恐竜のロマンはホントかどうか見に来てね
アンドーチェーンでは、専務と小泉がいつもの感じで会議のような、雑談のようなやり取りをしている。
「恐竜展は子供が行きたがる。東京では大盛況。展覧会を無理やり持ってきた甲斐があったな。」
小泉はうなづきながら
「東京の開催が終わって次は札幌の開催。その間の1週間を仙台に引っ張りこむのは大変でした。大泉さんのおかげです。」
専務はニンマリして
「東京から札幌へ運ぶ恐竜展の5トンの荷物の輸送費をアンドーチェーンが全額もつ。っていうのが良かったな。」
「ロマンとソロバンが成立しています。」と小泉も笑顔である。
大泉さんは大恐竜展のプロデュースをしている。アメリカの恐竜博物館が公式に「本物から作ったレプリカ」を世界中に貸し出していると聞きつけ、契約し、日本中のデパートに展覧会を巡業させている。
東京では原寸大の骨格標本を見るだけの展覧会だが、専務は「アンドーチェーンでは骨に触れるようにしろ。どうせレプリカだろ。」と命令するので、困った小泉は「タッチ証明書」なるチケット販売を考えたのだ。
300円追加で払えば恐竜の骨に触れて、証明書がもらえる。
これは、アンドーチェーンの広告部隊の7人が遊びで作ったマッチラベルのミニカードが500円でやたら売れたのをヒントにしている。
詳しくは、デンセツのセンム2を読んでもらいたい。
公式の偽物は逆に本物だ、と専務が言うので
「骨が本物だとチケットに書け」と命令したが、さすがに無理というわけで
「タッチ証明書」としか印刷していない。
デザインはレプリカの骨の写真がレトロなデザインの中でレイアウトされている。
亘理はワクワクしながら大恐竜展に来た。
入場料を払い、興奮しながら恐竜たちを眺める。奥にデッカイ骨があり、タッチ証明書の看板がある。触りたければ300円だ。
亘理は小学生だからお小遣いが少ない。じーっと骨を見つめて考えていたら、タッチ証明書のアルバイトスタッフが
「今日はすいているし。いいよタダで。」
「レプリカだもん。お金とるの気が引ける。」
「あ、言っちゃった。やば。」
と、種明かしを聞いてしまった。




