表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

狂乱ベアトリーチェ

 シルミーネの町を出て二日が経とうとしていた。次の村までは一本道の街道を進めば良いとシルミーネで教えてもらった。そろそろ教えてもらった村が出てきそうなんだけど、馬車を御者するルーの顔は芳しくない。

 恐る恐る彼に今の状況を聞いてみたが、目を疑ってしまった。

「ルー、どうしたの?」

「ああ、アーシャはこの地図を見てどう思う?」

「どれ、見せて?」

 ルーに見せてもらった地図は、目印も無く、シルミーネと次に向かうボアーリ村が一本の線で繋がっているだけであった。私は、心の中でジョヴァンニさんに対して懐疑的な見方をしてしまう。

「そうなるよな」

「俺もそいつを見た瞬間に、詰んだと思ったよ」

 (とりあえず、馬の疲労も溜まってきてるから今日は、この辺りで野営だな)

「アーシャ、ファビアに伝えてくれ。あそこに見える川の横で野営するから、着いたら食事の準備してくれって」

「はーい」

「ファビ姉、川の横で野営するから食事頼むってルーが言ってるよ」

「ええーっ。また野営するの?いい加減体洗いたいんだけど」

「ルーも地図見ながら頭抱えてたよ。何か辿り着けないみたい」

「そうは言ってもね、明日には着かないと食料ヤバいわよ」

 (そろそろ沈黙を破ってアーチェがキレそうだな。出来るだけ距離を置く方が得策か?)

 

 川のほとりに到着すると、大きな楠の木の下で、無言のままのルーが、テントを設営していく。

 私とファビ姉も飛び火を恐れ、ルーのテントから少し離れた所にテントを張っていく。

 ルーが設営していると、背後にとてつもない、負の感情というオーラを纏った姉様が笑顔で立っていた。

 姉様の気配を察したルーは、難を乗り切ろうと思考をフル回転させる。

 ルーの作戦は、姉様がキレる前に立ち上がり、ジョヴァンニさんから貰った地図を見せつける。そしてジョヴァンニさんの所為だと言い切って難を逃れる作戦だ。

 まぁ、妥当な作戦だろうと思うけど・・・

「アーチェ!これを見てくれ!」

「パシュ!」

 ルーが立ち上がり、地図を見せた瞬間、音速を超える水玉が地図を貫通してルーの額を捉えた。

 そう、残念ながらキレた姉様には何も通じないのである。

「パシュ!パシュ!」

 姉様の無言の攻撃は、全てルーの額を捉える。一発目で既に意識がないルーの額を容赦なく次弾が命中しルーを吹き飛ばすとリミッターが外れてしまった。

 これ以上はヤバいと判断した私は、姉様を止めに入る。

「姉様ダメ!死んじゃう!」

「パシュ!」

「何で私まで・・・」

 狂乱状態の姉様の水玉は、止めに入った私の額すらも撃ち抜いた。

「もう無理よ!二日も体を洗えていなもの!」

「いっそこのまま、コイツらの血で体を・・・」

「はぁはぁ」

「バキッ!」

 狂乱状態の姉様の後頭部を何者かが殴打する。

「うっ!」

 前のめりに倒れる彼女を、呆れた顔で罵る一人の女性が、混沌とした場を治める。

「何バカな事してんのよ、こんなんだからいつまで経っても、貰い手が見つからないのよ!」

「面倒すぎでしょ!」

 

 冷静沈着なファビ姉の一撃で場は治ったが、三人が白目を剥いて倒れている横で、鼻歌混じりで料理を作り始める光景は何とも言えない。

 

「後一食分ぐらいしか無いわね、まぁ明日には何とかなるでしょ?」

「ゔぅっ」

「あら、アーシャ目覚ましたみたいね。こっち来てご飯食べなさい。」

 目覚めた私が見た光景は悲惨なものであった。

 (ゲッ!ファビ姉がキレたんだ)

「食材があんまり無いから今日は早い者勝ちよ。サッサと食べてしまいなさい」

「うん、わかった」

 川のほとりでの事件は、ファビ姉という一人の女性により見事に解決して、幕を降ろした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