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はちゃめちゃな異世界帰還〜実の姉が迎えに来たので本来の世界へ戻ります〜 【旧:Reminiszenz】  作者: 龍運
第3章:国外逃亡編

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第54話:次の国までの旅路

 翌朝。

 食料や水の補充、馬車の手配を済ませた三人は、認識阻害のマントを羽織ったまま街の門へと向かっていた。

 行き交う人々の喧騒を横目に見ながら、隼人はふと気づいたように口を開く。

「そういやさ」

「?」

「俺、この国の名前知らねぇんだけど」

「「……。」」

 あまりの事にケントとフローラは一瞬だけ黙り込んだ。

「今さらですの?」

「いや、逃げるのに必死だったしな!?」

 隼人は開き直るように言った。

「で、結局ここって何て国なんだ?」

 ケントは周囲へ視線を向けて、通りに掲げられた看板や露店の案内板、門の近くに設置された地図。そこに書かれた文字を確認し、静かに答えた。

「……マルリナ国」

「へぇ」

 そんな他愛ないやり取りの後、ケントは少し真面目な表情になった。

「ただ、ここからは今までみたいにはいかない。」

「どういうことだ?」

「馬車の時間が長くなる。僕たちが逃げてきたアステリア王国は特殊だったんだ」

 そう言いながらケントは地図を取り出して地図の一点を指差した。

「アステリア王国は、城壁が国境に限りなく近い位置に築かれていた。その城壁の内側に森や草原、王都まで全部収まってた」

「だから、城門を出たらすぐ隣の国の国境内だったんですね」

 フローラも納得したように頷く。

「そういえば、ほとんど移動した感覚がありませんでしたわ」

「でも、今回は違う。」

 そう言ってケントは地図をなぞる。

「マルリナ国は普通の国だよ。街と国境の間にも広大な土地があるんだ」

「ってことは?」

「次の国まで、おそらく一ヶ月。」

「一ヶ月!?」

 その時間の長さを聞いて、隼人が思わず声を上げた。

「そんなにかかるのかよ!」

「しかも直行の馬車しかないから途中でどこかの町屋村で休憩なんかもできない。できたとしても野宿になる」

「……マジか。今までが楽だっただけか……」

「そうですわね」

 そう言いながらフローラは小さく息を吐いた。

「アステリア王国の構造が特殊だっただけで、本来の旅とはこういうものなのでしょう」

「つまり、次の国までは本格的な旅ってことか」

「うん。だから、長期で野宿するから、食料や水の管理も今まで以上に大事になる」

「護衛依頼とかも受けられそうですわね」

「お、確かに。道中の金稼ぎにもなるか」

 二人の言葉に、ケントも小さく頷いた。

「急ぐのも大事だけど、無理はしない。今の俺たちは三人だから」

 ケントのその言葉に、隼人はニッと笑った。

「おう。今さら一人で抱え込むなよ」

「そうですわ。ここまで来たんですから、ちゃんと頼ってください」

 フローラも微笑んで、ケントは二人の顔を見つめ、ほんの少しだけ表情を和らげた。

「……分かった」

 そして三人は、それぞれの荷物を背負い直し門を潜った。

 マルリナ国の門を抜けた先には、どこまでも続く街道と草原が広がっていた。

 アステリア王国を飛び出してから初めての、本当の意味での長旅が始まろうとしていた。

 マルリナ国を出発した馬車は、街道をゆっくりと進んでいた。

