65話 互いに自己紹介
「母さん、皆んな、色々と聞きたいこともあるだろうけど、一旦、お茶でもして落ち着こう、チビ達は少し退屈だっただろうし、私達の今の家族も紹介したいから・・・ねっ?」
ひとしきり再会を喜びあって、“地球サイド“の大人達は涙で顔がぐちょぐちょになった人達がいるので、仕切り直しとして、一息つくことを提案、その後に、前世と今一つ状況が飲み込めていない“ジェムシードサイド“の今世の家族を紹介すると言う事にした。
(子供達をこの場から引き離すための段取りとはいえ、少し、申し訳ないな・・・)
と、思いながら、前世の家族と困惑気味の今世の家族の両方を見ていると、いつの間にか“使いの神“、正確にはお母様の“従属神“である“サスナ“と“グラナ“が“ジェムシードサイド“の人達を座っている長椅子から立たせ、広場の端に移動するようにと案内し始めており、その様子を見た僕達も周囲にいる“地球サイド“の前世の家族達を広場反対側の端に誘導し、“サスナ“達2人の作業の邪魔にならない様にすると、広場の中央に誰もいなくなった事をしっかり確認した2人は、広場中央を左右に挟み込む様に分かれて立ち、無言で両腕を高く上げ、広げてゆっくり下に下すと言う動作をした、すると、広場中央にそれまで並べてあった長椅子が一瞬で消え、次の瞬間にはそこに複数の丸いテーブルと椅子のセットが現れた。
(地球の結婚式の披露宴会場みたい・・・)
と、少しそう思ったが、僕達は両サイドの家族達を、親戚関係が分かりやすいようにグループ分けして席に座らせた。そして、全員が着席したのを見計らって、“サスナ“達が“収納スキル“に似たやり方で亜空間から、後ろに控えていた2つの世界の神々の分も含めた人数分の茶器とお茶請けを取り出し、すでにお茶が入っているティーポットから1人ずつお茶を注いで行き、全員にお茶が行き渡ると、“お母様“が最初の一口を飲んで、他の人達もそれに続くようにお茶に口をつけて一息付く。
(あ、僕達は舞台の前に他のテーブルより少し小さめのテーブルを用意されていたので、舞台を背に2人で座っているよ!)
(ふぅ、やっぱり“サスナ“達が入れてくれるお茶は、いつ作っているか分からないけど、いつ飲んでも美味し・・・ほんと、謎だけど・・・)
と、いつ用意してるのか不明だが美味しいお茶を飲んで、一息ついた人達は困惑や感情の昂りなどは一旦落ち着きを見せ、気分を切り替えることができたようだ。
そうすると、状況把握能力の高い人達から、何か聞きたげな表情で視線が送られてくる。(さっさと説明しろやぁ!と、言った感じの視線が突き刺さるよぉ~(*´Д`*))でも、その説明はもう少し後にするから、もうちょっと待って欲しいと思う僕だ。
「コホンッ、え~、今、こちらの“ジェムシード“に住む皆さんは、今の僕達の姿に困惑している所だと思います。そして、それが何故そうなっているか、などもあまり分かっておられないと思いますので、簡潔に言いますと、僕とソルの2人は、こちらの“地球“と言う世界、父様達からすれば、“歴代の勇者達“が住んでいる世界で、以前“勇者候補“として、召喚された“花村 仁“、“白上 彩“、“吉田 夢香“の3名が暮らしている世界でもあります、その地球と言う世界で僕達は暮らしていた記憶があるのです。
