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はちゃめちゃな異世界帰還〜実の姉が迎えに来たので本来の世界へ戻ります〜 【旧:Reminiszenz】  作者: 龍運
第3章:国外逃亡編

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第51話:ゴブリンキング到来

 砕け散った氷の壁の向こうで、ゴブリンキングが大剣を引きずりながら一歩前へ出た。 その背後では、まだ無数のゴブリンたちが蠢いていた。

 ケントは双剣を構えたまま、短く息を吐いき、

「隼人くん!」

「おう!」

「フローラさんに武器への付与をしてもらって!周りのゴブリンを蹴散らして、それが終わったらゴブリンキングの攻撃に加わって!」

「分かった!」

 ケントは今度は後方のフローラへ視線を向けた。

「フローラさんは氷、風、水属性を中心にお願いします!」

「他は使わない方がいい、ということですか?」

「うん。それ以外の属性や強すぎる魔術を使うと最悪、この洞窟が崩れるから」

 フローラは一瞬目を見開き、すぐに真剣な表情で頷いた。

「承知しましたわ!」

「よし……!」

 ゴブリンキングが咆哮を上げてこちらを睨んでいた。

「グォォォォォッ!!」

(乱舞十字衝・流!)

 双剣が幾重もの軌跡を描きながら、周囲のゴブリンたちを次々と切り裂いていった。

「ギャァッ!?」

「ギギッ!」

 さらに間髪入れず、ケントは腰を低く落とした。

(双剣抜刀・疾!)

 次の瞬間、ケントの姿が消えて、銀閃が、ゴブリンキングの懐へと駆け抜けた。

 ゴブリンキングは咄嗟に大剣を振り上げたが、

 キィィィンッ!!

 金属同士が激しくぶつかり合い、洞窟内に甲高い音が響き渡たり、ゴブリンキングの赤い瞳が、驚愕の色になっていた。

「はっ!」

 キィンッ!!

 ケントは双剣で大剣の軌道を逸らしたり、身を捻って回避しながら、刃をゴブリンキングに叩き込んでいく。

「ギィッ!!」

 鋭い斬撃がゴブリンキングの腕を裂いたり、脇腹に新たな傷を刻んだりしたが、

「……浅い」

 そうケントは小さく呟いた。

 ゴブリンキング、その名に違わず、ケントの攻撃による致命的な一撃を本能的に避けていた。

 ケントの双剣は確かにゴブリンキングへダメージを与えていて、次々と傷を増やしてはいくものの、そのどれもが致命傷には至らなかった。

 ゴブリンキングもまた、身体を捻り、後退し、ときには大剣で受け流すことで急所への攻撃を防いでいた。

「グルルルル……!」

 赤く濁った瞳がケントを睨みつけ、ケントも双剣を構え直した。

「……やっぱり、ただのゴブリンじゃないね」

 キィィンッ!!

 ゴブリンキングの大剣とケントの双剣が激しくぶつかり合っていたが、その隙を突くように隼人が横から飛び込んできた。

「おらぁっ!」

 鋭い斬撃がゴブリンキングへ迫る。

「ギッ!」

 ゴブリンキングは後ろへ跳び、大剣を構え直した。

「はぁ……はぁ……なあ、ケント」

「ん?」

「前から思ってたんだけどさ。お前、ステータスめちゃくちゃ高いだろ? なんでまだ決めきれねぇんだ?」

「……」

 一瞬だけ沈黙が流れ、ケントはゴブリンキングから目を離さないまま答えた。

「俺は、ステータスや技術的な部分が高いだけなんだ」

「は?」

「つまり、実戦経験が浅いんだよ」

 ゴブリンキングの動きを見据えながら、ケントは言葉を続けた。

「平地でひらけた場所ならもっと速く動けるし、もっと威力も出せる」

「じゃあやればいいじゃねぇか」

「ごめん、それはできないんだ。今いるこの場所は洞窟の中だから」

 ケントは一瞬だけ周囲の岩壁へ視線を向けた。

「崩壊させないように、威力も速度も抑えて戦わないといけない」

「……ああ」

「でも、それをすると今度はゴブリンキングに対応されるから致命傷になる一撃だけを、上手く避けられてるんだ」

 ケントの言葉を聞いて隼人は納得していた。

「なるほどな。つまり、お前は強ぇけど戦い慣れてねぇってことか」

「……そういうこと」

「だったら簡単じゃねぇか」

「え?」

 隼人はニヤリと笑いながら剣を握り直した。

「経験不足なら、今ここで経験積めばいいだろ。」

「……!」

「一人じゃ決めきれねぇなら、二人で決めるぞ。」

 そう言って、隼人はゴブリンキングへ向かって攻撃し出した。

「行くぞ、ケント!」

「……うん!」

 隼人とケントがゴブリンキングとの激しい攻防を続ける中、洞窟の奥からはなおもゴブリンたちが現れ続けていた。

「ギギッ!」

「ギャアッ!」

「ちっ!まだ出てくるのかよ!」

 そのうちの数匹が、ケントたちを避けるようにして後方へと駆けていった。

「フローラさん!」

「まずい!」

 二人は思わず振り返ったが、

「甘いです!」

 フローラは杖を握り直し、そのまま前へ踏み込みゴブリンに対して杖を振ったのだった。

「え?」

 次の瞬間には、

 バキィッ!!

