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第6色

第6色


 気付けば在った。どちらが、ということも無く。どちらも、というわけも無く。

 少女と、少年と、世界は、意識の中で同時に知覚された。

 (ことごと)く見落とされた少女も、(すべから)く見捨てられた少年も、(あまね)く見留められた世界も。全て。


 理解する。世界が当たり前に存在することを。知らぬ間に。無意識に。見えている物が絶対だと。

 比較する。自分と他者を。他者と他者を。能力と能力を。意味と無意味を。在ると無いを。

 創造する。知識から成る物を。発展した文明を。溢れる文化を。行き詰まる社会を。無いはずの世界を。

 庇護する。自らの生を。己の願望を。続いてきた血筋を。これからの顛末を。途絶えるしかない未来を。

 執着する。それぞれの理想に。振り向かぬ希望に。届かぬ愛憎に。教えられた信仰に。曲げられぬ自分に。

 遊戯する。眼前を踊る道化師で。卓上に並べた駒たちで。配された手札で。画面越しの傀儡で。見え透いた嘘偽りで。

 羨望する。全てが平等となる何かを。正義と謳われる日を。いつか忘れた絵空事を。見下ろすだけの最上を。

 疑惑する。囃し立てられる言葉達を。見えないどこかの出来事を。周り回った情報を。地面に着いているはずの足元を。

 自知する。その場に置かれた状況を。覆すことの出来ない才能を。展望するだけの限界を。脳内を流れる雑音を。

 尊守する。見知らぬ誰かの有り様を。これまで築き上げた伝統を。見渡す限りの生命を。視界に映るこの世の中を。

 矛盾する。正しいと貫いた先の差別で。以前の行動に今を重ねて。幸せを願い押し付けて。ここまで並べ立てた無意味な文字が。

 裁断する。摂理に反した不要に対して。道を違えた同士を讃えて。世界から外れた理解不能を。

 

 どういう事なのか、どういう物なのか、それを識る人間は居ない。無い。どうやっても見ることは無い。いつになっても見ることは無い。どの線を辿ろうと、無いものは無い。こんなものは無かった。始めから。終わるまで。

 全てを見逃された例外を除いて。

 ―――虚無に堕ちたヒトを排して。


 人々は虚無する。何も無く、虚無すらも無く。ただ目を逸らす。ただ見逃す。

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