第2色
第2色
振り返ると、視界の端、具体的には下の際。優季よりも頭一つ以上小さい小柄な少年が……少女が……少……。
「ふふ、失礼なことを考えてるでしょ」
思っていたことを言われ、優季の顔がビクリと動く。普段は逆なのだ。ある意味、不可思議な事だった。体験だった。声を掛けられ、初対面でそう言われたのだから。
……こう書くと、別に優季でなくとも面食らうだろうけれど。
「こんにちわ。私は女の子よ。そちらこそ、どちらかしら」
少女の物言いは、無邪気に食べられそうだった。
「あ、そうだよね。僕も人の事言えないか……。僕は男だよ。あまりそうは見られないけど」
「ふぅん。案外、普通。面白くない」
心底つまらなそうな眼で、優季から視線を外す。こんな風に言われたら怒りも呆れも通り越してしまう。もはや悟りも開けそうなほどに。
だが、目の前の少女は気にも留めない。白無垢に、思ったことを言っただけ。水晶に黒を溶かした瞳にも、桃に似た頬も、桜色の唇も、ただただ残念そうにしているだけ。
その中で、薄い水色の髪だけが、楽しそうに風と舞う。夏の残り香と共に踊っている。きっと生来の性格を表しているのだろう。そう思うと、自然と優季の顔もほころんだ。
正しくはなくとも、近いものは視えているから。この少女の笑顔はとても可愛らしいだろうと期待して。
「僕は色上優季。君と似たようなモノだよ」
「……やっぱり! あなたに声をかけて良かったわ、ユーキ!」
そして、期待以上に飛び切りの笑顔が弾けた。可愛らしい、年相応の、とても純粋な。
―――だからこそ、こう思う。思ってしまう。神なんていないと理解っていようと、運命など馬鹿らしいと理解っていようと。こんな残酷な話は無いと、否定して欲しかった。そう、願うほどに。そう、祈るほどに。
「私ね、半分死んでるの」
少女は笑顔のまま、そう言った。




