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魔法使い

 翌朝、アイリスさんが指の鳴らし方とリズムの取り方を教わりに劇場までやってきた。朝早くだったからか乳母車に乗った赤子は、気持ち良さそうに眠っている。

「パチン」

 ルーの鳴らす音にビックリした赤子は目を覚ましたけど、私の顔を見て笑っている。

 そんな面白い顔してるかなぁ?

 でも、もう私のこと覚えたみたいね。

「ツンツン」と柔らかなほっぺを触っても、嫌がる仕草を見せないし、何より可愛いが過ぎるよ。

「アイリスさん?この子の名前なんていうの?」

「ハハハ、まだ言ってなかったね、アンジェリカよ」

「へぇー、天使のような子って感じ?」

「そうだよ。私達にとっては天使そのものだよ。この子はね、笑わない子だったんだよ」

「だった?」こんなに笑うのに?

「色々とね笑わそうと努力したんだけど全然ダメだったのよ。あまりにも笑わないから、私のお腹に笑顔を置いてきちゃったのかなとか訳わからない事まで考えちゃったぐらい不安だったの。そんな矢先に、アンタ達がこの町に来たんだ。私はね藁にもすがる思いで劇場に行った。そうしたらさ、アターシャがステージでパチンって指を鳴らした時に、びっくりした顔してね、最初は驚いただけかなと思ったんだけど、気になったから、もう一度だけ行ってみたの。そうしたらさ、アターシャの鳴らした音に合わせて笑い始めたんだよ。だから貴女は、この子と私達の天使でもあるんだよ。」

「そうだったんだ・・・」

「でも、それって」

 私が言おうとした事が分かってしまったアイリスさんは、私の口に人差し指を当て「言おうとした事は分かるよ、でもそういう風に思わしといてくれないか?私の為を思って。何よりそっちの方がロマンティックでしょ?」

「そうだね!ロマンティックだね!」

 私は、アンジェリカを抱き抱えクルクルと回りながら彼女に話す。

「アンジェリカ?私は貴女の天使らしいわよ。いつまでもその笑顔を忘れたらダメだよ?何かあったら私を思い出すんだよー」

「パチン」

 私は指を鳴らしたが、アンジェリカは笑おうとせず、私の目をジッと見ていた。その表情は、私の顔を忘れないように目に焼き付けているようにも見えた。

「チュ」

「私のキスは特別だよ?」

「これで忘れないでしょ?」

 アンジェリカは、おそらく無意識だと思うけど私の指を柔らかい小さな手で握ってきた。

 (ヤバいよ、めっちゃ可愛いんだけど。こんな事されたら絶対忘れないよ!)

「アイリスさん、貰っていい?」

「パシッ!」素早い平手打ちが私の頭を叩きアンジェリカにメロメロにされた脳みそを正気に戻してしまう。

「ダメに決まってるでしょ?」

「痛いよ姉様!感情に浸ってていい気分だったのに!冗談に決まってるでしょ?」

「いいや、今の目つきは本気の方が勝ってたわ」

「アーシャは劇場に入ってステージの準備でもしときなさい、アンジェリカは私が見るわ」

「ズルい!絶対アンジェリカと遊びたかっただけじゃん!」

「何か言った?」

 (その鋭い眼光は怖過ぎるよ。その眼の時は大体ダメな時の姉様じゃん。自分だってアンジェリカにやられてるじゃんか!)

