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はちゃめちゃな異世界帰還〜実の姉が迎えに来たので本来の世界へ戻ります〜 【旧:Reminiszenz】  作者: 龍運
第3章:国外逃亡編

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第59話:エルフの国到着

 数日の間、ケントは一度もまともに眠ることはなかった。

 夜になれば誰よりも先に起き、周囲を警戒していた。

 誰かの視線と気配が自分たちを狙っているという感覚だけは、消えなかった。

 隼人やフローラ、そして四匹には気づかれないようにしていた。

 そして、次の日にはエルフの国の入り口である森へ辿り着ける晩にアクシデントは起きたのだった。

「……!」

 キィン!!

 金属音が響き寝ずに見張りをしていたケントは、とっさに刀を抜いて飛んできた斬撃を防いでいた。

「誰!?」

 目の前の人物の顔は仮面で隠されており、正体は分からなかったが、背丈は隼人と同じくらいだった。

「……」

 相手は何も喋らずにただ静かに剣を構えていた。

(なんだ、この人……)

 ケントは違和感を覚えた。

 気配や雰囲気といった感じるものが、どれも普通ではなかった。

「試してみるか……」

 ケントは小さく呟いた。

(鑑定!)

 次の瞬間、相手の情報がケントの目の前に浮かび上がり、

「……え?」

 ケントの目が見開かれて思わず声が漏れたのだった。

「うそ……」


⦅パラメーター⦆

レベル34

体力:38,000/38,000

物理的攻撃力:35,000

物理的防御力:32,000

魔力的攻撃力:35,000

魔力的防御力:32,000

魔力量:40,000/40,000

運:38,000

速度:38,000

ステータス平均:37,000

⦅スキル⦆

・一刀流剣術Lv.14 ・二刀流剣術Lv.8

・弓術Lv.9 ・槍術Lv.12 ・体術Lv.10

・基本魔法Lv.12・特殊魔法Lv.10

・基本魔法耐性Lv.9 ・特殊魔法耐性Lv.7

・基本魔術Lv.14 ・特殊魔術Lv.12

・基本魔術耐性Lv.10・ 特殊魔術耐性Lv.9

⦅加護⦆

・魔導神¢£※△の寵愛の加護

⦅称号⦆

・天魔の子


「なっ……!?嘘だろ……!?」

 ケントは息を呑んでいた。

(レベル三十四……!?なのにこのステータス……僕と同じ……いや、それ以上かもしれない……!)

 そして、さらにケントの視線は加護と称号に向くのだった。

「魔導神の寵愛……?文字化けして読めない……それに、天魔の子……?」

 ケントが困惑する中、仮面の人物は静かに剣を下ろして、

「……ふぅ」

 どこか安堵したようなため息を漏らす。

「やっぱり。君、弱いね」

 その声は若かったが、ケントの警戒を解かなかった。

 目の前にいるのは初めて出会った、自分と同じく、レベルに対して異常な力を持つ存在だったのだから。

 仮面の人物は静かに剣を構えた次の瞬間、

「……」

 その姿が消えたのだった。

「!?」

(速い――!)

 キィン!!

 咄嗟に刀で受け流したが、

 ガキィッ!!

 二撃、三撃、四撃とどれも重く、どれも速かった。

(なんだ、この人……!)

 ケントは後ろへ飛んで距離を取ったが、「遅いよ」

「!?」

 いつの間にか背後いて、ケントは反撃しようと刀を振るったが、

 ガシッ!

「え?」

 右腕を掴まれた次の瞬間、

 ブン!!

「がっ!?」

 景色が回り、ケントは気づいた時には地面へ叩きつけられていた。

 そして、

 ドスッ

「うっ……!」

 仮面の人物がケントを組み伏せ、関節を極められ、全身に体重を乗せてきて、ケントは力を入れても全く動けなかった。

「くっ……!」

 ケントは歯を食いしばったが、仮面の人物はどこか冷めた声で呟く。

「本当に弱いね、君」

「……」

「ぬるま湯に浸かっているからこうなるんだよ」

 その言葉にケントの目が揺れるのだった。

「弱い君が羨ましいよ」

「……え?」

 ケントはその言葉の意味が分からなくて、問いかけようとしたが、体が動かずどうにもできない状況で、ケントは諦めかけていたその時だった。

「ケントから離れろぉぉ!!」

 ガキィン!!

