自ら愛人となり計画は進む。
血を分けた元家族の判断は余りにも。。。。
王宮を出たラシェルは郊外にある貴族街に来ていた。高い城壁に囲まれ、シャトルタクシーは区間の入り口までしか入れない。
「ラシェル様お通り下さい、区間内はエアーモービルをお使い下さい。乗り捨て構いません」
「ありがとう」
入口の警備員に身分証を見せるとすんなりと入れた。区間内はTハンドルが付いた大きめの台車の様な5センチほど浮上する乗り物に乗ってゆっくり静かに移動できる。
「たしかこの屋敷ですね」
エアーモービルに乗りのんびり走ること5分。表札は無いが立派な門構え、青色を基調とした外壁に金色の縁取りや装飾具がセンス良く配置された大きな屋敷がラシェルの目的地だ。
「ラシェルと申します」
警備ロボ「ラシェル様、確認を取りますので少々お待ちください」
入り口の脇に立つ警備ロボに名乗ると即座に執事に取り次いでくれるらしい。5分程待つと勝手に門が開き、”玄関にお進み下さいと”無機質にロボは話すとゆっくりと持ち場に戻っていった。
「旦那様、宜しくお願いします」
「よくぞ参られた疲れたであろう、とりあえずお茶でもどうだ」
「ありがとうございます、ご相伴与ります」
深々と上級貴族アベラルドの前で頭を下げるラシェル。だがジャレッドに話すこと無く直接、家に赴き愛人になると言い放ち、連絡が来ないことに不安を覚えたが、事前に話し合っていたのでそのまま受け入れる事となった。
「ああ、此方こそよろしくな、まぁ愛人とは言え、気が向かなければ夜のアレは気にしなくていいぞ」
受け入れたアベラルドは60を過ぎでそれなりにダンディーだが、赤黒い髪に結構な白いものが現れ、膨れたお腹は精鋭さを欠け年相応だ。まぁ仕方がないが性欲もそれなりに減退している筈だ。ラシェルから誘わなければ、多分、まぐあう事は殆どないだろう・・・。
「はい、お好きな時にお使い下さい。それと奥様、私がこの家に入った理由をお分かりでしょうから、少しの間お邪魔させてくださいませ」
第一夫人「貴女も大変苦労なさっているのね。私達のことはお気になさらずにね」
第二夫人「ラシェルさん、お話は聞いております。少しの間でも心の安らぎをお求め下さい」
「奥様達の心意気に大変感謝しております。不束者ですがどうぞ宜しくお願いします」
「今度、孫を紹介するわ」
「わかりました、ご子息様にもご挨拶が出来ますわね。楽しみにしています」
奥様達も子育てはとうの昔に終わっており、第一夫人は60過ぎ、第二夫人は60歳ちょうどと、おばさんではなく、お婆ちゃんの領域に足を踏み入れていた。
「うふふ、若いっていいわよね。私達のことは遠慮しないでいいからね」
「はい、ありがとうございます」
「悪いわね適当に床を共にしてあげてね。もうわたし達は年だしあんまり相手できないのよ」
「かしこまりました奥様」
この先、床を巡り争うような事はないだろう。アベラルドをもしラシェルが誘ったとしても逆にお願いされるかもしれない、奥様達はそんな雰囲気を醸し出していた・・。
ーー
「ラケール様、ご指示通りアベラルド家に入りました」
<ご苦労さま。やはりあの3人は駄目だったのですね>
ラシェルは指示通りアベラルド家に入り頃合いを見て外出し外務省に向かった。それは秘匿回線で連絡を取るためだ。因みに彼女の身分はラケールの補佐、特別外交官として登録してある。
「はい、やはり王としては些か役不足かと、それと王子2人も器が小さすぎます。ラケール様の言われた通りです」
<まぁ仕方ないよ、私の元男兄弟も似たような感じよ。長く居座りすぎたのよ、もう潮時なのよ>
「そうですね、さてこれからどうしましょうか。仕込むまで少々時間が空いています」
<リニューアルした身体を思いっきり味わったら?”男”は久しぶりでしょ>
「もう、秘匿回線だと思って大胆です!」
ラシェルはディスティアの肉体再生技術を使い、見た目が20代の身体に改造されているのだ。勿論アーヴィンで活動中は偽造技術を応用した特殊メイクを施し年相応に見える様にしてある。勿論一般人が使える技術ではなくラケールが大使だからだ。しかし残念ながら表面的な改造なので寿命が伸びるわけでは無かった。
<うふふ、来るべき時が来るまで情報収集を頼んだわよ>
