表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/32

第2色

第2色


 振り返ると、視界の端、具体的には下の際。優季よりも頭一つ以上小さい小柄な少年が……少女が……少……。

「ふふ、失礼なことを考えてるでしょ」

 思っていたことを言われ、優季の顔がビクリと動く。普段は逆なのだ。ある意味、不可思議な事だった。体験だった。声を掛けられ、初対面でそう言われたのだから。

 ……こう書くと、別に優季でなくとも面食らうだろうけれど。

「こんにちわ。私は女の子よ。そちらこそ、どちらかしら」

 少女の物言いは、無邪気に食べられそうだった。

「あ、そうだよね。僕も人の事言えないか……。僕は男だよ。あまりそうは見られないけど」

「ふぅん。案外、普通。面白くない」

 心底つまらなそうな眼で、優季から視線を外す。こんな風に言われたら怒りも呆れも通り越してしまう。もはや悟りも開けそうなほどに。

 だが、目の前の少女は気にも留めない。白無垢に、思ったことを言っただけ。水晶に黒を溶かした瞳にも、桃に似た頬も、桜色の唇も、ただただ残念そうにしているだけ。

 その中で、薄い水色の髪だけが、楽しそうに風と舞う。夏の残り香と共に踊っている。きっと生来の性格を表しているのだろう。そう思うと、自然と優季の顔もほころんだ。

 正しくはなくとも、近いものは視えているから。この少女の笑顔はとても可愛らしいだろうと期待して。

「僕は色上優季。君と似たようなモノだよ」

「……やっぱり! あなたに声をかけて良かったわ、ユーキ!」

 そして、期待以上に飛び切りの笑顔が弾けた。可愛らしい、年相応の、とても純粋な。

 ―――だからこそ、こう思う。思ってしまう。神なんていないと理解っていようと、運命など馬鹿らしいと理解っていようと。こんな残酷な話は無いと、否定して欲しかった。そう、願うほどに。そう、祈るほどに。

「私ね、半分死んでるの」

 少女は笑顔のまま、そう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