40話 “学園祭“・・・トラブルは続くよ・・・
“オーク王子“が妹をいじめている事も今回の件で、流石に他国の身内争いだとしても見過ごせ無くなったと言われ、この騒動を起こした件も併せて報告すると言い出した王太子に、“オーク王子“は焦りの表情が浮かんでいた。そこに“ボレアースの王女“が止めとばかりにした発言で、とうとう怒りのボルテージが溜まったのか、顔を真っ赤にさせた“オーク王子“が逆上して“ボレアースの王族2人“に襲い掛かろうとした・・・
?「辞めないかっ!!!」 ドンッ!!
「「「「「えっ!!???」」」」」
(次は何が来たのさ!??( ゜д゜))
この時、聞き覚えの無い声と同時に突如として現れ、“ボレアースの王族2人“に突進していこうとした“オーク王子“に、無属性の遠距離攻撃魔法、“マジックボール“を問答無用でぶつけて、真横に吹き飛ばした人がいた・・・
(・・・だ、だれ!?また知らない人が来た!!Σ('◉⌓◉’))
ベイノルデン王女「ノルベルお兄様!?」
「ん?・・・君のお兄様って事は“ベイノルデン“の王子殿下?・・・」
ベイノルデン王女「あ、はい、同母の兄で、“ノルベル・ヴァスィリス・ベイノルデン“第5王子です。本来の予定では、今日の“学園祭“に来られるのはノルベルお兄様だったんです。今朝、デューキス様への贈り物の椅子を取りに行った時に、チャール兄上がこちらの国に来られていた事を知って驚きましたが、まさかあの後にノルベルお兄様の招待状を持って学園に入って来られるとは思いませんでした。でも、ノルベルお兄様はすぐにチャール兄上を追ってこちらに来られたのだと思います。だから、あとはノルベルお兄様に任せておけばきっと大丈夫ですわ・・・」
(あ、やっぱり、ちゃんと追いかけて来てたんだね。第5王子、しかし、“オーク“より、かなりしっかりした印象の王子様だな、それに、彼女との兄妹仲もそこそこ良さそうだ・・・それにしても、やっぱり“オーク“と第5王子は兄弟って言われても、色味が似てるだけで、他は全然似てないな・・・)
と、僕同様に物陰に隠れながら騒動を見ていた“ベイノルデンの王女“でクラスメイトの彼女が、僕が少し気になっていた疑問にも答えてくれた。彼女の同母の兄の事を話している様子から、これまでの彼女の学園生活の状況を多少なりとも知ってしまった僕としては、兄妹仲が悪いわけではなさそうだと知れて安心した。
「・・・ノルベル王子殿下とは仲が良いんだね?・・・それにしても、第4王子と第5王子は二人揃って見てみると、第5王子の方が年上に見えるね?本当に順番合ってる?」
ベイノルデン王女「あっ、それはあのお二人は出生日が同じなのですが、チャール兄上の方が数分先にお生まれになったと言うことで、順番が決まったのです。なので、その、見た目の年齢差は、その、性格が出ていると言いますか・・・」
「あぁ、それは確かにありそうだね・・・」
僕が王子2人のあまりの似ていなさや、雰囲気からして、見た目の年齢が逆じゃないか?と、ついうっかり口走ってしまったのだが、彼女はいやそうな顔をせずに、でも、ちょっと言いづらそうな表情で、2人の差の理由を話してくれた。
(いやー、どう見ても、あの“オーク“は甘やかされて育ちました!って感じで、反対に、第5王子はちゃんとしっかり教育受けました!って感じが出てるもんねぇ(*´Д`*))
こうして僕らが会話している間にも、“第5王子“が“第4オーク王子“に向かって“「王族としての振る舞いをしろ」“とか、“「他国に迷惑をかけるな」“とか、コンコンと説教しているのが見えている、でも、“オーク王子“はそんな彼に向かって悪態をつくばかりで、反省している様子が全くない。
そうして、反省の色が見えない“オーク王子“の態度に、“第5王子“の苛立ちが最高潮に達しそうになっているのを見て、僕は“(そろそろ誰か止めてくれないかなぁ)“、と思っていると、ちょうどそこに今日の最後の予約客が訪れたのだった・・・
(あ、来ちゃった、どうしよう、料理を提供したいけど、この状況ではゆっくり食べられないよなぁ・・・あ、でも、この状況をどうにかできそうな人達ではあるな・・・よし、これはあの人達に丸投げしよう!!( ・∇・))
と、勝手に丸投げすることに決めて、丸投げされた相手は、この国の王族、ウェルセメンテ王家一行。(国王夫妻、前国王夫妻、王弟、第2王子、第3王子、王太子夫妻は王太子妃が妊娠中のため、王城でお留守番中、ってか、ここに王族のほとんどが来ていて良いのか??(・・?))
