69話 “原因“
当時の僕は、ソルや同じ神域で生まれた家族のような神々以外と話したりするのが得意ではなく、近寄られてすぐにソルの後ろに隠れてしまった。
彼は少し残念そうな表情をしたが、それがいつもの事なので、ソルが僕の事情を説明すると、彼はその事で気を悪くした様子はなく、その時は仕事を優先し僕は早々に仕事を済ませて、お母様の神域に戻っていった。
この時、その神が“『またね』“と言って僕達を見送った事を、僕は深く考えてなかったのが、後の大問題に繋がるとは思わなかった・・・・
また、しばらく月日が空き、新しい仕事に慣れて来た頃、通常通り仕事で成長が止まってしまった世界の一つの星に赴き、株分けの“精霊樹“を植えようとした時、その世界の創造神がソルに相談があると言って別の場所へ連れ出した、僕はその事を気にするとこなく、自分の勤めに専念するため、“精霊樹”を植える場所までこの世界の神の部下で従属神の男性に案内して貰う事にした。
『ではコチラに植えてよろしいですね?』
男従属神『はい、よろしくお願いします。ユグドラスフィア様』
案内された場所は周囲に緑がなく、地面も水気を感じないぐらい乾いた荒地となっている、そんな状態の場所の中心、当然そこには生命の気配もなく、ただただ、寂しい風景が広がり乾いた風が吹き荒ぶ所だった・・・
『分かりました。少し下がってください、始めます。“大地よ甦れ、新たな芽吹きよ来たれ、そして、成長繁栄せよ”』
こうして、いつものように荒地と化している大地に力を注ぎ、そこにこの世界のエネルギーの供給源となる“精霊樹“の芽を芽吹かせ、急速に成長を促した。
『これで、少しすれば精霊達が生まれ、緑豊かな星へと変化してゆくでしょう。・・・!?』
見上げるほど大きくなった“精霊樹“を眺め、後のこの星の行く末が豊かになるよう願っていると、ふと急に目の前に以前“またね“と言って僕達を見送った1柱の神が姿を現した。
その頃はもう、その神の事は遠い記憶の彼方に追いやられていて、すぐには思いださなかったのだが、向こうが親しげに話しかけてきたことで、やっとその神だと思い出し、コチラも顔見知り程度の挨拶を返した。
すると・・・
いつしかの神『やっと、また会えた、もう逃さない・・・』
『えっ?』
ドスッ!!
と、親しげに話しながら近寄ってきたその神が急に表情を歪め、そう言ったと思ったら、急に手にしていた剣で僕の心臓を刺してきた。
ボロボロボロッ・・・
『なっ!!??何!?っ、やめっ・・・・』
同族の神に襲われるなど、考えたこともなかった僕は、避ける事も、逃げる事もできず、真正面からその神の力が詰まった剣を受けてしまい、理解できないうちに剣で刺された場所から身体が崩れていき、僕はあっと言う間に自由に動かせる身体、お母様から創って頂いた“神体“を失い、魂だけとなってしまった。
急にそんな事をされて危機感を感じた僕はすぐに魂だけでも逃げようとしたが、どこで手に入れてか分からない、透明で複雑な術式が刻まれた蓋のある瓶に魂を閉じ込められ、全ての世界から隔離されてしまい意識が飛んでしまって、気づいた時には見聞きした事もない世界で人間として生まれ変わっていた。
それから、今に至るまで、僕は何度も何度も様々な世界で生まれては、不遇な人生を送り死んで、時にはあいつの策略か、その世界の動乱に巻き込まれて、悲惨な死に方をしてきた、最初は以前の記憶を持ったまま生まれ変わっていたが、いつしかそんな繰り返される人生に絶望して、新たに生まれるごとに以前の人生の記憶を封印してしまうほど、途方もない数の人生を繰り返して来た・・・
「・・・もう、お分かりかと思いますが、神としての僕の身体を殺し、魂を捕らえて、人間に転生させた“神“、それが例のあの“原初の蛇神“、今世でも僕をしつこく付け狙って来ている気持ちの悪いアイツ、原初の蛇神、名を、“サマルニズヘッグ“と言う、蛇神です。僕はそいつに襲われたせいで、神としての身体と力を失い、途方もない先月を人として生き、死んできた、何度も何度も、気が狂いそうになる程・・・アイツは、僕の魂が自分の世界の住人に転生できるほど汚すため、ただ、それだけのために・・・」
「「「「「っ!・・・」」」」」
今、この状況になった原因、その最初の物語を全て語り終わり、最後にそう言った僕の表情は酷く歪んでいただろう、そんな僕を見た全員が酷く痛わしげな表情で僕を見てくる。
ソル「・・・スフィが殺された時、俺は任務先の創造神に相談を持ちかけられていたが、あの時からすでに、あの蛇神が手を回していたのだろう、スフィが殺された瞬間、俺にはそれがすぐに伝わり、すぐにスフィの元に向かおうとしたが、相談をしてきた創造神が俺を引き留めてきて、そばに行くのが遅れた・・・
そのせいで、スフィがっ!!ギリッ・・・」
「「「「「ソル・・・」」」」」
僕が当時の事を思い出して悔しさを滲ませていると、隣で僕の話を聞きながら僕以上に悔しい思いをしてきたソルが、当時の自分の不甲斐なさに怒りを滲ませながらそう言って歯軋りをする。
ソルが僕の昔の名で話し続けるほどの、その悔しさや怒りを痛いほど理解できた僕や皆んなが、気遣わしげにソルの名を呼ぶと、ソルは怒りで握り込んでいた手を緩め、話を続けた・・・
ソル「っ、・・・引き留めて来た創造神を振り払って、すぐにスフィがいた場所に駆けつけたが、そこにはすでにスフィの姿はなく、スフィが植えた“精霊樹“だけが残っていた。
