言ったが、ライリスは何事もなかったかのように教卓へ向かった。「ほら、騒ぐのはそこまでだ。今日から座学をする」

 その言葉に、

「うわ、マジか……」

 と隼人が露骨に嫌そうな顔をするのだった。

 その後、ミケたちをなんとか落ち着かせた後、ケントたちはそれぞれ席についた。

 ライリスは教卓の前に立つと、一度全員を見渡した。

「それじゃあ始めるよ。まずは一番基本的なところからだ」

 ライリスはそう言うと、黒板にいくつかの名前を書いた。

「この国の名前はロガルト王国。そして現在の国王陛下の名前はレベレス・ルクシオと言う。それから陛下のご婦人で、祖母でもある人の名前はファルシーナ・ルクシオ。この二人が現在のロガルト王国を治めている」

ライリスはさらに書いていき話を続けた。

「そして次はエルフについてで、エルフの国に残っているエルフの多くは、外から来た者を嫌う傾向がある」

 隼人が首を傾げた。

「なんでだ?」

「色々理由はあるけど大まかな理由としては昔からの文化もあるし、過去の出来事によってそうなっていて、はっきりと言えるのは、外部の人間を簡単には信用しないってことだ。もちろん例外もいる」

 そう言いながらライリスは続けた。

「陛下やその周囲の者たちなど、国の中心にいる者たちは比較的そういう考えを持っていない。だから全員が全員、外から来た者を嫌っているわけじゃない」

 そう言うとライリスはケントへ視線を向けた。

「だが、お前は覚悟しておきな。お前が皇族の血を引いていようと、それだけで全員が歓迎してくれるわけじゃない。それにお前はロードヴァンパイアとエンシェントエルフという相反するそれぞれの血を引いているからあたりが強い可能性がある」

そうして、ライリスによる座学は続くのであった。

どうでしょうか?もしよければブックマークと評価、感想などをして彼らと執筆の励みになります。

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また、今回は内容が思いつかなくて文字数が少なくなりました。いつもの文字数の方が良かった人には謝罪申し上げます。

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