サフィアスおじ様「・・・これは、どう言う状況だ?」
(ですよねぇ~・・・(*´Д`*))
いくら、今、食堂内に一般の招待客がいないと言っても、二つの国の王族がいて、その内一つのベイノルデンの王族は兄弟で言い合いの喧嘩をしていて、もう一つの国、ボレアースの王族は何故か兄妹でその喧嘩を眺めている、他にも隅の方で遠慮がちに他のクラスの女子生徒5人が、この状況について行けずにあわあわしているのだから、この状況をパッと見ただけで理解するのは無理がある。
そんなカオスな食堂内にさらに予定にない、いや、来るとは知っていたけど、意外と早かった来客が、・・・
父様「そろそろ時間かと思って迎えに来てみたら・・・これは、どう言う状況です?・・・」
と、サフィアスおじ様と全く同じリアクションをして入って来たのは、僕の家族一行。
(あぁ、父様達も、もう着いちゃったか、まだ、最後の予約客のおもてなしが終わってないんだけどねぇ・・・ってか、今思ったけど、クラスメイト含めて、この食堂内に王族多過ぎじゃね?(・Д・)しかも、問題も起き過ぎじゃね?)
僕が予定外の来客の多さと、騒動の一極集中に顔を引き攣らせていると、この国の最高権力者の登場で、言い合いをしていた“ベイノルデンの王族二人“は、流石にこれ以上ここで喧嘩をしている場合では無いと気づき、気まずそうに大人しくなっていた。
そこで、やっと冷静に話ができそうな雰囲気になったのを察したヘリー姉様が、サフィアスおじ様、王族全員や父様達、家族に向けてこれまでのあらましを説明し始めたら、その説明中に学園の警備騎士達が到着し、すぐに問答無用で“オーク王子“が確保されることに、“オーク王子“はかなり抵抗して何やら意味のわからない言葉を喚き散らし、頭に血がのぼったせいなのか、最終的に“オーク“らしく“「ブヒブヒッ」“と鳴いているような叫び声を上げていたが、その声の五月蠅さに耐えかねた天華が、姿を消した状態のまま魔法で口を蔦でぐるぐる巻きにして黙らせてしまった。
それに驚いた全員だが、僕がソルに今の現象の説明を頼んで表に行かせると、すぐに動揺も落ち着き、安全も確保できたと言う事で、関係者として物陰に隠れていた“ベイノルデンの王女“の彼女も、厨房から出てこれまでの経緯を話した。その話を全て聞いた大人達は、その後すぐにこの状況の収拾に入り始めた・・・
・・・数分後・・・
サフィアスおじ様「・・・ふむ、では、まず。こちらの“ベイノルデンの第4王子“の処遇の件だが、ノルベル第5王子殿下が使者としての公務中の期間、我が国の一般的な牢での拘置でいいのだな?」
ベイノルデン第5王子「はい、ご迷惑かと思いますが、この者は私の話など大人しく聞きません。それに大使館の牢に入れようとも、この者は自身の母親の権力を使って勝手に出ていってしまう可能性がありますので、そのような事になればさらなるご迷惑が掛かってしまいます。情けない話ではありますが貴国の牢で預かって頂けるとこちらとしてもありがたいのです・・・」
ヘリー姉様やソル、“ベイノルデンの王女“からこれまでの詳しい説明を聞いたサフィアスおじ様はまず、今日最初に騒動を起こした“オーク王子“の処遇を話し合い、身内である“第5王子“の意見、と言うか、申し出があって、“オーク王子“は“第5王子“のこの国での公務が終わって帰国する当日まで、うちの国の一般市民用の拘置所でお預かりと言う事になった。
これは、向こうの身内の事情もあって、“オーク王子“の母親の権力が強いのか、“ベイノルデン“の大使館では、“オーク王子“をずっと閉じ込めておくことが無理らしく、拘束力の低い大使館の牢からすぐに出て他に迷惑をかける事になるぐらいなら、“オーク王子“の母親の権力でも関与する余地もなく、しっかりと閉じ込めることができるうちの国の拘置所に入れて欲しい、という申し出だった。