「フフ。アンジェリカ、お姉さん達にモテモテね。それと大事な話があるんだけど劇場の中に入っていいかしら?」

「ああ、まだ準備中だが大丈夫だよ」

 アイリスさん達に劇場へ入ってもらうと、私は客席のテーブルに椅子を用意して皆んなに席に着いてもらう。

「皆座ってくれ。ファビア、悪いがお茶を四つ頼むよ」

 快く引き受けたファビ姉は、ティーカップに紅茶を注ぎ皆の座るテーブルへと運んできてくれた。

「どうぞ。私は聞かない方が良さそうね、アンジェリカを見といてあげるわ」

「すまない、後で言うよ」

 アンジェリカを抱き抱えファビ姉がカウンターに戻ると、アイリスさんは思い詰めた表情をしていたが、意を決して口を開く。

「実は、ある人を探しているの。私の大切な幼馴染でね、名前はカテリーナ。魔法使いカテリーナ・・・」

 その名前を聞いた瞬間に三人の顔に緊張が走った。

「やっぱり知ってるみたいね。ごめんなさい試すような感じで話てしまって。貴女達魔法使えるでしょ?私はカテリーナに魔法使いの見分け方を聞いていてね、昨日アンジェリカを泣き止ます為に、アターシャが魔法を使ったのが分かったの。」

 そのことに驚きを隠せない私達は互いの顔を見合わせるが、皆んなの表情も穏やかではない。

 「その表情を見る限りでは知らなかったみたいね。魔法を使う瞬間に、瞳の色が一瞬だけ属性と同じ色に光るって聞いてたのよ。アターシャが指を鳴らした時に瞳の色が黒から白に変わったのを見て、この子魔法使いなんだって気づいたのよ。ごめんなさいね、今まで黙ってて。心配しなくて大丈夫よ、誰にも言ってないし、この先も言わない。だって貴女達には感謝しかないもの。」

「ルー、姉様ごめんなさい。私が魔法使ったから・・・」

 泣きそうな顔をして謝罪をする私にアイリスさんは優しい言葉を掛けてくれるが、顔は晴れない。

「アターシャ?私は貴女達のおかげで救われたのよ?貴方達とこの町で出会わなかったら、アンジェリカは笑わないままだったかもしれない。魔法使いだとか関係なく貴女達が好きなのよ」

 「カテリーナもそうだった。アターシャみたいに元気な女の子でね、誰にでも優しかったのよ。私達が二〇歳ぐらいの頃にね、突然彼女から相談を受けたのよ。草原で絵を描いていたら、急に手が熱くなって指先から火が出たって言われたわ。その時は何言ってんのよ?ぐらいだったんだけど、実際目の前で見た時は驚いたわ。その後にねカテリーナは町の図書館に通って魔法使いの事を色々調べていたみたい。魔法が使えるようになってから一年ぐらい経った時に、この町に私が居ると皆に迷惑が掛かるからって、出て行っちゃったんだ。止めたんだけどね・・・ダメだった。無事なら会いたいなと思ってたら貴女達に出会えたわけよ」

 アイリスさんの話を真剣に聞いていたルーは、自身が知っているカテリーナさんの事を話始めた。

「アイリスさん、俺はカテリーナの事をよく知っているよ。カテリーナは、俺達が旅をする前に出会った魔法使いでね、俺達の故郷の近くで倒れている所を師匠が見つけて連れて来たんだ。その時は身体中焼け焦げて助からない程の怪我をしてたんだけど、師匠とアーチェが付きっきりで治療にあたったおかげで一命を取り留めたんだ。回復した彼女は、俺達と一緒に魔法の修行をして、ちゃんとした魔法を使えるようになったんだ。俺達より先に魔法を使えるようになったカテリーナは、俺達が旅に出る前に村を離れた。彼女にも俺達にも、目的地はあってね別々に行くことにしたんだ。彼女は師匠が認める程の強い魔法使いだから心配しなくて大丈夫と思うよ。ゴールは同じだから会ったらアイリスさんの事言っておく。素敵な人に出会ったってね」

「うっうっ」彼女の無事を知ったアイリスさんは、嬉しさのあまり俯いて涙を溢し始めた。

 (よっぽど大切な幼馴染なんだな。あのカテリーナに、こんな素敵な友達いたなんて)

「やっぱり貴女達は良い人達ね。私が嘘ついてるかも知れないのに真剣に話を聞いてくれたし。アンジェリカも助けてくれて、カテリーナの話も教えてくれた。」

 (涙が次から次へと溢れてきて前が見えないよ、カテリーナが無事で本当によかった)

