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ミニ四駆続けていたら人生が変わったでござるの巻  作者: さかざき


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時間を超えて

「そんな訳で」


ジョンは話を締めくくった。


「96年ジャパンカップを優勝した師匠は、4連覇を達成したのでござる」


「その後、渡米したユリ殿が応援に来てくれたのに気づいて……」


ジョンは少し遠くを見る。


「あの瞬間は、拙者も目頭が熱くなったでござった」


少し間が空く。


「……とまあ、ここまでが拙者たちの青春でござる」


美咲は小さく笑った。


「ドラマみたいな話ね」


少し間を空けてから言う。


「…私、その人たちに会ってみたい」


ジョンは少し困った顔をした。


「今は疎遠になってしまって、連絡も取ってないのでござる」


「ユリ殿はアメリカでござるしな」


そして視線を下げる。


「まあ、機会があればその日も来るでござろう」


――


それから時は流れ。


2001年、秋。


大きな駅の改札前。


待ち合わせの大きな柱の前に1人の女性が立っていた。


黒髪のロングヘア。


目鼻立ちがくっきりした綺麗な顔立ち。


その姿は自然と周囲の視線を集めていた。


ユリだった。


渡米して5年。


久しぶりの日本。


「ねぇ、待ち合わせ?暇なら少し話さない?」


横から男たちが声をかけてくる。


ナンパだった。


ユリは軽く笑って英語で返す。


「Sorry, I’m waiting for someone.」


男たちは一瞬固まる。


「え、英語?」


「外国人?」


ユリは肩をすくめる。


「Well… I’m definitely not a Namekian.」


男たちは苦笑して去っていった。


その様子を、少し離れた場所から見ていた男がいた。


「おお!」


元気な声が響く。


ユリが聞き覚えのある声に振り向く。


「出た!」


ユリはその声に返すと、そこには見覚えのある顔が立っていた。


「アメリカから来た女!」


コウスケだった。


大学1年になったコウスケは以前より背も伸び、顔立ちも整っている。


運動部らしい引き締まった体。


周囲から見れば、2人はまるでお似合いのカップルのようだった。


ユリが笑う。


「相変わらずうるさいね」


コウスケは腕を組む。


「お前こそ」


「なんか大人っぽくなってね?」


ユリは鼻で笑う。


「当たり前でしょ。5年経ってるのよ」


コウスケがニヤニヤする。


「さっきナンパされてたろ」


ユリがため息をつく。


「今日で7人目よ」


「7つ集めたから願い叶うかしら」


コウスケが懐かしさを噛み締め笑う。


「かもな」


その時だった。


ユリがふと気づく。


少し離れた場所に立つ男。


イカついサングラス。


黒いロックTシャツ。


ジーンズ。


まるでロックバンドのメンバーのような男が、こちらをじっと見ている。


ユリが小声で言う。


「ねえ、なんか睨んでる怖い人いる」


コウスケが振り向く。


「え?」


確かに。


完全にこちらを見ている。


ユリが言う。


「ちょっと、何とかしなさいよ」


コウスケが顔をしかめる。


「はぁ?来て早々トラブルとか勘弁なんだけど」


男が歩き出す。


ゆっくりと、こちらへ向かってくる。


ユリが言う。


「ねえ!」


「こっち来てる」


コウスケが言う。


「マジかよ」


「さっきのナンパ7人目の願いで何とかしろよ」


男は2人の前で立ち止まった。


長身の男は2人を見下ろす。


コウスケとユリは息を呑み固まる。


コウスケはユリの前に立ち男に話しかける。


「な、なんすか…?」


男は言った。


「ユリ殿とコウスケ氏でござるか」


沈黙。


ユリが言う。


「……ジョン?」


コウスケが即座に否定する。


「いやどう見ても違うだろ」


男が言う。


「拙者はジュンイチと何回言えばよいのでござるか」


コウスケが叫ぶ。


「ジョンだ!!」


5年ぶりの再会だった。


ユリがまじまじとジョンを見る。


「どうしたの?」


「変わりすぎじゃない?」


ジョンは髪を軽くかき上げた。


「色々心境の変化があったのでござる」


「新しい趣味に寄せたコーディネートでござる」


コウスケがシャツを指さす。


「マジかよ」


「このシャツ、アメリカのロックバンドだろ?」


ユリが困惑の表情を見せる。


「え?」


「あたしアメリカ住んでるけど知らない」


コウスケが笑う。


「なんだそれ」


その時だった。


背後から声がした。


「……久しぶり」


3人が振り向く。


黒い帽子。


少し俯き気味の顔。


その姿は、5年前とほとんど変わっていない。


ユウだった。


「おお、久しぶり!」


コウスケが言う。


「変わらなすぎて笑える」


ユリが笑う。


ジョンが深々と頭を下げる。


「師匠!ご無沙汰でござる」


ユウは少し困った顔で笑った。


「やめてよそれ」


コウスケが言う。


「とりあえずさ、ここじゃ邪魔だし」


ユリが言う。


「お腹すいた」


ジョンが言う。


「良い和食屋を知っているでござる」


ユウが頷く。


「じゃあそこ行こう」


4人は歩き出した。


駅前の人混みの中へ。

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