 目的地まで一月、決して短いとは言えない旅路であり、馬車の中には、ケントたち三人の他にも数人の乗客がいた。

 大きな荷物を抱えた商人らしき男性や鎧姿の冒険者風の男、旅慣れた様子の老夫婦そして、杖を傍らに置いた二十代前半ほどの女性など様々な人がいた。

 その女性は、先端に小さな宝石のついた杖とローブ姿からして、魔法使いと思えた。

 しかし、出発してしばらくの間、馬車の中に会話はなく、ガタゴトと車輪の音だけが響いていた。

 そんな沈黙を破ったのは、その魔法使いらしき女性だった。

「ねぇ、せっかく一緒の馬車に乗るんだから、仲良くしよう?」

 突然の言葉に、馬車内の視線が自然と女性へ集まった。

「旅って、誰とも話さないと結構退屈だし」

 隼人は一瞬きょとんとした後、

「まぁ、別にいいけど」

 と言って肩をすくめた。

「私も構いませんわ」

 フローラも小さく微笑んだ。

「やった!」

 女性は嬉しそうに両手を合わせた。

「私はリリィ! 見ての通り魔法使いだよ!」

「隼人」

「フローラですわ」

「よろしくね!」

 そうして、リリィという女性により少しずつ会話が始まった。

「二人は旅をしてるの?」

「まぁ、そんな感じだな」

「もしかして、学生さん?」

「ええ、色々と事情がありまして」

「へぇ~、若いのに旅なんてすごいね。」

「そういう、そっちは?」

 今度は隼人が尋ねた。

「私は依頼帰り! でも次の国でも仕事探そうかなって。」

「魔法使いって儲かるのか?」

「ん~、ピンキリかなぁ。」

 そんな他愛のない話が隼人たち以外の他の人達と続いていった一方で――、

「「「……」」」

 馬車の隅に一人だけ全く会話に参加していない人物がいた。

「……すぅ……すぅ」

「……」

 その人物はケントであり、座席にもたれ掛かり小さく寝息を立てていて、熟睡していた。

 隼人はそれを見て呆れたように言う。

「おいおい……」

「この状況で寝られるんですか?」

 フローラも苦笑していたが、

「……すぅ。」

 ケントはぴくりとも起きる様子がなかった。

「「……。」」

 隼人とフローラは無言になり、隼人は頭を掻く。

「そいつ、普段はもっと警戒してるんだけどな」

「そうですわね」

 フローラもケントの寝顔を見つめていた。

「ここまで無防備なのは、珍しいかもしれません」

「つまり?」

「俺たちが起きてるから安心してんじゃねぇの?」

「そうかもしれませんわね」

「……ふふっ、なんか、面白い三人組だね」

 馬車は揺れて、外はどこまでも続く街道と草原が流れていた。

 その日の移動を終えた頃には、空はすっかり茜色に染まっていた。

 街道から少し外れた開けた場所で馬車は停まり、御者が

「今日はここで野営だ」

と告げた。

 乗客たちは慣れた様子で荷物を下ろし、それぞれ寝床の準備を始めた。

 ケントたちも隼人がテントを組み立て、フローラが食事の準備を手伝っていた。

 そんな中だった。

「せっかくだし、みんなでご飯食べない?」 またしても、リリィの声が響いた。

「同じ馬車に乗ってるんだし、こういうのも旅の醍醐味でしょ?」

 屈託のない笑顔に、他の乗客たちも顔を見合わせていた。

「まぁ、悪くねぇな」

「そうですね」

 隼人とフローラも頷き、その日の夕食は自然と全員で囲む形になった。

 商人が旅先の失敗談を話し、老夫婦が昔の思い出を語り、リリィも楽しそうに笑いながら話題を振り続けていた。

 ただ、一人を除いて。