その時の姿が今のこの姿であり、この姿の時の家族がこちら側に座っている人達、と言うことですが、そういった現象がなぜ起こったかと言うと、僕達は一度、こちらの世界、“地球で死亡“し、「「「「「!!??」」」」」新たに、父様達の世界“ジェムシード“にて生を受けて生まれて来ました。
一度死んで新たな命として生まれ変わること、これを“地球世界“の日本と言う国では、“転生“といい、人の魂は何度でも生まれ変わると言い伝えられています。まさに、僕達はその言い伝えの通りに“転生“、生まれ変わったのですが、その生まれ変わった先が同じ地球ではなく、“ジェムシード“だったと言うことですね。
・・・今の時点でわからない事などありましたら、遠慮なく聞いてください」
まずは僕から“転生“と言う“現象“についての説明をして、今説明した話で他に質問はないか?と聞いてみると、
ジルおじ様「少しいいだろうか?」
「はい、どうぞ」
説明をしても、いまだに理解が追いつかない人が多い中、ジルおじ様が手をあげて聞いた来たので、僕はジルおじ様を手で指し、続きを促す。
ジルおじ様「以前、“勇者候補達“の仁達がこちらの世界に来ていた時、仁がアトリー、いや、ユグドラスフィア様?に「あ、いつも通り、アトリーでいいですよ」・・・分かった、アトリーに“テンセイシャ“?と言っていたのは、今話してくれた“転生“と同じ意味だったのかな?」
「あー、はい、そうです。ジェムシードでは“転生“と言う概念がなかったので、言葉として意味がわからなかったと思いますが、“転生者“と言うのは“転生“した人のことを指しますね」
ジルおじ様「ふむ、そう言うことか、・・・では、あの時仁達はアトリーが“転生者“だとすでに勘づいていた、と言うことだが、アトリーはその事を私には誤魔化しただろう?って事は、その時すでにアトリーには以前の生の記憶?がすでにあった、その事に気づいたのはいつかだったんだろうか?仁達に聞かれた時?で、いいのかな?」
「あ、いや、僕は、生まれた時から、以前の記憶、“前世“と言いますが、“前世“の記憶を持ってましたね・・・」
ジェムシードサイド「「「「「!!!」」」」」
「本来ならソルのように前世の記憶は生まれる前に消えるものなんですが、僕の場合、少し事情があって、前世の記憶を保持したまま生まれ変わりました・・・」
ジルおじ様の質問は以前に僕と仁達の会話で出た“転生者“と言う単語についてと、僕がいつ自分が“転生“した事に気づいたか、と言う質問だったのだが、前回、“転生者“について説明した時に誤魔化したこともそうだが、生まれた時から前世の記憶があったと言うことを伝えるのは少し抵抗があったが、今ここで誤魔化しても意味はないだろうと思い、思い切って正直に話すと・・・
父様「生まれた時から・・・・」 母様「だから・・・・」 ジルおじ様「しっかりしている子だと思っていたけど・・・」 サフィアスおじ様「規格外な子だと思っていたけど、前世?の記憶があったから色々な発想を持っていたんだな・・・」
と、両親や兄弟達は僕が言った事に少なからずショックを受けているように見え、王族や親戚、他の人達などはこれまでの僕の規格外な行動や、大人びた思考などの原点が分かって、納得した様な様子を見せていた、だが、
「・・・っ、父様、母様、皆んな、これまで黙っていてごめんなさい!!この事を言うと嫌われるかもって思って、今までずっと皆んなに話さず、騙したまま生活していた事、本当にすみませんでした!!」ガバッ!!