「アイリスさん、言ってくれてありがとう。俺達も貴女達に出会えてよかったよ。明日には出て行くけど、今日は全力で皆を楽しませてみせるよ。俺達に出来るのは人を楽しませるぐらいだからね」

「ええ、アンジェリカと一緒に見に来るわ」

 アイリスさんが帰った後、私達は話をするが私には終始笑顔が戻らないでいた。

「ルー、ちょっと散歩してくる。開演までには戻ってくるから!」

「おい!ちょっと待てアーシャ!」

 慌てて追いかけるルーを振り切り、私は何の考えも無しに町の外へと駆けていってしまった。

 (ごめんルー、今は一人にさせて・・・)


「はぁ、人助けとはいえ魔法使うんじゃなかったのかなぁ。結局皆に迷惑かかっちゃったし。皆んな怒ってるかな。急に飛び出したりしちゃったし」

 

 町を飛び出したはいいが行く当てもない私は、ただ畦道の石ころにやるせ無い気持ちを打つけながら、歩いていく。

 ここは、私が見つけた私のステージ・・・

「はは、考え事してたらこんな所に来ちゃってたか。今は草花達の笑顔が見えないや」

 ステージの試練をクリアするとエデンへの道が開かれるという話だ。私達の旅はそこに行く為のものでもある。

 草原の真ん中で空を見上げて溢れ落ちそうな雫を下瞼に溜めていた。

 そんな私を心配したのか、温かい風が私の顔を優しく撫でながら通り過ぎていく。

 風に揺られた草花達も寄り添うように、擦れ合って慰めてくれる。

「へへ、ありがとう慰めてくれるんだ。私は大丈夫だよ、ただ皆に申し訳ない事しちゃったなってね」

「アターシャ?」

 (誰?)

 後ろを振り返ると、アンジェリカを抱えたアイリスさんが、ステージの中央に近づいてきていた。

「アイリスさん、どうして此処へ?」

「はぁ、久しぶりね此処に来るのも。カテリーナが居なくなると大抵は此処にいたの。何かこの場所は落ち着くんだって言ってたわ。皆んな探してたわよ?」

「ごめんなさい。直ぐ戻るよ。アンジェリカもごめんね、こんな所まで来てくれて。」


「アターシャ、皆迷惑とか思ってないわよ。私も魔法使いだからとか何とも思ってないし。だってアターシャが使った魔法って指鳴らしただけでしょ?誰かに危害とか与えた?」

「ううん」ダメだ、首を横に振っちゃうと涙が飛び散っちゃいそう。

「言ったでしょ?私もアンジェリカも貴女の事が大好きなの。謝らないといけないのは私なのよ?気づかない振りしてたらよかったのに、貴女達に(すが)ってしまった。でも貴女達は、受け入れてくれた。人間も魔法使いも関係ないわ。ただ魔法が使えるってだけで普通の女の子よ。単純に貴女という人柄が好きなのよ。悲しい顔をさせてごめんね」

 アイリスさんは、気持ちの沈んでいる私に娘を預けると、大きく深呼吸をしはじめた。

「どうしたの?」

「パスン」アイリスさんのぎこちない手付きで鳴らす音は、正直言うと芸と呼べるレベルではなかった。

「まだまだね、貴女達みたいに出来ない」

「パスン」

「パスン」

 何度も鳴らすが、パチンと気持ちのいい高い音は出ない。

「プスン」

 鳴らし疲れた拍子に、指先から奏でられた音が、今まで聴いた事のない訳のわからない音を発する。

 三人は顔を見合わせ、クスっと笑うとシリアスだった空気が一変し、笑いの風を巻き起こした。

「ハハハ」

「なんですかその変な音。初めて聴いたよ」

「フフフ、なんだろうね。フフフ」

「やっぱり笑ってる貴女が一番好きよ」と気持ちを伝える。

 私はその言葉で我慢していた感情と一緒に、下瞼に溜めていた涙を透き通った綺麗な涙が押し出す様に溢れ出した。

 

