47話 “学園祭“・・・起きてみると・・・
その頃、暗くジメジメした洞窟内で・・・・
(う、ん?・・・ここは?・・・)
いつの間にか眠っていたのか、気づいたら既に見知らぬ場所に来ている、転移した瞬間は椅子に座っていたのだが、今は硬い石の台のような物の上に左肩を下に横向きに寝そべっている様な形になっていた。
まだ、体は自由に動かせず、横向きの範囲しか見渡せないが、周囲の状況を確かめようと見渡してみると、
(薄暗いな、それになんか湿ってる?・・・えっ!?魔法陣がたくさんある!?どこだ?ここ・・・『アトリー!!アトリー!!起きてる!?』!!!ジュール!?)
周囲は薄暗く、目を凝らして前をよく見てみると、最初に目に入ったのは今いる空間の壁らしきものと、その壁いっぱいに描かれている魔法陣らしきもの、それに驚いていると、急にジュールからの念話が入って来た。
ジュール『あ、アトリー!!やっと起きたんだね!?怪我してない??』
(う、うん、怪我してないよ)
僕が念話でジュールに答えたら、嬉しそうだけど、焦った様子で僕の安否を聞いて来たので、今の所、何処かに怪我があるような感じもしていなかったので、ジュールを安心させるためにそう言ったら、
ジュール『よかったぁ・・・』
と、心底安心したように呟くジュール、すると、
天華『アトリー、今、ご自分がどこにいるか分かりますか?』
(あ、天華?えーっとねぇ・・・どこかの洞窟?みたいな所、なんか壁や床に魔法陣がたくさん描かれてる、これのせいか、魔力や神力が吸われて、スキルや探知も上手くいかない、だから正確な場所はわからないね・・・)
次は天華が自分のいる場所がわかるか?と聞いて来たので、先程と同じ様に場所の特定につながるものがないかと周囲を見渡しながら、自分のいる場所をいつもの様に特定できるか魔力感知、気配感知や探索など、感知系や探索スキルを魔力、または神力を使って試してみたが、全く使用できず、使用した分だけ周囲に描かれた魔法陣に吸収されている感覚があり、情報としては今自分が見ている範囲しか分からなかったので、素直にそう伝えると、
天華『そうですか。・・・誰か近くにいますか?』
と、少し残念そうに次の質問をしてきた。
(身体がうまく動かないから今見えてる視界の中には誰も「おや、目が覚めたのですね?」っ!!??後ろに誰かいたみたい!!)
ジュール達『『『っ!!』』』
身動きが取れず、感知系のスキルも効かないので、目に見えている範囲では人影がいなかったので、そう伝えていると、背後から聞き覚えのない若い男性の声がし、物凄く驚きながらも天華達に伝えた、天華達もそれを聞いて驚き一気に緊張した雰囲気が伝わってきた。
?「意外と早く目覚めましたね?あぁ、でも、まだ身体はうまく動かないみたいですね。・・・ふむ、やはり、身の危険になるような作用は早く回復するようですねぇ・・・」
声の主はそう言いながら背後からゆっくり僕の視界の方に歩いて来て、腰を屈めて僕の顔を覗き込み、まじまじと観察した後に、僕の体が動かない事と転移と同時に意識が無かった原因を知っている様な口ぶりで、独り言を言いつつ姿勢を戻し、まるで実験動物を見るような目で、白衣を着て四角い眼鏡を押し上げながら、いかにも研究者と言った風の若い男が僕を見下ろしてくる。
「っ!!」 (・・・転移前は意識があった、って事は転移の際に何かの作用で僕の意識を奪っていた?と、言うことか?壁にある魔法陣にもその作用があるとしたら、また意識を奪われるかも!?)
夜月『アトリー、“加護の結界“はまだ、機能しているか?』
(あ、うん、まだちゃんと展開されてるよ。この男の人もそれが分かってるのか一定の距離に近づいてこないから・・・)
夜月『そうか、なら安心だな。今、ソルや私達の魂の絆の繋がりを辿っているから、もう少しの辛抱だぞ!』
(!!、・・・うん!分かった!僕も、なるべく動けるように頑張る!!)
ジュール『アトリー!すぐに迎えに行くから待っててね!無理しないでね!』
(うん!待ってる!٩( 'ω' )و)
白衣の男の言葉で、再度意識を失う状況になるのでは?と、恐れていると、唐突に夜月が“加護の結界“の話をして来たので、それに答えると、結界が健在だと確認が取れたからか、今度は自分達が今、僕の元に向かって来ていると教えてくれた。その言葉に僕は心底安心して、自分でもできる事を頑張ろうと気合を入れると、ジュールも気合いっぱいで僕を迎えに来ると言ったので、期待を込めて僕もそう返していると、
白衣の男「あぁ、そう警戒しないでください、そう何回も行える術式ではないので、それに、多分もう、同じ手は通じないでしょうから。貴方の周囲に張り巡らされている結界はかなり性能が良いようですからね・・・まぁ、次のこれに耐え切れるか見ものですね・・・」
と、僕が念話中にじっと白衣の男を見ている間に、向こうは僕が意識を奪われた事を警戒しているのを察し、何故か自分の手札と言って良い物の不利になる情報を話し始め、“加護の結界“の性能を賞賛した。たが、続けて放った言葉と同時に何かを持ち上げる動作をした・・・
(っ!!!???)