「「……」」

「……すぅ」

 ケントだけは、夕食の時間になっても起きてこなかった。

「また寝てるのかよ、あいつ」

「本当にぐっすりですわね……」

 結局、その日はケントを起こさず、先に食事を済ませることになったのだった。

 そして食後になると各自がテントへ戻ろうとした、その時だった。

「ちょっと待って」

 リリィがテントへ行こうとしていたフローラを呼び止めた。

「フローラちゃん、そのまま二人と同じテントで寝るの?」

「ええ、その予定ですが」

「いやいやいや!男の子二人と一緒なんて危ないって!」

「ですが……」

 フローラは困ったように隼人とケントたちのテントへ視線を向けた。

「お二人とも、そういうことをする方ではありませんので」

「いやいや、そういう問題じゃなくて!」

 リリィは食い下がっていた。

「信用してるとかじゃなくて、女の子なんだからもっと警戒しないと!」

「警戒はしていますわ。もし何かあれば、止めます」

「いや、止めますって……」

 フローラのそんな言葉にリリィは思わず額を押さえた。

「普通、そういう返しにはならないと思うんだけど……」

 リリィがどう説得したものかと悩んでいた、その時だった。

「……ん」

 テントの方から眠そうな声が聞こえた。

「……おはよう」

 ようやくケントが目を覚ましたのだ。

 ケントの髪は少し乱れ、寝起き特有のぼんやりした表情を浮かべている。

「お前、今起きたのかよ」

「……うん」

 隼人の呆れた声に、ケントは小さく頷いた。

「どうしたの?」

 隼人から事情を聞いたケントは、少しだけ考えるように視線を落とした後、無言のままフローラへ近づいた。

「フローラさん」

「はい」

 ケントがフローラの耳元で何かを小さく告げると、

「……分かりました。では、今夜はお世話になりますわ。」

 そう言ってフローラは荷物を持ち上げると、そのままリリィのテントへ向かって歩き始めた。

「え、ちょ、ちょっと待って!? そんなあっさり!?」

「何か問題でも?」

「いや、問題っていうか……」

 リリィは困惑しながらも、隣を歩くフローラを見と、その表情には不安も戸惑いもなくむしろ、

「ありがとうございます、リリィさん」

 そう微笑んでいたのだった。

 一方でケントたちは、というと

「……じゃあ、寝る」

「おい待て。今起きたばっかだろ。」

 再び寝ようとするケントに、隼人の容赦ないツッコミが飛んでいた。

 しばらくすると、野営地は静寂に包まれていて、焚き火の火はすでに小さくなり、見張り以外の者たちはそれぞれのテントで眠りについていた。

 リリィとフローラも、同じテントの中で横になっていた。

「「……。」」

 最初こそ他愛のない話をしていた二人だったが、いつの間にか会話も途切れ、静かな時間が流れていた、その時だった。

 ――ザッ。

 草を踏むような、意識していなければ聞き逃してしまいそうな微かな音が聞こえた。

「……?」

「……誰か、いる?」

 すると、テントの入り口付近に、人影が立っていたのだ。

 月明かりに照らされたその影は、じっとこちらの様子を窺っていた。

「……っ」

 それを見たフローラは反射的に起き上がったが、その影はちょうど入り口を塞ぐ位置にいたので無理に飛び出せば接触は避けられなかった。

「リリィさん」

「わ、分かってる……」

 二人は声を潜めながら身構えて、その影がゆっくりと身を屈め、テントの中へ入ろうとしたその瞬間、

 ドサッ!!