 フローラの杖が唸りを上げ、飛び掛かってきたゴブリンの首を切り裂いたのだった。

「ギャッ!?」

 さらに流れるような動きで柄を回転させ、別のゴブリンの腹部に杖の先を突き刺したのだった。

「ギギッ!」

「はぁっ!」

 最後の一匹には鋭い回し蹴りを叩き込み、壁へと吹き飛ばした。

「「…………」」

 2人は無言の状態だったがすぐに隼人が、

「……凪さんの授業の時は、杖を物理攻撃に使うのは嫌とか言ってたくせに」

 と呟いたのだった

「確かに」

 ケントも真顔で頷いたが、フローラは顔を赤くしながら叫んだ。

「こ、これは緊急事態ですから!仕方なくです!」

「へぇ~?」

「本当に?」

「うるさいです!そちらこそ、ゴブリンキングに集中してください!」

「「はい」」

 そんなフローラの様子を見て、ケントはふと考えた。

(……そうか)

 自分は今まで、最適な一手ばかりを探していたが、

(弱いんだから、今使える手札を全部使えばいいんだ)

 ケントは双剣を一瞬引き、地面へと片手をついた。

「――錬金術・十影剣」

 魔力が地面へと流れ込んでいき、淡い光と共に、魔法陣が展開された。

 そして、十本の剣が、地面から現れたのだった。

「なっ!?」

 現れたそれらは素朴で安価と思えるほどの鉄の剣だった。

「おい……それって」

「俺が錬金術で初めて道具なしで作った剣だよ。今はまだこのぐらいしか出せないけど、十分な手札になるはずだよ」

 十本の剣が宙へ浮かび上がり、その切っ先は、ゴブリンキングへと向けられていた。

「グルルル……!」

 ケントは双剣を構え直し、十本の剣を従えながらゴブリンキングを見据えた。

「……行くよ」

 ケントがそう呟いた瞬間、十の刃はまるで意思を持つかのように縦横無尽に飛び回り始めた。

「グルァッ!?」

 ゴブリンキングは大剣を振るって迎え撃つが、四方八方から迫る剣を読み切ることはできなかった。

「今だ!」

「おう!」

 放たれた剣の隙間を縫うように、ケントと隼人も駆けた。

 これまで避けられていた致命傷になり得る斬撃が、少しずつゴブリンキングの身体につけられていき始めたのだった

「グォォォォッ!!」

 咆哮と共に、ゴブリンキングは大剣を振り、飛び回る剣を薙ぎ払った。

 ガキィン!

 ガガガガッ!!

「やべっ!」

「っ!」

「だったら、こいつはどうだ!《鎌鼬》!」

 隼人の剣から、鋭い風の斬撃が放たれ、ゴブリンキングは咄嗟に身を捻った。

 風の刃は首筋を掠め、そのまま後方へと飛んでいった。

「グルル……!」

 ゴブリンキングは牙を剥き、隼人へ向かって駆け出したが、隼人が放った斬撃が飛んでいった先には。

 双剣を構えていたケントのがいた。

 ケントは迫る風の刃に片方の双剣を振り抜いた。

 キィィィン――!!

 金属音にも似た音が洞窟内に響き、鎌鼬の斬撃は双剣によって弾かれゴブリンキングに向かってたのだった。

「グッ……!?」

 ゴブリンキングが気付いた時にはもう遅く、次の瞬間

 ズバァッ――!!

 そんな鋭い音と共に、ゴブリンキングの首が宙を舞い、巨体が数歩よろめいていた

「……グ、ォ……」

 やがて、ドォンッという重い音を立てて地面へと崩れ落ち、洞窟の中に静寂が訪れた。

「……終わった?」

 隼人はそう呟きケントは双剣を下ろし、小さく息を吐いていた。

「うん。たぶん」

 そして隼人は、ようやく我に返ったように叫んだ。

「いやいやいや!! 何だ今の!? 斬撃って跳ね返せるもんなのかよ!?」

「いや、俺も、できると思ってやったわけじゃないんだけど……」

「はぁ!?」

「無我夢中で行動していたらあんなことができたんだ。」

「お前、たまにそういうところあるよな!?」

 そんな二人のやり取りを見ていたフローラは、小さくため息をつく。

「……とりあえず、お二人とも」

「「ん?」」

「先に、本当に倒したのか確認してください。」

「あ。」

「……忘れてた」

 こうして、三人はゴブリンキングを討伐したのを確認してからギルドに戻ったのだった。

どうでした?もしよければ評価などをしてくれると執筆の励みになります。また、この作品を読んで気になる点やわからないところがあれば感想などで教えて欲しいです。そして、こうしたほうがいいなどがあれば同じく感想などで教えて欲しいです。

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