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はちゃめちゃな異世界帰還〜実の姉が迎えに来たので本来の世界へ戻ります〜 【旧:Reminiszenz】  作者: 龍運
第二章:学園編

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第42話:実践演習の結果

 ケントたちは残りの期間を使い、課題に苦戦している班の手助けをしながら実践演習の日々を過ごしたのだった。

 そして気付けば、実践演習が終了する三十日目を迎えていた。

「なんだかんだで、あっという間だったな」

 森の出口へ向かいながら隼人がそう呟いた。

「そうですね。最初はどうなることかと思いましたけれど」

 フローラは笑っていた。

 ケントはそんな二人の会話を聞きながら、これまでの出来事を思い返していた。

 オーガとの戦いと新たに進化した武器、そして隼人とフローラとより深まった仲。

 決して楽な日々ではなかったが、それでも得るものは多かったのだ。

「さあ、行こう」

 ケントの言葉に二人は頷いた。

 そして三人は森の出口へと辿り着き、森の外へと出たのだった。

 森を抜けたケントたちは、そのまま課題の採点が行われる場所へと向かった。

 実践演習を終えた生徒たちが次々と集まっており、周囲では討伐した魔物の素材を職員へ提出する姿が見られた。

 やがて三人は受付の前へと到着し、まず隼人とフローラが討伐した魔物の素材を提出した。

 職員は素材を確認しながら記録を取り、問題がないことを確認すると次々と採点用の場所へ運んでいった。

 そして最後にケントの番となった。

「提出する素材をお願いします」

 職員にそう言われたケントは軽く頷いた。

「分かりました」

 そう言うと、ケントは周囲に十分な空間があることを確認し、一歩前へ出たのだった。

「空間系統初級魔術・ゲートボックス」

 次の瞬間、ケントの前方に魔法陣が展開され、その中央に空間の裂け目のようなものが現れた。

 周囲にいた生徒たちが思わず足を止めた。「お、おい。あれ、……」

「空間魔術か……?」

 驚きの声が上がる中、ゲートボックスから素材が次々と落ち始めた。

 オーガの素材が地面へ積み上がっていった。

 やがて全ての素材を出し終えたケントは魔術を解除した。

「以上です」

 ケントがそう言うと、受付の職員は積み上げられた素材の山を見ながら採点をた。

 しばらくして採点が終わり、生徒たちは広場へ集められた。

 全員が揃ったのを確認すると、シオンが一歩前へ出る。

「森での三十日間、お疲れ様でした。中には途中で脱落してしまった人もいると思いますが――」

「少しいいですか?」

 その時、一人の生徒が手を挙げた。

 合格発表などでケントに絡んでいたギルバートだった。

 周囲の視線が集まる中、ギルバートはシオンへ向かって口を開く。

「森の中にオーガがいたそうじゃないですか」

 その言葉に周囲が少しざわついた。

「その魔物のせいで危険な目に遭った生徒もいたと聞いています。教師としてどうなんですか? それに、そのせいで脱落した生徒だっているかもしれません」

 ギルバートの言葉を聞いたシオンは慌てることなく頷いたのだった。

「その件については今から説明します」

 そう言ってシオンは生徒たち全員に聞こえる声で話した。

「まず、途中で脱落した生徒についてですが、その場合でも森の中での行動や課題への取り組み方などを含めて採点しています。脱落したから即不合格というわけではありません」

 それを聞いて一部の生徒たちは安堵したような表情を浮かべた。

「そしてオーガについてですが、あれはとある生徒へ与えられた課題対象でした」

 再び周囲がざわつき始めた。

「もちろん危険な魔物です。しかし、だからこそ発見できるよう痕跡も数多く残されていました」

 シオンは淡々と続けるのだった。

「川の近くにある不自然にへし折られた木々。洞窟周辺に散乱する大型生物の骨。そしてその間に残された巨大な足跡」

 生徒たちは黙って聞いていることしか出来なかった。

「これらの情報を集めれば、その付近に強力な魔物がいることは十分推測できたはずです」

 シオンはそこで一度言葉を区切った。

「そもそも皆さんは森へ転移した時点で、それぞれ十分な距離を空けて配置されています。周囲を確認せずに未知の森を進むことが危険であることは、冒険者でなくとも理解できるでしょう」

