知らない道は知らぬがホトケ
亘理が「あんだよ、それ!」と意気消沈してる頃、連坊と富沢は科学館に入っていた。
科学館はなぜか新聞社の地下にあり、専用の入口から階段をおりる。中は全て本物で、この街が明治時代から今に至るまでに普及した電話やラジオが並び、この街の新聞社が初めて導入したタンスみたいに大きなコンピュータがあり、隣に今話題のファミコンが置かれコンピュータの進化が語られる。
「恐竜よりも面白いかもな。」と2人は思っていた。亘理には悪いが。
グルグル館内を巡ってトイレに行こうかと、奥の通路に入ったら、ふさがれたドアが開いていてなんか面白そうだ。
アンドーチェーンにいる亘理は、失意の大恐竜展をさっさと後にして、せっかくだからアンドーチェーンを冒険してみようと展覧会のある10階から階段をさがりながら冒険していた。
地下1階はスーパー売場だから子供の亘理には退屈だ。階段はさらに下へ続いていた。地下2階は倉庫だった。関係者しか入れない場所だけど、観音開きの大きなドアは誰でも開けられる。荷物の出し入れが激しいから、鍵はかけていないようだ。隠れながら亘理は壁沿いに進むと科学館400メートル先と壁にプレートが埋め込まれ、道が続いている。
こっちからでも行けるのか。
連坊と富沢は科学館からナゾの地下道を進み、亘理はアンドーチェーンからナゾの地下道に入った。中はカマボコ型のトンネルに変わり、照明は等間隔でついているから意外と怖くなかった。亘理は早く科学館に着いて3人で帰らなきゃと焦っていた。
連坊と富沢は少し行ったら引き返そうと慎重だが、面白そうだからもう少し。真っ暗だけど1本道だから戻るの簡単、と進み続ける。
さあ戻ろうと連坊と富沢は引き返したが、全然科学館に戻れない。
亘理は照明がしっかりある地下道だから怖くもなく進み続ける。腕時計を見ると帰る時間だ。別れ道があって、照明がある方には「科学館はこちらから階段を上がってください。」とあり、ここから照明がなくなる左の道はやめとこう、と立ち止まると左の道の暗がりから「こっちこっち、助けてー」と子供の叫び声が聞こえた。
「なんだ、あいつらも科学館から入ったのか。」と安心して左の真っ暗な地下道を進んでいたら、道が終わり茂みの中に出た。
「お前ら、どこにいるー?」と叫ぶと
「こっちこっち。」と上から声がした。
連坊と富沢がいつもの感じでそこにいた。
「ここさ、龍のヒゲ渓谷の真下じゃね?」
見上げると長い橋が見える。街に行く時に車で通っている、あの橋だ。
じゃあ、この谷底を広い方に歩けば城に出て、街に着くな。とノンキに3人で歩いていた。
街に出た。自転車探さなきゃ。
路地裏に着くと自転車がない!盗まれた?
誕生日プレゼントで気に入ってたのに。と亘理。
しょうがない、バスで帰るかとアーケードを歩いていたらなんか様子が違う。
知ってるけど知らない街だ。