「!?」

 仮面の人物は、大きく後方へ飛び退いたのだった。

 そこにいたのは、刀を振り下ろした隼人だった。

「隼人君!?」

 寝起きのまま飛び出してきたのか、髪は乱れていたが、その目には怒りが宿っていた。

「俺のダチに何してやがる!」

 すると、仮面の人物は少し驚いたように隼人を見た。

「へぇ……君は、少しばかり動けるんだ」

 その声に反応するように、テントの中から慌てた声が聞こえてきだした。

「何事ですの!?」

「ケントさん!」

「敵!?」

「誰!?」

 フローラと四匹も飛び出してきて、仮面の人物を見た瞬間、それぞれ戦闘態勢に入ったが、

「……」

 仮面の人物は周囲を見渡し、小さくため息をつくだけだった。

「部が悪いな」

 そう呟くと、静かに剣を下ろし、組み伏せられていた状態から起き上がったケントを見つめた。

「君に一つだけ言っておくよ」

「……?」

「君が逃げたせいで、みんな不幸になっている」

「!」

 ケントの目が見開かれた。

「君の知り合いはもちろん、君の知らない人までね」

「な、何を――」

 問いかける前に、仮面の人物は背を向けた。

「また会おう。その時、君は今より少しは強くなっているかな」

 次の瞬間、風が吹き仮面の人物の姿は跡形もなく消えていた。

「消えた!?」

 フローラは周囲を見回し、隼人は刀を下ろすと、地面に座り込んでいるケントの方へ向いた。

「おい、ケント。今日はもう寝ろ」

「え?」

「寝不足なんだろ?さっきだって、本調子じゃなかったせいでピンチになった可能性だってある」

 隼人のそんな言葉にケントは静かに首を横に振った。

「違うよ」

「……?」

「俺、不思議なことに睡眠を取らなくても平気になったんだ。だからさっきのは、寝不足のせいじゃない。単純に実力不足、それだけだよ」

 その声には、微かに自分を責める色が混じっていた。

「ケント……」

 フローラは声をかけたが、ケントは仮面の人物が消えた方向を見つめたままだった。『君が逃げたせいで、みんな不幸になっている』

 その言葉だけが、頭の中で何度も何度も繰り返されていたのだった。

 翌日。

 ケントたちはついにエルフの国へ繋がる森の入り口へと辿り着いていた。

「ようやく着いたな」

 隼人は大きく伸びをして、フローラも安堵したように息を吐いていた。

「長かったですわね」

「うん」

 ケントも小さく頷くのだった。

 一行が森へ足を踏み入れてから、かなりの時間が経っていた。

「……おかしくないか?」

「景色が変わってないような……」

 隼人は周りを見渡していて、フローラも困惑した顔を見せていた。

「さっきもこの木を見た気がしますわ」

 ケントは立ち止まり、辺りを見回した。

「やっぱり、幻術の類かな」

「エルフの国ならありそうだな」

 隼人も納得して辺りを観察していると、

「にゃ!」

「きゅい!」

「ぴぃ!」

「きゅる!」

 ミケが一声鳴き、それに続いて琥珀とヒトロ、スリナも声を上げたのだった。

 その瞬間、周囲に白い煙のようなものが現れた。

「なんだ!?」

「煙ですの!?」

 やがて煙が晴れていくと、今まで行き止まりだったはずの場所に、一筋の道が現れたのだった。

「……道?…幻術が解けた?」

 ミケが胸を張って言った。

「お母さんが教えてくれた!」

「この道で合ってるよ!」

「すごいな、お前たち」

 隼人が感心して、一行は再び歩き始めたが、少し進んだその瞬間、

 ヒュン!!

「!」

 キィン!!

 ケントは咄嗟に刀を抜き、飛来した矢を弾いたのだった。

「敵!?」

 フローラが杖を構えると、周囲の木々の上や茂みの中から次々と人影が姿を現した。

 尖った耳をしており、弓を構えた者や剣を抜いている者など様々な何十人ものエルフたちがいた。

「動くな!そこで止まって、武器を捨てろ!」

 鋭い視線が一行へ向けられて、一人のエルフの男が、ミケたち四匹を見た瞬間、目を見開いた。

「なっ……まさか……!」

 男はケントたちを睨みつけるのだった。

「貴様ら何者だ!なぜ神獣様をそばに置いている!!」

 周囲のエルフたちにも緊張が走り、弓が一斉に引き絞られて、鋭い殺気がケントたちへ向けられたのだった。

 何十本もの矢が向けられる中、ケントはゆっくりと両手を上げた。

「待ってください」

 そして、被っていたマントのフードを外し、白髪に一房の青色の髪。

 右が赤、左が緑のオッドアイである幼さの残る顔立ちが露わになった。

 ケントは敵意のないことを示すように静かに頭を下げる。

「自分は雪月ケントと言います」

「雪月?」

 聞き覚えのない姓に、エルフたちが顔を見合わせていたが、ケントは構わず続けた。 「父が、この国の出身だと聞いてここまで来ました。そして、父はエンシェントエルフの始祖返りだったと聞いています」

 その言葉が放たれた瞬間、周囲がざわつき始めた。

「なっ!?」

「馬鹿な!」

「そんな嘘があるか!」

「ふざけるな!」

 ある者は怒鳴り、ある者は目を見開き、ある者は困惑していた。

「……いや、待てもし本当なら?」

 一人の女エルフが呟く。

「始祖返りの子なら……招き入れても問題ないのでは?」

 すると、別のエルフが慌てて声を上げた。

「馬鹿を言うな!もし間違いがあったらどうする!」

「お前こそどうするんだ⁉︎これで間違ってたら皇族に無礼を働くことになるんだぞ!」「皇族に無礼を働くなど許されるはずがない!」

「だが、雪月などという姓は聞いたことがない!」

「偽名かもしれん!」

「いや、神獣様が四柱も傍におられる!」

「そんな者が普通の人間のはずがない!」

 意見は真っ二つに割れていた中、ミケたち四匹が前へ出たのだった。

「ケントお兄ちゃんは悪い人じゃない!」

「お母さんが任せた人だもん!」

「家族なんだ!」

「だからいじめないで!」

 その言葉に周囲のエルフたちがさらにどよめいたのだった。

「神獣様が……」

「家族と言っただと?」

「任せた……?」

「まさか……!」

 そして、弓を構えていた年老いたエルフの男が、震える声で言った。

「その目……その髪……まさか……いや、そんなはずは……」

 男はゆっくりとケントへ近づいていった。 その瞳には、どこか懐かしむような色が宿っていたのだった。

どうでしょうか?もしよければブックマークと評価をしてくれれば執筆の励みになります。

また、気になる点やわからないところなどやこうした方がいい、こうしてなどがあれば感想などで伝えて欲しいです。

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