 その言葉に反論する者は誰一人としていなかった。

「今回の実践演習は戦闘能力だけを見るものではありません。情報収集能力、危険察知能力、状況判断能力、それら全てを含めて評価対象です」

 シオンの説明が終わる頃には、先程まで得意げな表情を浮かべていたギルバートの顔は真っ赤になっていた。

 自信満々に教師へ意見したつもりだったのに、シオンからの正論に反論できずギルバートは俯いてしまった。

 そんなギルバートの様子を気にする者はほとんどおらず、生徒たちの関心は次の話へに向った。

 シオンは一度全員を見渡すと、小さく頷き、

「それでは、今回の実践演習において特に優秀な成績を収めたグループを発表します」

 その言葉に生徒たちの間へ緊張が走った。 誰もが自分の名前が呼ばれることに期待して耳を傾けていた。

「まずは準優秀賞です」

 シオンがそう告げると、一組ずつグループ名が読み上げらていった。

 発表される度に歓声を上げる者や驚いた表情を見せる者が現れ、賑やかになっていった。

 やがて十二組全ての発表が終わった。

「準優秀賞に選ばれた生徒には、特別単位を一人当たり二単位贈呈します」

 その瞬間、選ばれた生徒たちから喜びの声が上がった。

 シオンは再び手元の資料へ目を落とし発表した。

「続いて優秀賞です」

 先程まで以上の緊張感が広場を包んだ。そして、優秀賞で呼ばれたのは四組だった。

 名前を呼ばれた生徒たちは驚きながらも前へ出ていき、周囲から拍手が送られた。

「優秀賞に選ばれた生徒には、準優秀賞と同様に特別単位を贈呈します」

 そこまで聞いていた生徒たちは頷いてが、シオンはさらに続けた。

「加えて、希望者にはランクBの武器を一人一本贈呈します」

 その瞬間、広場全体が大きくざわついた。「ランクBだと!?」

「本気かよ……!」

「そんな報酬まであるのか!?」

 驚きの声が次々と上がった。

 それもそのはず、ランクBといえどその武器は決して安価な代物ではない。

 学生が簡単に手に入れられるものでもなく、その価値を理解している生徒は目を見開いていた。

 優秀賞に選ばれた生徒たちも、まさかそこまでの報酬が用意されているとは思っていなかったのか、驚いた様子で顔を見合わせていた。

 そして、生徒たちの視線は自然とシオンへ集まる。

 まだ発表されていない賞が一つ残っていたからだ。

 準優秀賞でもなく、優秀賞でもない、今回の実践演習でただ一組だけ選ばれる最優秀賞。

 それを待ち、広場は再び静まり返ったのだった。

 静まり返った広場の中で、シオンは一度生徒たち全員を見渡してから、手元の資料へ視線を落とし口を開いた。

「それでは、今回の実践演習における最優秀賞の授与グループを発表します」

 その言葉に、生徒たちの間へ緊張が走り、誰もが固唾を呑みながら次に呼ばれる名前を待った。

 シオンはゆっくりと告げた。

「最優秀賞は以下のグループです」

 一瞬の静寂が訪れた。

「雪月ケント、立風隼人、フローラ・ラザフォード。前へ」

 名前を呼ばれた瞬間、広場のあちこちから驚きの声が漏れた。

「えっ……!」

「マジかよ……」

「やっぱりあの三人だったのか」

 生徒たちがざわつく中、ケントたちは顔を見合わせていた。

「呼ばれたな」

 隼人が小さく笑った。

「そうみたいだね」

 ケントも苦笑しながら頷いた。

「参りましょう」

 フローラに促され、三人は前へと歩み出る。

 全校生徒の視線を受けながら並び立つ三人を見て、シオンは満足そうに見ていた。

 シオンの声が広場へ響いた。

「あなたたちはただ課題を達成しただけではなく、困難な状況の中でも協力し与えられた課題を達成していました。さらに、自分たちの課題を終えた後も、残りの期間は他のグループの救護を行っていました」