「「……え?」」

 影が、突然その場に倒れ込んだ。

 何が起きたのか理解できず、リリィは呆然としていて、フローラも一瞬だけ目を見開いた。

 しかし次の瞬間。

「大丈夫か!?」

「フローラさん!」

 聞き慣れた声と共に、テントの外から隼人とケントが駆け込んできた。

 倒れていたのは、黒い布で顔を隠した男で、男は白目を剥き、完全に気絶していた。

「……間に合った」

「おい、大丈夫か?」

「え、ええ……。怪我はありません」

「よ、よかった……」

 リリィはようやく状況を理解し始めたのか、震える声を漏らした。

「な、何が起きたの……?」

「俺たちが気絶させた」

「え?」

「……」

 リリィはぽかんと口を開けた。

「どうして……これたの?」

「フローラさんから知らせが来たから」

「知らせ?」

 困惑するリリィに、フローラは自分の手の中にある小さな魔道具を見せた。

「ケントが渡してくださったんです。これのおかげで、お二人に知らせることができました」

「これで……?」

「はい。実は、あの時……」

 ――

 リリィに説得され、フローラがテントを移ることになった時、ケントは誰にも聞こえないように、そっとフローラへ小さな魔道具を手渡していた。

『何かあればこの魔道具に魔力を流し込むか、壊しさえすれば俺と隼人君が駆けつけるから』

『……分かりました』

『念のためだから』

『ふふっ、ありがとうございます』

 ――

「だから、知らせることができたんです」

 フローラはリリィにそう説明して、リリィは呆然としたまま、ケントを見ていた。

「……最初から、こういうことも考えてたの?」

「一応です。野営中は何があるか分からないし」

「でも……」

 リリィは男とケントたちを交互に見つめていた。

「私、てっきり……本当に、信用してたんだね」

「ええ。お二人は、信頼できる方ですから。」

「……そっか。」

 そう言いながらリリィは苦笑しながら肩の力を抜いた。

「なんか、私の方が疑いすぎてたみたい」

「警戒すること自体は悪いことじゃないです。今回は、それが正しかったし。」

「……まぁ、確かにな。」

 隼人は気絶した男を見下ろしながら頭を掻いた。

「とりあえず、こいつどうする?」

 テントの前には、気絶したままの男の顔を覆っていた布はすでに外されていた。

 その素顔は馬車で同席していた乗客の一人だった。

「え……」

 男の顔を見たリリィは目を見開いていた。

「この人、馬車に乗ってた人じゃない……!」

「みたいだな」

 隼人は呆れたように男を見下ろした。

「まさか身近にいたとはな」

「……」

 ケントは無言のまま男を見つめていた。

「ど、どうするの?御者さんに引き渡す?」「いや。今起こして暴れられても面倒」

 そう言うと、どこからともなく縄を取り出した。

「「え?」」

 その光景を目にした瞬間、リリィとフローラが同時に声を漏らした。

 その2人の声を気にする事なく、ケントは淡々と男の両手両足を縛り始めた。

 しかも、その手際は妙に良かった。

「……ケント?」

「ん?」

「慣れてません?」

「気のせいだよ」

「いや、絶対気のせいじゃねぇだろ」

 隼人は即座に突っ込んだが、ケントは何も言わず、ぐるぐると縄を巻き続けた。

「よし」

「よし、じゃねぇよ」

 男は最終的に芋虫のような状態になった。

「ちょ、ちょっと待って?何するつもりなの?」

「……。」

 その質問に対してケントは何も答えず男を担ぎ上げた。

「「えっ。」」

「ちょっと行ってくる。」

「えぇぇぇっ!?」

 数分後。

 野営地の近くにある太い木に、男は縄でしっかりと括り付けられていて、身動きは一切取れない状態だった。

「これで朝まで大丈夫」

「いやいやいや!これで大丈夫なの!?」「死にはしない」

「そういう問題!?」

「御者さんには朝説明しますから」

「まぁ、妥当じゃね?変に情けかけて逃げられても困るし」

「……」

 リリィは木に縛られた男を見て、それから三人を見た。

「なんか……」

「ん?」

「私、この三人のこと、まだ全然分かってなかったかも……」

「そうか?」

「そうですね。ですが、お二人とも頼りになるのは確かです」

「……うん。それはもう、よく分かった。」 騒動がひと段落した後、ケントは荷物の中から食材を取り出した。

「……せっかく起きたし、何か食べよ?」

「おっ、夜食か?」

「うん」

「でも、そんなに食材使って大丈夫?旅はまだ長いんでしょ?」

「大丈夫。一応、計算はしてるから」

「そっか……」

 そこでリリィは何かを思い出したように荷物を漁った。

「あっ」

「?」

「よかったら、これも使って」

 そう言って差し出したのは、保存の利く干し肉と香辛料だった。

「依頼の帰りに余ったやつなんだけど、よかったら」

「……本当に使っていいの?」

「もちろん」

「……ありがとう。」

 ケントはリリィに小さく頭を下げてそれらを受け取った。

「お礼言われた」

「そりゃ言うだろ」

「なんか嬉しい」

「そこ驚くところか?」

 隼人は呆れたように笑った。

 しばらくして、香ばしい匂いが野営地に広がり始めた。

「うわぁ……」

「いい匂いです」

「マジで料理できるんだな」

「普通ぐらいだよ」

「いや、お前の普通は信用ならねぇ」

 そうしてケントたちは夜食を食べたが、ケントが作った料理は、旅の途中とは思えないほど美味しかった。

「美味しい!」

 リリィは目を輝かせていた。

「すごい! 本当に美味しい!」

「そう?」

「うん!」

「……ならよかった」

 食事をしたその後も、

「そういえば隼人って昔からそんな感じなの?」

「俺? 昔っからこんな感じだな」

「適当ですものね」

「おいフローラ」

「ふふっ」

「ケントは?」

「……昔のことは、あんまり」

「そっか」

 そんな、他愛のない会話が続いて笑い声が響いた。

 そんな中、

「……」

 リリィはフローラがケントを見る視線に気がついた。

「ありがとうございます、ケントさん」

 それは本当に一瞬だったが、

(……え?)

