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異世界が残酷な非道。Part2
ルイスの回復が少しで早く進める為には俺の能力が役に立つ可能性もあったが、とてもそんな気分にはならなかった。
唯一被害のないルイスの部屋でしか過ごさず、食事とトイレ以外で部屋から出ることもなく数日が過ぎていった。
少しずつ冷静さを取り戻してきたが、このまま誰かがこの屋敷に入った時、どうみても犯人は俺だと確信する。
しかし、誰も来なかった。
ドワーフの里は滅ぼされてしまったのだろうか。
勇気を出して外を覗いてみたが、屋敷の半径数メートルは血の海が乾いて異臭を出していただけだった。
すぐに顔を引っ込めてまた部屋に閉じこもった。
ルイス、早く起きてくれ…。
「う…」
「ルイス!気が付いたのか」
「お前は…ぐ…」
「まだ傷が治ったわけではないから、安静にしてくれ。」
どうやらルイスは気を失ったらしい。
数日ぶりに聞こえたルイスの声と大丈夫そうな様子を見て安堵した。
安心したらどっと疲れがでた。
俺は久しぶりに深く眠れた。
「「お父様…落ち着いてください」」
「「何をしている!貴様!」」
「「やめてください!お父様!」」
夢を見た。
俺は怪物になってアリアやルイス、イシスやその他の人達を攻撃していた。
不思議と不快感はない。
というか何も感じない。
ただ、そうするべきとしか思えず、俺は体の動く限り暴れた。
そうするとすごく気持ちがよかった。
「起きろ!!」
「ぐあ」
久しぶりの安眠から暴力で起こされた。
「る…ルイス!」
「近づくな!このけだものが!」
ルイスの様子がおかしい。
あのフランクで気さくさがない。
心から怯え、モンスターを見るような嫌悪感を感じる。
「どうしたんだルイス、落ち着いてくれ俺だ」
「そうだ貴様だ。貴様は自分が何をしたのかわかっているのか」
「俺が?何かしたのか…?俺は起きたらこうなっていて、ようやくお前を見つけてずっと看病していたんだぞ」
「もう大丈夫なのか、本当にか」
かなり時間はかかったが、俺に危険性がないと思ったのかルイスはあの日何があったか教えてくれた。
しかしそれはとても信じられるものではなかった。
「貴様とあの娘がベタベタした夜、私も貴様たちの部屋にいく事になっていたな、あの娘はすこぶる嫌がって交代で貴様と過ごす事になったが、私が貴様の部屋に入った時、貴様はおかしくなっていた。あの娘が必死に貴様を抑えていたが貴様は娘を攻撃し私にとびかかってきた。私は貴様をいなし、娘の所まで行ったが貴様はそのまま部屋を飛び出しあっという間に屋敷中の人間を殺して回っていた。娘はすぐに貴様を追っていこうとしたが状況を確認する為に私が抑えた。娘曰くひとしきりの事を終え眠るその時に貴様がおかしくなったと言っていた。感じた事のない魔力を放っていたと言っていたな。そうしているうちに貴様が部屋に戻ってきて娘は何度も呼びかけていたが貴様は常軌を逸していた。
娘に飛び掛かり娘も貴様を抑えていたが、どうやらイシスの部屋に気を抑える魔具があると娘が気づき私が取りにいった。しばらくすると貴様がイシスの部屋にきて私を襲ってきたが、魔具が間にあった。貴様は白目をむいてその場に倒れたが私も限界だった。
魔具の使用には相当な魔力が必要だったようで私も気を失ったというわけだ。」
「俺が…なぜ…」
「むしろ貴様からの何かしらの説明がなければ信用などできない状況だが」
「信じてくれ、本当に記憶もなくてそんな力など俺にはもともとない」
「それはあの娘も言っていた、貴様がどうにかなったというよりも操られている可能性があると言っていたな」
「だがどうして俺は自分の部屋に戻っていたんだ」
「それはわからん、私も気を失い先ほど目覚めた。」
俺がアリアを…この人達をみんな…
「いずれにしてももうお前は普通ではない。私もお前と行動を共にする理由もない。状況もわからない。このままどこかに行ってもらえると助かるが」
「そ…そんな」
「これでも勇者としての感覚であの夜の貴様は私では絶対に敵うことないと知覚した。今こうしてお前と相対していつまたあのようになるか、気が気でないのだ」
「大丈夫…とはいえないか」
「私には戻る故郷がない、しかしこの屋敷の人たちには世話になった恩がある。全員を弔いたいが貴様がいるとそれもできない」
「わか…った」
「貴様には呪いから解き放ってもらった恩はあるが、すまない。本当に怖いのだ」
俺は逃げるように真っ赤な自室に戻り身支度をした。
ベッドの上のアリア、暴れまわった部屋、本当にこれを俺が。
本当にこれを俺がやったのだとしたらそんな資格はないがアリアの髪飾りだけポケットへ入れた。
そして来た時と同じく坑道を通りドワーフの里を後にした。
「どうやら行ってくれたか」
あの男に何があったのか、私にはまったくわからない。
あの瞬間までは心優しい下心満載の男でしかなかったはずだ。
勇者としてかの地に縛られ利用されていたが、あの地でのあいつはそんな力は感じなかった。
しかし転移をした後、私を見捨てる事なく呪いから解放し私にも手を出すだけではなく、どうやら実の娘にも手を出していた外道ではあるもののそれだけだった。
ひとまず体は回復し魔力も徐々に戻ってきた。
屋敷の人達を弔い、私もここを立とう。
「お前にはうんざりしていたが、言葉が交わせないとなると寂しいな」
私は肉の塊になったあの娘にそう語りかけ、部屋を後にした。
俺はこの先どうすればいいのか。
今まではアリアがいて、目標をくれ導いてくれた。
ルイスも増えてこれからもっと楽しい旅になっていくと思っていたのだが、本当に俺が全てをぶち壊したのか。
ルイスはああ言っていたが、俺自身にまったく記憶も心当たりもない。
俺は俺の仕業ではないと強く思っている。
誰かの仕業だとすれば犯人がいる。
俺はアリアたちを殺したそいつを絶対に見つけ、生き地獄を味合わせると誓った。
しかしドワーフの里には戻れない。
ルイスが本気で嫌がっていたし、今戻れば恐らくルイスと戦闘になる。
俺は絶対に敵うわけない。
ルイスもいつまでドワーフの里にいるかわからないが、情報が欲しい。
これだけの大事件だ。
他の種族でも何か起きているかもしれない。
エルフの里には戻れないし、ヒューマンの国も危ない。
となれば魔族か。
俺は魔族の王国を目指し、走り始めた。