この申し出は学園で騒動を起こした“オーク王子“の反省を促すためと、本当ならこの“オーク王子“は自国に速攻で送り返し生涯幽閉なり王族籍からの除名なりと、処罰を受けさせるところを、わざわざこの国に留めておいたのは、他国の王族を勝手に刑に処せない代わりに、この国に滞在する間だけでもこちらの国の施設で拘置する事で、自分達は今後の外交的にも僕に対しても対立は望んでないと示したのだろう、と、大人達は判断したようだ。
(この提案って、勾留中の“オーク王子“は好きにして良いって言うことで、僕やうちの国で迷惑をかけた貸しを少しは相殺しようって考えからなのか、もしくは本当に自国の大使館では勾留できずにさらに迷惑をかける前にって、気遣いからなのか、どっちが本心なのか分かんないなぁ(*´ー`*))
天華『いや、どっちって言うより、アトリーに“ベイノルデン“全体に悪印象を持たれない様にしているだけじゃ無いですか?』
(あ~、そう言う意味合いもあるかぁ・・・)
とか、話していると、
父様「・・・その処置つきましては我が家もそれで結構です。ただ、少々気になることがあるのですよ。“ベイノルデンの王子殿下お二方”がここに居られるのは、妹姫がこちらのクラスの生徒という事で理解できますが、・・・何故、ここに“ボレアース“の王族のお二方がお越しになられているのです?ここの通常の営業は終わっているはずですよね?」
と、父様が本来、ここにいるはずのない“ボレアース“の王族一行に鋭い視線を向けた。
(まぁ、それは警戒するよね、予約客向け以外の食材が全部なくなって、一般営業が終わってるこの食堂に予約客でもない“ボレアース“の王族二人がいるんだもん、それに、前もって僕は誰の呼び出しにも応じないって決めて、学園祭のパンフレットや招待状にもその事は記載されてあったから、ここに来ても会えないって知ってるはずだ、それでもわざわざここに出向いているのは何かしらの思惑があって来てるんだろうって、父様はわかっていて、“ボレアースの王族二人“に話を振ったのだろうな(*´ー`*)・・・まぁ、その思惑の内容なんてすでに父様にはお見通しなんだろうけど・・・)
何かしらの思惑がある“ボレアースの王族二人“は父様の鋭い視線を受け、王太子は少し気まずそうにして、妹の王女の方はその視線に少し焦ったような表情をして、申し訳なさそうに俯いた。
最初はどう話そうかと黙って考えていた“ボレアースの王族二人“は、少しして観念したように自分たちが何故ここに来たのかを話し出した。
まぁ、話の内容は大体予想通りで、王太子が僕に会って話したいと言った妹姫の願いを叶えるために強引にこの食堂に居座り、僕が出てくるのを待っているうちに、自分達と仲がいい“ベイノルデンの王女“へのいじめの現場に遭遇した、との事・・・
(まぁ、元々悪意は感じてなかったから、本当にそれだけが目的だったのは分かっていたし、いいんだけど、この人達、体面を気にするわけでもなく、すぐに理由を話しちゃったのは、素直で良い人すぎて逆に心配になっちゃう( ´Д`)y)
夜月『誤魔化しとか、言い訳とかと無縁そうだしな・・・』
天華『あまり深く考えないんでしょうね。・・・脳筋ですし・・・』
天華が少々、いや、かなり失礼な事を言った気がするが、僕はそれは聞かなかった事にして、まだ話し合っている大人達の様子を伺っていると、ちょうど父様達の話の流れで、“ベイノルデンの王女“と“ボレアースの王女“との交友関係の話題になったらしく、二人が仲良くなったきっかけを楽しく話していると、学園の警備騎士達に取り押さえられて、天華に口元を蔦でぐるぐる巻きにされていた“オーク王子“が、
オーク王子「むぐぅーーーっ!!」ガタガタッ!!
「「「「「!!!??」」」」」 「静かにしろっ!!」 「動くなっ!!」 「暴れるんじゃない!!!」
護衛騎士「皆様!お下がりください!!」 「総員!警戒体制!!」
ベイノルデン王族二人「「チャール!!?」兄上!!?」
突如、苦しむ様に暴れ始めた“オーク王子“に誰もが驚き、各王族が連れて来ていた護衛騎士達が警戒体制に入り、その場が一気に緊張感に包まれ、クラスメイト達も警戒体制に入り、食堂内の全員が“オーク王子“から一斉に距離をとった・・・