 その言葉に、一部の生徒たちが納得したように頷いた。

「その行動を高く評価し、ここに最優秀賞を授与します。そして、最優秀賞の褒賞は優秀賞と同様の褒賞に加え――スキルの書を一人一冊ずつ授与します」

 その言葉に広場全体が大きくざわめいた。

「なっ……!?」

「スキルの書だと!?」

「嘘だろ!?」

「一冊ずつって言った!?」

 驚愕の声が四方八方から上がった。

 先程のランクB武器ですら大きな騒ぎになっていたが、スキルの書はそれを遥かに上回ものだった。

 どのようなスキルが記録されているかにもよるが、冒険者や貴族ですら簡単には入手できないほどのものだった。

 だからこそ、生徒たちの動揺は大きかった。

「羨ましいんだけど……」

「さすが最優秀賞だな……」

「いや、報酬の格が違いすぎるだろ……」

 周囲のざわめきはしばらく収まりそうになかった。

 生徒たちのざわめきが続く中、シオンは三人の前まで歩み寄った。

 そして、それぞれに一冊ずつスキルの書を手渡していった。

「まずは立風隼人君」

 シオンは一冊のスキルの書を差し出した。

「君には『鎌鼬』のスキルの書を授与します」

「鎌鼬か……!」

 隼人は目を輝かせながら受け取った。

 続いてシオンはフローラへ向き直った。「フローラ・ラザフォードさん」

「はい!」

「あなたには『重力』のスキルの書を授与します」

「重力……!」

 フローラは驚いたように目を見開いたのだった。

 重力系統の能力は珍しく、その有用性も高いが、空間属性と時間属性などと同じ特殊属性に属しているので扱いが難しいのだ。それを理解しているからこそ、フローラは驚きを隠せなかった。

 そして最後にシオンはケントへ一冊のスキルの書を差し出した。

「雪月ケント君。君にもスキルの書を授与します」

「ありがとうございます」

 ケントもスキルの書を受け取った。

 三人はそれぞれ手元のスキルの書を見つめた。

 するとシオンが口を開いた。

「今ここで使用しても構いません」

 その言葉を聞き、三人は同じ行動をした。

「じゃあ使ってみるか」

「そうですわね」

 隼人とフローラは早速スキルの書を手に持ち、心の中で使用を念じ始めた。

 次の瞬間だった。

 二人の持つスキルの書がふわりと宙へ浮かび上がった。

「おっ!?」

「まあ……!」

 驚く二人をよそに、本は勝手に開かれて、ページが高速で捲られ始めた。

 パラパラパラパラッ――

 無数のページが捲られていき、その光景に周囲の生徒たちも目を奪われていた。

 そして隼人の頭の中へ直接声が響いた。

《鎌鼬のスキルを獲得しました》

 同時にフローラの頭の中にも声が流れた。

《重力のスキルを獲得しました》

 二人が驚いている間に、本は静かに地面へ落下した。

 手に取って中を確認すると、そこに書かれていた文字は全て消えていて、全てのページは真っ白になっていた。

「おお……」

「本当に使い切りなんですのね……」

 二人が感心している中、ケントも自分のスキルの書へ視線を向けた。

(僕も使ってみよう)

 そう思い、心の中で使用を念じた。

 しかし――

 ボッ。

 突如として、ケントの持つスキルの書が炎に包まれた。

「えっ?」

 ケントの間抜けな声が漏れた。

 次の瞬間には本全体が燃え尽き、灰となって風に散っていった。

 辺りが静まり返った。

 隼人もフローラも目を丸くしていた。

「……は?」

 隼人が呆然と呟く。

「えっ……?」

 フローラも状況が理解できていなかった。

 そしてケントもまた、手元から消え去ったスキルの書を見つめながら固まっていたのだった。

どうでしたでしょうか?もしこの作品が面白いと感じたらブックマークや評価などをしてくれると嬉しいです。

そして、気になる点やわからない点があれば感想などで伝えてくれると幸いです。

後、脱線しますがストックを増やしているのですがまだまだ足りてません。それでも着実に増やしているつもりです。

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