 フローラのその表情がまるで、恋する少女のように見えた。

「……」

 だが次の瞬間には、いつもの穏やかな笑みに戻っていた。

 リリィは結局、その場では何も言わずそれぞれのテントへ戻った。

 そして、

「……ねぇ、フローラちゃん」

「なんでしょう?」

 テントの中でリリィは恐る恐る尋ねた。

「その……」

「はい?」

「フローラちゃんって、ケントくんのこと……好きだったりする?」

「…………え?」

 そんな突拍子もない言葉にフローラは目を丸くした。

「えええっ!?」

 そして次の瞬間には顔を真っ赤にしていた。

「な、ななな、何をおっしゃっているんですか!?」

「いや、だってさっき……」

「あり得ません!」

 そう言いながらフローラは慌てて首を横に振った。

「ケントは大切な仲間ですし、弟のような存在だと思っているので……!」

「でも……」

「そ、そのようなことは、本当に!」

「……」

 リリィはそんな彼女を見つめた後、

「……ふーん」

「なんですの、その反応は!」

「いやぁ?」

 リリィはにやりと笑っていた

「別に~?」

「リリィさん!」

 フローラの抗議する声が、静かな夜のテントの中に響いた。

 その頃、ケントたちのテントでは

「……すぅ」

「また寝てるのかよ」

「隼人君も早く寝よ」

「はいはい」

 男二人のテントでは、何事もなかったかのようにケントが眠っていた。

 次の日には業者に昨夜の出来事を説明した後、変わらず馬車に乗って進んだのだった。 昨夜のことを引きずる様子もなくリリィは旅の経験を語り、隼人は軽口を交えながらそれに返し、フローラは時折静かに相槌を打っていた。

 その横でケントは、相変わらず揺れる馬車の中で静かに目を閉じている時間が多かったが、完全に距離を置いているわけではなく、時折短く会話に加わっていた。

 そうして数日、そして数週間と長い馬車の旅が続き、一ヶ月する頃にはようやくハラリア国についたのだった。

 ハラリア国に到着した一行は、長い馬車移動の疲れをほぐすようにそれぞれが軽く身体を伸ばしていた。

 そして門を抜け、街へ入った瞬間、リリィが少し得意げに振り返る。

「ここ、私何度か来たことあるんだ。だから案内できるよ」

 その言葉に、隼人が興味深そうに目を細めていた。

「へぇ、頼もしいじゃん」

「でしたら、お任せしてもよろしいですね」

 リリィは嬉しそうに頷くと、迷いなく歩き出した。

「まずは宿、それからご飯屋さんね。こっちこっち!」

 慣れた足取りで路地を進み、いくつかの店の前を通り過ぎながら、リリィはケントたちを手際よく案内していった。

 やがてたどり着いたのは、落ち着いた雰囲気の宿屋だった。

「ここ、値段もそこそこだし清潔だし、旅人にはちょうどいいの」

「いいじゃん、助かるわ」

 隼人は肩を回しながら笑い、ケントは周囲を一度だけ見渡し、小さく頷いた。

「問題なさそう」

「でしょう?」

 リリィは満足げに笑い、そのまま次の目的地である食事処へと三人を案内していくのだった。

どうでしょうか?もし良ければ評価やブックマークをしてくれると執筆の励みになります。また、この作品を読んで分からないことや気になる点などの疑問やこうしてほしいや、こうした方がいいなどの要望などがあれば感想で伝えてほしいです。

キリのいいところまで書いたらここまで長くなりました。おそらく過去一長くなったと思います。この国を移動したら、次がエルフの国なのでそれまで待ってくれると嬉しいです。

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