ジュール達『『『!!??アトリー!!???』』』
(・・・)
夜月『アトリー!!何があった!?返事をしろ!!』
(っ・・・な、なんだあれ・・・うっ!気持ち悪いっ!!・・・“のろい“や悪意、瘴気や邪気、全ての負の感情と、身体と精神に悪影響を促す物全てをヘドロに入れて煮詰めたような生臭い匂いのする、粘り気のあるどろっとした赤黒い?いや、角度によって色を変える虹色の油膜を張ったヘドロ??・・・兎に角、形容し難い色の液体を取り出してきた!・・・「ゾワッ」っ、あれ!絶対にヤバイやつ!!鳥肌が止まらない!!見て、匂い嗅いでるだけで吐き気がする!!)
白衣の男がしたから持ち上げ、差し出してきたものを見た僕は、あまりにもありえないものを見せられて、一瞬、動揺で言葉を詰まらせた。すると、僕の動揺が伝わったのか、ジュール達が心配の声をかけてくるが、僕がすぐに返事をしないと、その事に焦った様子の夜月が大きな声で何があったのか、と問いけけて来た、そこでやっと僕も思考できる余裕が戻ってきて、差し出されたものを再度よく見ると、更なる不快感が襲ってきたが夜月達に今の状況を伝えねば、と思い出して、目で拾える情報を全て拾い、できるだけ分かりやすく説明したが、あまりにも悍ましいものに次は嫌悪感が強く出てプチ混乱を起こした。
夜月『落ち着け、アトリー!!、見るのが嫌ならそれ自体は見なくていい、でも、それで何をされるか、それだけは見ていないと対処できなくなるぞ!!』
(うっ!!わ、分かっているけど!今すぐにでもここから逃げ出したい!!そんな気分がするものだよ!あれ!!くそっ!!なんでこんな時に身体が言うこと聞かない!!!???)
夜月に宥められ、冷静に対処できるようにと言われ、その言葉は頭で理解はできていても、兎に角この場から逃げたい衝動に駆られ、焦ってしまうが、身体が言う事を聞かず、身動きが取れないことにさらに焦っていると、
?『あぁ・・・その表情たまらんなぁ(!!??)・・・起きるのを待って正解だった・・・』
(っ!?まだ誰かいたのか!!??)
ジュール達『『『!?』』』
背後から新たな人?の声がして驚いていると、その声の主らしき人?の足音が白衣の男と同じように僕の目の前に移動してきた。
(ま、マジで誰だ!?)
ジュール達『『『・・・』』』
再び見た事のない黒い服を着た吊り目の若い男性が現れて、僕の頭に“?“マークが飛び出た。
黒服の男『・・・ふむ、分からんか?我と其方は切っても切れぬ間柄であるのになぁ・・・』
と、誰でも演技だと分かるような、わざとらし言い方で嘆いて見せる黒服の男、
(どう言う・・・!!!まさか!!??・・・こいつ、あの“邪神“!!??)
ジュール達『『『なっ!!??』』』
その言動に少しイラつきを覚えたが、今の状況からこの黒服の男の正体がすぐに思い至ったが、見てすぐに気づかなかったのは、今まで自分の前に見せて来ていた姿とは全く別物だったので、気づかなかったのだ。でも、そう言われて、少し考えれば、状況的にこんな手間をかけてまで、自分を拉致しようとする人物?は他にいないので、答えはすぐに出たのだ・・・
邪神『おぉ、やっと気づいたか!よしよし、我がしっかり認識できたようだし、早速始めるか、・・・いつまで正気を保てるか、見ものだなぁ『ボソッ』・・・』 にたりっ・・・
“邪神“は自分の正体に気づいてもらえて嬉しそうにした後、横に避けていた白衣の男に向かって合図を送り、後半、恍惚とした表情でそう呟いて、“にたりっ“僕に笑って見せた。指示を受けた白衣の男は、あの液体が入った器をまた床に置いて、僕の視界から消えて行った。
「!!?、な・に・する・き・・だっ!?」(何する気だ!?)