でも、俺はスフィの魂が死んでない事は分かっていたから、すぐに母上にその時の状況を報告し、自分で自分の身体を壊し、魂となって自分達の魂の繋がりに導かれるまま、様々な世界を漂い、どこの世界か忘れたが、そこでやっと何度目の人生か分からない、その世界での人生を終えたスフィの魂を見つけて、例の蛇神にバレないようその後を追いかけると、新たな世界で転生させられるスフィ見て、すぐに自分も同じ世界で人間として生まれ変わった。
蛇神に怪しまれないように、自然な形で人間としてスフィに近づき、共に帰ろうと話しかけた、だが、その時はすでに、スフィは今までの自分の人生の記憶を封印していて、自身が神であったことも、魂の片割れである俺の事も、全て忘れていた・・・
その時俺は、これがあの時、スフィの側から離れて1人にして、怖い思いをさせてしまった、自分への罰なのかと、俺は、そこから、スフィが何度も生まれ変わろうとも、絶対にそばにいると誓い、スフィが今までの記憶を取り戻し、神として復帰できるまで何度もスフィに話しかけた。
でも、スフィは何度生まれ変わろうとも、何度も自分の記憶に封印をかけて、まっさらな状態で人生を送った。
そんな事が何百回、何万回と繰り返されるころには、自分もいつの間にか記憶を封印して生まれ変わるようになって、自分自身も何者か忘れて生きるようになった。だが、そうなってもずっと側にいるという誓いだけは消えないまま、俺はスフィの転生する先について行った。スフィが死ねば自分も死んで・・・」
「っ!?ソル!!貴方!いくら魂のつながりが強いと言っても、神の身体を壊した時もそうだったけど、人間の時も同じように何度も自分の身体を壊していたの!?」
ソル「あ、いや、・・・何回かは蛇神の策略に巻き込まれて死んだ時もあったな・・・」
「!!??それ以外は意図的に死んで僕の魂を追いかけて来ていたって事でしょう!?あっ!!もしかして!!、前世も僕が落雷死した後に自殺したんじゃ!?」
「「「「「えっ!!??」」」」」
ソル「い、いやっあの時は事故死だっ!自殺じゃない!!・・・ただ、咲子が死んだと車で帰宅中に知らせを受けて、ショックで車を操作ミスして・・・」ゴニョゴニョッ
ソルはソルで僕との再会までに色々とあったらしく、再会後も僕を見守るために無理をしていた事が判明、僕はてっきり蛇神の策略で同時期に死んだ人生以外は、自分が死んだ後のソルの人生はそのまま続いていて、寿命を迎えたタイミングで僕の新たな転生に合わせるように、また一緒に転生していたのかと思っていたのだが、どうやら、一つの人生ごとに自ら自死して僕の魂を追いかけて来ていたようで、それを問い詰めると言い訳にならない言い訳をして来たので、前世でも同じような事をしたのかと問い詰めたら、自殺は否定したが、最後の方は恥ずかしそうにゴニョゴニョと事故死の原因を話した。
「・・・事故死、しかも運転ミスで・・・はぁ~~っ・・・今思えば、僕が先に死んだ時の人生のソルのその後の事は全然知らなかった、でも、僕が思い出した限りではほとんどの人生で、ソルらしき幼馴染は僕と同じタイミングで死んでる時が多かったな・・・どちらにしても、ソルが最初に僕を追いかけるために“神体“を自分で壊した時から、ソルの追従するような死は運命付けられていたのかもしれないね・・・」
ソルが自分の身体をすぐに殺して僕の後を追いかけて来るのが、僕にはなんだか双子の兄弟だからと言うでけではなく、何かしらの呪いのように思えて来て仕方なかった、だが、
お母様「いやいや、君達、元々2つで1つの魂だったから、再会した時点で魂同士が危機感を感じて、離れないようになっていただけだよ」
僕&ソル「「えっ!?マジですか!?」」
お母様「マジもマジ!!前任の“最高神“の身体は簡単に分けられたけど、魂の方はかなり面倒だったんだよ?切り分けてもすぐにくっ付いたんだから・・・はぁ、切り分けてすぐに“神体“に無理矢理突っ込んでやっとくっ付かなくなったぐらいだし、ソルのずっとスフィ側にいなきゃって思いも、多分、魂の共鳴が影響してると思うよ?」
「そうなんですね、確かに、僕達はいつも一緒にいるのが普通でしたもんね・・・」ほっ・・・
と、お母様の話によると、ソルの無謀な行動も、元を辿れば僕達の魂が元々1つだった事が原因らしかった。その話を聞いて、今のソルの話でソルの自死が自分のせいではないかと後ろめたかった僕は、自分達の魂のつながりは思っていたより強力だったと知ってちょっとほっとしたのであった・・・
お母様「まぁ、2人の魂の絆が深くて別々に探す手間はなかったのいいけど、スフィの最初の死の報告以降、スフィを見つけても、その後を追いかける方に気が行きすぎて、連絡をくれなかったのはかなり困ったんだから、そこは反省してね?ソル」
ソル「あ、はい、申し訳ございませんでした。母上・・・」
ソルは自分の身体を壊して僕を追いかける、自身の行動に疑問は持っていなかったようだが、お母様にこうして叱られて、少し反省はしているようだ。
そして、全ての話を聞いた全員はそれぞれ考え込み始め、頭の整理が終わったのか、何個か質問が飛んできた。
父様「アトリー、君の前世での死因が“落雷死“って言っていたけど、それはどうしてそうなったんだい?やはり、あの蛇神が関わっているのかい?」
「あ、あー・・・・」
と、1番最初に来た質問は、それはそれは答えにくいものだった・・・・・
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