「フフフ、涙まで綺麗なんてね。」

「へへへ、ありがとう。アイリスさんアンジェリカ」

「笑顔にするのが仕事なのに、逆に笑顔にされちゃったね」

 灰色に燻んでいた私の心の(もや)は、アイリスさんとアンジェリカによって白く塗り替えられ、晴れ晴れとした気分にさせてくれた。

 (たぶん私の魔法は、人を幸せな気持ちにさせる為にあるんだね)

「もう大丈夫だよ」

「パチン!」

「パチン!」と魔法を使って指を鳴らすと、風が回り出した。周りの草花達も風に誘われ騒めき出し、弦楽器を弾く時に出る低く長い音を奏で出した。

「綺麗な音・・・こんな綺麗な音初めて聴いたわ。アンジェリカも気持ち良さそうに笑ってるわ」

「アンジェリカ?ちょっとだけ演奏するね」

 抱いていたアンジェリカを渡しタクトをポケットから出して、目を閉じた。

 スッと右手を前に出すと、タクトを波のようにユラユラと動かして行く。

 波に合わせ風が吹き抜けると草花達の葉擦れの音が、「フーァン」と鳴り響く。

 ビブラートを効かした音が止むと同時に、タクトを止め風を切るように勢いよくタクトを上へ振る。

 そうすると風がフワッと花弁を巻き上げ、私達を包み込んだ。

 舞い上がった花弁が、ヒラヒラと舞い落ちてくる時に重なると、細かいが滑らで弾むような音を奏でだした。

 ピアノの鍵盤が花弁を弾くように軽やかで優しい音はリズムが良くて、母と娘の心を楽しい気持ちにさせた。

 花弁が全て舞い落ちると目を開け、二人に礼をする。

「初めて人前で演奏したけど、皆には内緒よ?」

「二人に私からの感謝のプレゼント」

「パチパチパチパチ」

 いつも劇場のステージで向けられる拍手とは違い、彼女の心からの拍手は、演奏を終えた私の心の深い所まで響いてきた。

 「聴いてくれてありがとう」と感謝の意を言葉で伝える。

「やっぱり貴女は素敵な人ね。追いかけてきて得した気分よ。素敵な演奏だったわ。今日の事は誰にも言わないわ、っていうか、言っても信じてもらえないわよ?フフフ」

 慰めにきたはずだったアイリスさんは逆に感動させられ私を強く抱きしめてくれた。

「へへへ、何かお母さんに抱きしめられてる感じ」

「アンジェリカ?大きくなってアイリスさんみたいに素敵な女性になったら、また聴かせてあげるよ」

「じゃあ戻りましょ!帰って準備しなくちゃ姉様達に怒られちゃう」

「ありがとうね皆!」

 ステージで演奏を手伝ってくれた草花と風に礼をし、その場を後にする。

 草花達も愛情を注いで育てると応えてくれるのと同じで、たぶん草花達は私の魔法ではなく、私の気持ちに突き動かされ、アイリスさん達にも本当の姿を見せたんだと思う。


「ただいま」

 劇場に戻ると姉様の優しいゲンコツが待っていた。

「コン」

「痛いよー」

「帰ってくるのが遅いわよ!ほとんど準備は終わったわよ!」

「うう、ごべんなさい」

 半べそをかいている私にはアイリスさんという助っ人がいる何も怖くない。案の定姉様は叱るのを渋々とやめるが、その顔からは怒りより、ホッとした表情をしているのであった。

 (もう大丈夫みたいね、ありがとうアイリス)と言葉には出さず、ウインクで伝える。

「もう大丈夫なら、ファビアの手伝いしてきなさい。今日は最後だから沢山来るはずよ」

「私にも手伝わせてくれない?」

 アイリスさんは皆への恩を返したい気持ちを伝えると、彼女の気持ちを汲んだ私達は快く受け入れた。

「じゃあ私はアンジェリカを見てるわ」

 (ズルい!まただ!)