ジェムシードサイド「「「「「!!!???」」」」」
今世の家族の反応を見て、これまでの自分の行動が後ろめたくなってきて、思わず立ち上がり深く頭を下げて謝罪すると・・・
母様「っ!!・・・アトリー、後悔しているの?これまで暮らしてきた思い出が、全て後ろめたくなって謝るほどに、私達との暮らしは楽しくなかった?いつも何処かで後ろめたさで心の底から楽しめてなかったのかしら?」
「!!、い、いいえ、この15年間、自分が転生して来たことも度々忘れるほどに、楽しく、かけがえの無い充実した日々でした」
母様「そう、なら謝らないで、アトリーが伸び伸び成長して、暮らしてくれること、それだけが私達のこれまでの願いでしたから・・・」
後ろめたさで、謝罪した僕に母様は真剣な表情で自分達との暮らしは後悔にしかならないほどのものだったのか?と聞かれ、僕はその言葉で、今自分がほんの少しの後ろめたさで謝罪したことは、これまでの生活の全てを否定していること、今世の家族との絆さえも否定していることだと気づき、僕はすぐに母様達との思い出はかけがえの無いものだと、言うと、それを聞いた母様はそう言ってホッと安心し、僕を慈しむ表情で見てくる。
「っ・・・はい、ありがとうございます。母様・・・、ただ、その、・・・」
母様「なぁに?」
「えっと、僕、いや、私、こんな見た目ですが、死亡した時の年齢が、・・・その、「「「「「???」」」」」35歳でして・・・」
ジェムシードサイド「「「「「ええっ!!??」」」」」
可愛い我が子を慈しむ表情で見てくる母様に僕も安心したけど、ただ一つ、どうしても拭えない後ろめたさ、その原因である事実をオズオズと告げた。すると、ジェムシードサイドにいた人達はまたもやフリーズ、地球サイドの人達は、僕の死亡年齢を知っているので苦笑い、今は前世の日本人としての姿なので、身長も低く、顔も日本人特有の童顔、さらに、僕は歳をとっても顔が老けないタイプで肌艶も良かったので、よく、他人からはお世辞もあるだろうが、20前半と間違われているほどの姿形だ。
それとは逆にジェムシードの世界、と言うよりウェルセメンテ王国人?は基本、地球で言う欧米諸の白人風の外見をしているので、彼らの基準からすると、僕はまだまだ未成年と思われていると僕も思ったので、今、その1番後ろめたい事実を話し、認識を正した。
「な、なので、生まれ変わってすぐの頃は少々恥ずかしいと思うことが多くて・・・」
母様「・・・はっ!だから、アトリーはあんなに早く1人で本を読み進めたり、個室で寝ようとしたりしてたのね!?」
父様「そうかそれで、同年代の子供達や他国の王族達から絡まれても冷静に対応して来たのは、精神が大人だったからか!!・・・ん?待てよ、アトリーが生まれた時は私達は何歳だった??・・・」
生まれた時に羞恥心を感じていたことをポロッと言うと、その頃の僕の行動を思い出した父様、母様達が妙に納得して頷いていたが、そこで父様がある事に気づいてしまった。
そう、僕が生まれた時の自分達の年齢と、僕が死んだ時の年齢の差に・・・
母様「!!あ、・・・27、28?だったわ・・・もしかして、私達の事を見ながらたまに微笑ましげに笑っていたのは・・・」
「あ、はい、子育て大変そうだなぁ、とか思ってました。私は前世では子供は結婚もしていませんでしたが、子育てだけはかなりして来ましたから・・・」
と、当時の他の兄弟の育児の奮闘ぶりを親戚のおばちゃん目線で、応援してきた様な言い方で言うと、母様達は顔を真っ赤にして手で覆い隠してしまった。
(あはは、それだけはマジすんません( ・∇・))
ジルおじ様「ん?そうか、こちらにいる人達が前世の家族という事だから、それで、子供の扱いがうまかったのか・・・」
「そうですね。あ、ちょうどいい機会ですから、前世での家族を紹介しますね」
で、始まった自己紹介、まずは前世での母親である“皐月母さん“から始まり、その後は長女の“亜実子姉さん“家族へと、前世の兄弟の年齢順に各家族を紹介していき、そのままソルの前世での家族の紹介をすると、今世のソルの家族は少し複雑そうな表情をしていた。
(まぁ、ソルはこれまで、前世の記憶は一切無い状態で普通、とはい言い難いが、子供として暮らして来ていたからな、やっぱり少し思うところもあるんだろうなぁ・・・(*´Д`*))
そんな事を思いつつも、次はジェムシードサイドの家族の紹介もしていき、今の1番の目的である子供達をどうにか仲良くさせて、この場から離す様に誘導する作戦を進めた・・・・




