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異世界が残虐な非道。Part1


朝目覚めると生暖かくどこか安心する気持ちになった。

昨夜のアリアとの余韻が残っているのかもしれない。

今までのアリアも従順でよかったが、昨夜のアリアは少しわがままで自分本位な所があった。

それがギャップでとても新鮮だった。

俺、父親だよね?


そんな人としてあるまじき感想を頭の中で展開しながら当のアリアを探す。

もちろん昨夜の情事を思い出し、催したわけではない。

シンプルに挨拶をしたいだけだ。

しかしアリアの姿が見えない。

が、明らかに二人分の容積を感じる寝具で、不安はなかった。


この下腹部の暖かさから察するにアリアはすでに起きているらしい。

俺は、寝具を退ける行為に躊躇した。

もし、アリアのそんな行為を目の前にすれば自分を抑えられる自信がない。

昨夜の続きが始まってしまう。


そう思ったのだが、おかしい。

少しも動きがないのだ。

明言は避けるが、アリアとそういった事はこれが初めてではないし、

彼女のスキルは相当なものであり、こういった趣旨は今までない。


もしや行為の途中で眠ってしまっているのかと思い、そっと寝具をずらした。



そこは真っ赤な海となっていた。


「は?」


俺の両足の間、股の所でぐちゃぐちゃな何かがあった。


「な…なんだこれ」


始めは自分の体かと思ったがどこも痛くない。

ただ、認めたくなかった。

見覚えのある服、節々、顔がそこにあったのだ。



「うわああああああああああああああああああ」


アリアはバラバラにされていた。


それがアリアだと無意識に理解した途端、全てが怖くなり寝具から飛び出した。

あまりの事でそこら中の家具に体をぶつけ、花瓶やらコップやらをそこら中にまき散らし、とにかく大声を上げた。

早く他の誰かにきてほしかった。

しかし、いくら叫び声をあげても誰も来ない。

それどころか物音ひとつしない。

俺は夢であると錯覚した。


「は…夢か…道理で、こんなリアルな…」


そこで俺は盛大に吐き散らした。

そのむせ返る匂い、嗚咽の苦さ、動悸のどれもが夢でないと俺に告げてくる。

誰に…。

その一心で俺は哀れもない姿のまま部屋を出た。


その廊下も、一面が赤に染められていた。


「…へ?」


一気に力が抜け、間抜けにも尻もちをついた。

状況を理解しようにも目の焦点が合わず、失禁した。


「何が…、ルイスは…」


勇者ルイスはどうなっているんだ。

一瞬あいつが裏切ったのかと思ったが、絶対にそれはない。

昨夜アリアとの同室巡って小競り合いをしていたし、結局隣室で落ち着いていたが、

なんやかんやとずっと俺たちの部屋にいて、3人でと、いう場面もあった。


俺は這いずりながらも隣室へ行き、ドアを開けた。

その部屋は綺麗なままだった。


「ルイス?」


が、勇者はそこにいなかった。


俺は混乱し、ルイスの寝具に包まり夢なら覚めろと念じながら強く目を瞑った。

どれくらいの時間がたったかわからない。

頭がおかしくなる状況も少しだけ冷静になれるほどの時間はたった。

なぜ、アリアは殺されたのか。

ルイスはどこにいった。

イシスはどうなっている。

なぜ屋敷の人たちも殺されてしまっているのか。


…なぜ俺は生きているのか。


ルイスの寝具からそっと周りを見て、そのあとに自分の体を確認してみる。


攻撃されたような跡はない。


下腹部は真っ赤になっているが、俺ではない。

その瞬間アリアの事を思い出してしまい、また吐いた。


このままここにいても仕方がない。

ひとまずルイスを探すしかない。

自分の部屋に戻る勇気はなかったので、ルイスの部屋にある自分が着れそうな衣服をまとい、ゆっくりと部屋を出た。


かなりの時間がたっていたのか時刻は夕方を超え、日が沈んでいた為、廊下の鮮血がそこまでリアルではなくなり、吐き気は我慢できた。

俺はゆっくりと歩みはじめた。


自室で大声を出したが誰も来なかった手前、もう誰もいないとも思えたが、

敵襲の折、身を隠している可能性も考えあえて声は出さず、周囲の偵察を行った。

幸いにも集中すれば、視覚と聴覚が強化されている為、真っ暗でなければ問題なく、音も聞き分けられた。


始めに向かったのはイシスの部屋だ。

何か事が起きたのであれば屋敷の人たちはあそこを守るはず。

廊下の人たちは俺たちを守る為に移動中に殺害された可能性もある。


その考察を裏付けるかのようにイシスの自室に向かうにつれ、遺体の数は多くなっていた。

しかしおかしい点がある。

建造物へのダメージが一切ない。

戦った痕跡がまったくないのだ。

ただ無残な遺体とその血しぶきだけがある。


俺は少しだけ足早にイシスの部屋に向かった。

不思議な事にイシスの部屋の前だけ遺体も鮮血痕もなく、すさまじく綺麗な状態だ。

細心の注意を払い、扉の前で聴覚に全集中した。

中の様子はまったくわからない。

部屋が特別なのか、本当に中に誰もいないのかわからない。


このままじっとしていても意味がないと、思い切って扉を開けた。


そこにはアリア同様バラバラになったおそらくイシスと、メイド執事たちの遺体。

傷だらけのルイスがいた。


「ルイス!」


俺はルイスに飛びつき、状況も知りたかったが唯一の生存者に安堵した。


「…くっ…お前か…」


ルイスは虫の息でとても会話が出来るような状態ではない。

それでも何があったかだけはどうしても知りたかった。


「ルイス、何があったんだ」


「…それは…お前が一番…わかっていることだろ…」


「は?」


「い…今は…だ…じょ…」


「なんだ!どうした!」


ルイスは気を失ってしまった。

俺が一番わかっている?

何もわからんぞ。

それに今は大丈夫的な事を言っていたな。

もう安全なのだろうか。

とにかく、ルイスが回復するまでは下手な事をしないほうがいいな。


衛生的によくないと思い、イシスの部屋からルイスの部屋へ慎重に移動した。


ルイスのボロボロの衣服を剥ぎ、体を拭いてベッドへ寝かせた。


ルイスが起きるまで聴覚に神経を集中させ、とにかく何も起きない事を願った。



そしてルイスが回復する数日後に事は起こった。


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