まさかの中身
あれから暫く経ち
美咲と丸井は、同棲することになった。
帰る方向が同じで。
一緒に食事をすることが増えて。
気づけば一緒にいる時間が長くなり、同棲につながった。
ある日の休日。
美咲は部屋の整理をしていた。
丸井の荷物の紙袋が1つ、押し入れの奥にあった。
「これ、何?」
袋を開ける。
中には、小さなグッズがいくつか入っていた。
キーホルダー。
カード。
ポスター。
フィギュア。
美咲は書かれた文字を読む。
「……にじの?」
その瞬間。
後ろから声がした。
「ま、待つでござる」
丸井だった。
少し慌てている。
珍しい。
美咲は振り向く。
「これ何?」
丸井はしばらく黙っていた。
それから観念したように言った。
「昔から好きなのでござる」
美咲は少し笑った。
「ミニ四駆と同じ?」
丸井は頷いた。
「同じでござる」
「拙者、好きなものは長いのでござる」
美咲はグッズを見ながら言った。
「いいと思う」
丸井は驚いた顔をした。
「そうでござるか?」
「うん」
美咲は笑った。
「昔から好きなものを大事にしてる人、私は好き」
丸井は照れた。
その日の夜。
2人はソファで話をしていた。
美咲はふと聞いた。
「丸井さんのミニ四駆の話」
「ちゃんと最初から聞いたことないかも」
丸井は少し考えた。
「確かに」
美咲は言った。
「どうやって始めたの?」
丸井はゆっくり答えた。
「拙者がミニ四駆を始めたのは」
少し昔を思い出すような顔になる。
「社会人になって間もない頃でござる」
美咲は静かに聞いていた。
丸井は続けた。
「最初に買ったマシンは」
少し笑う。
「エンペラーというマシンでござる」
美咲は興味深そうに言った。
「それが始まり?」
丸井は頷いた。
「そうでござる」
少し間が空く。
「それから」
丸井は言った。
「色々なことがあったのでござる」
美咲は微笑んだ。
「聞きたい」
丸井は少し照れた。
「長くなるでござるよ」
「いいよ」
美咲は言った。
「明日休みだからずっと聞きたい」
丸井は小さく頷いた。
「では」
「最初から話すでござる」