「何?その目は?アーシャ?」

 (ヒエー怖すぎるよ!アンジェリカが泣いちゃうよ!って笑ってる・・・)

「最悪だ、スカート捲ったら黒い尻尾とか生えてるんじゃないの?」

「アーシャ・・・」

 冷えきった鋭い眼光は怖いけど、アンジェリカは楽しそうに笑い、もっとやって欲しそうな感じだ。

 (なによー、アンジェリカまで!って本当良く笑うわね)

「手が止まってるよ。手伝いに来たのか邪魔しにきたのかどっちなんだい?邪魔するならルーを探しに行ってよ。アーシャが居なくなったから、家出だーって探しに行ったわよ」

 (ゲッ、最悪だな。帰るって言ったはずなのに)

「別にいいよ、ちゃんと帰るって言ったもん」

「ダダダダーっ!」

 (あっ、帰ってきた。それにしても慌て過ぎじゃない?)

「はぁはぁ、全然アーシャが見つからない!やばい、今頃どこかで泣いてるはずだ!探さなきゃ!あっアイリス、アーシャを見なかったか?」

 クスクスと笑いながら私を指さすと、ルーは目を丸くして固まってしまった。

「パチン」

 いつもの事だけどルーは私の事になると、直ぐテンパっちゃう。彼にとって私はどれぐらいの位置づけなのか効いてみたい。

「はっ!いつ帰ったんだ!」

「ちゃんと帰るって言ったじゃん。シスコンにも程があるよ・・・アイリスさんとアンジェリカと遊んでただけだし。」

 平静を保とうとカウンターに肘を置き、足を組んで「水をもらえないか」と格好良くキメる。しかし、コップを持とうとした時に姉様の悪戯が始まる。

 姉様の「パチン」と指を鳴らす魔法は、コップの水を勢いよく溢れさせルーを襲う。

「フッ、水も滴るいい男とはこういうことだ。」

 (えっ?心が折れてない!いつものルーなら半べそかいてるのに!)

「驚いたかアーシャ?俺は変わったんだよ余裕のある男になったんだ。これぐらいじゃ折れない」と我慢しているが、カウンターから隠れている足は、産まれたての子鹿のようにガクガクと震えていた。後ろから見ていた姉様は気づいていたが、何も悪くないルーを弄るのは、偲びないので、クスクスと笑うだけであった。

「これくらいで威厳なんて保てる訳ないのにねーアンジェリカ。あっ、また笑った。」

 姉様に、あんな朗らかな顔させるアンジェリカは本当凄いと思う。アイリスさんは私を天使とか言うけど、アンジェリカは名前の由来通り天使だ。

「さあ、準備も出来たし今宵は楽しませるぞ!」

 途中から入ってきたルーが、何食わぬ顔で仕切り出したのが、気に入らない私達だったけど一応団長なので顔を立ててあげた。

「後一時間ぐらいで開演するけどアイリス達は、このままここにいる?」

「うーん居たいけど、アンジェリカの着替えもしたいから一度帰るわ。」

「じゃあ待ってるわね」姉様はアンジェリカを乳母車に乗せると出口まで付いて行くが、劇場の幕をソッと開けるとそこには既に町人が長蛇の列を作り、今か今かと開演を待っていた。

 慌てて幕を降ろすとアイリスさんは帰るのを断念した。

「無理ね、戻ってくる自信がないわ」

「すげえなぁ、こんなにも待ち望んでくれてるのか」

「何ならアンジェリカを見といてやろうか?一人なら帰って来れそうだし。そうだ!アターシャ付いて行ってあげな!アターシャが一緒なら皆道譲ってくれるだろ?」

「それはアターシャに悪いわよ」

「いや戻ってきてもらわねぇと、カウンターの仕事ファビアだけじゃ無理だから」

「アターシャ、ダッシュで行け!」

 (いつの間にか、メンバーに入ってたのね)

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