物凄い嫌な予感に精一杯声を捻り出して、そう言った僕に“邪神“は、
邪神『・・・今に分かる・・・』
と、一言だけ言って、笑顔のまま最初にいた僕の背後に戻って行った。
夜月『アトリー!身体はまだ動かないか!?』
(!!っ、まだ・・・いや、今、口が少し動き出した!徐々に術?薬?か何か、麻痺みたいな効果は薄れていってるみたい!!)
背後に消えていった“邪神“の言葉に言い知れない嫌な予感を感じていると、急に夜月から質問が来たので、答えを返そうとした時、先程まで全く動かすことができなかった口が動いたことに気づいた。
夜月『!!、そうか!!では、まだ、魔力や神力は使えないか?吸われている感じはあるか試してみてくれ!』
(!分かった!・・・うーん、まだ吸われてる・・・ん?でも、神力を作る前の自然エネルギーは吸われている感じはしないから、神力を練ることはできるな、練った端から吸われているけど・・・魔力は使おうとしなければ吸われてない感じ?いや少し吸われてる?かも?ちょっと微妙すぎて分かんない・・・)
天華『!!アトリー、それは魔力が枯渇するほど吸われているわけではない、と言う事ですね?』
次に夜月が聞いて来たのは念話が最初に繋がった時と同じ、魔力や神力が吸収されているかどうかと言うことだった、そこは最初と同じで魔法やスキルを使おうとしても使えないという結果だったが、ここでも少し、気づいたことを何となく話したら、今度は天華からそう質問された。
(えっ、うん、そうだね?・・・うん?あ、もしかして!僕が転移直後、意識がなかったのはもしかして、転移魔法陣に魔力をほとんど奪われて、魔力枯渇を起こしてたからか!?)
天華『あ、それはそうかも知れませんが、今はそこではなくっ、体内にある程度魔力が残っている、と言う所です!』
天華の質問から先程まで自分が気を失っていた原因を示唆されたのかと思って、自分の予想を話したら、どうやら、その事じゃなかったみたい・・・
(うん?魔力がそこそこ残っているのが肝心?ってこと?どうして?魔力が残ってないと、この世界の人は死んじゃう可能性があるから、アイツらもわざと残してるんじゃないの?(・・?))
天華『確かに、魔力が生命の維持にも使われてます。それもそうなんですが、魔力は他にも魔法やスキルなどを使用する時にも使われていますよね?』
(うん、そうだね?でも、今は魔法も打てないし、感知系や探索系のスキルも使えないよ?)
天華『そうです。任意でスキルを使おうとすれば、その洞窟内に書かれている魔法陣がそれを感知して、魔力や神力を吸い上げているようですが、その魔法陣、いつも無意識に発動されているスキルや加護の効果には対応していない様なのですよ・・・』
よくよく、天華の話を聞いてみると、どうも、魔力の残量の話ではなく、僕の中にあるエネルギー全般の使用用途の違いらしい。
それで、そこまで話をきた僕は、
(あっ!!そう言う事!?今、僕の身体が動かない、麻痺?の原因が術や薬?と言った物の効果だとしても、僕の無意識に常に発動している“超回復スキル“が正常に動いているから、徐々に術や薬?の効果が薄れて行ってる?って事!?)
と、天華の話の途中だったけど、やっと天華が言いたかった事が分かって、答え合わせとばかりに少し興奮しながらそう言うと、
天華『そう言う事です!それに、いつもはアトリーと私達の魂の絆を利用して、アトリーを通じて流れてくる地球の自然エネルギーとも繋がっていたのですが、一度、念話のラインとともに自然エネルギーのラインも切れていたんですよ。ですがさっき、魂の絆を使って念話のラインを再び繋げたことで、自然エネルギーのラインも同時に繋がったんです。だから今、アトリーがいる場所が大体分かっているんですよ。
なので、アトリー、これからそのままでも徐々に身体の麻痺?は解けていくでしょうが、“超回復スキル“の効果を胸から下に意識してみてください、意識したことで多少魔力は吸われるかも知れませんが、アトリーの魔力量なら大丈夫でしょう。
それに魔力枯渇するほどの魔力量は奪われないと思いますし、最悪、足さえ動けばアトリーなら“邪神“達を牽制し逃げることができるはずです』
(そ、そうか、いつも無意識に発動してるから意識したことなかったけど、そう言った使い方もあるね・・・よし。ちょっと、やってみる!!٩( 'ω' )و)
と、天華は追加情報と打開策も教えてくれたので、僕はその打開策の案に関心し、早速実行してみる事にした。
この間、白衣の男と“邪神“は僕の背後で、ゴソゴソ何かをしている音は聞こえていたが、念話に夢中で、奴らが今から行おうとしている事に、僕は全く気づいていなかった・・・(まぁ、嫌な予感からの現実逃避、とも言う・・・)
*実際は、これまでに無いアトリーの動揺を感じとった天華達の気を逸らし作戦で、それが成功したと言うことだった・・・・