「かしこまりましたラケール様、本当の私を取り戻した気分です。ありがとうございます」
<そうだ、暇なら貴族院に出向いて顔認証の登録を済ませてよ、貴族専用口座には活動資金が入っているから好きに使って>
「はい、ありがとうございます」
愛人ラシェルは特別外交官の身分として登録してあるので官庁街を自由に出きりでき、個人情報の検索も簡単にできる。一方、架空貴族レイチェルは登録したての屋敷すら持たない新興貴族の設定だ。偽装を外し顔認証を行えば、わざわざ警備に身分証を見せること無く貴族街に入れ、パーティーに気軽に参加できるのだ。彼女はこの2つの顔を使い分け情報を収集する予定だ。
ーー
アベラルド家に入り数日後、落ち着いた頃を見計らったのか、テラスでのんびりお茶をしているラシェルのもとに彼がやって来た・・・。
「今日は空いているか」
「ええ、お好きな時間にお越しください、床を暖めてお待ちしております」
アベラルドが人のいない所でラシェルに予定を聞くということは、イコール夜日程と考えて間違いない。とても短いやり取りを済ませると顔色を変えること無くその場を去っていった。そして深夜、皆が寝静まった頃、2人は初めて交わっていた・・・。
「おお、す、凄い、吸い付くような肌だ・・・」
「うふふ、まだまだ楽しみましょう旦那様!」
愛人としての役割を果たせてない彼女に悪いと思い、一度くらいは肌を合わせないと思ったアベラルドだったが・・・。
「悪い、年だね」
「またチャレンジして下さい旦那様!」
”途中”下車してから数日後、今度はディスティアから持ち込んだ滋養強壮剤という名の”男の媚薬”をアベラルドに与え、ラシェルと夜のひと時を楽しんでいた。
「おおお、久しぶりに男になった気分だ!」
「うふふ、お元気ですね!それではご奉仕します」
「いいのか、女房達は嫌がるのだぞ」
まぁ、ご奉仕に関しては人それぞれなのだが、好きでも無く政略結婚した場合は断られることが貴族の世界では普通らしい。アベラルドの奥様2人は勿論、親同士が決めた戦略結婚の相手だった。頼んでも思いっきり断られるらしい・・。
「うふふ、それは私の役目ですね!」
「あっ・・」
奥様に断られる”ご奉仕”も何ら気にすること無く、逆に積極的にアベラルドに快感与え、またある時は・・。
「こんな快感初めてだった!うん、素晴らしい、君は極上だ」
「ねっ!気持ちいいでしょ。次回はこちらの体勢をお試しになりますか?また違った”格別”がお待ちしてますよ」
禁断プレーも全て望まれるがまま超絶テクニックと、極上の味わいに改造された魔性の名器を使いアベラルドを性の虜にして骨抜きにして行くのだった。
「いいのか、本当に良いのか」
「ええ、旦那様がお望みなら答えるのが私の役目、どうぞお使い下さい。ですがご注意下さい味わいは”極上”ですよ!」
「う、うん、では行くぞ、おお、イイぞ!」
「アン!旦那様、今宵激しゅうございます・・」
アベラルドは取り敢えず形だけでも一回は交わらなければと思い、誘った一回目は吸い付くような若い肌に仰天し一瞬で虜になったが中折れ。だがあの肌が忘れられず数日置いて2回目に挑戦すると強壮剤を飲んで大ハッスル。自信がついたのか、病みつきになったのか、事あるごとに交わる結果に。気がつけば完全にラシェルの虜になっていたのだった・・・。
「悲しい現実ですが、サヴァリオ様が選ばれなかったら私は捨てられますね・・・」
「そ、そんなことはしない、ずっといてくれていいぞ」
「皆、貢物だって知ってますよ。落選すれば旦那様が一番困りますわよ」
枕を共にして徐々にサヴァリオのことを聞き出すラシェル。聞かれるアベラルドも結果は分かっていた。だがしかし彼女を捨てられないようだった・・。
「うむ、僅差で負けても君はここに残っても問題ないぞ」
「ですが、最近の情報だとそれなりに劣勢ですよね・・」
「ああ、実はそうなんだ・・」
面倒くさい話だ。僅差でサヴァリオが負ければラシェルを側に置いても頑張った代償として言い訳が立つが、もし大差で負けた場合そのまま彼女を留めておくと女で靡いた奴とか言われるのだ。本当に面倒くさい貴族社会なのだ。
「ここまで大差が開くのはジャレッドは金銭か何かで票を買収しているのですか」
「まぁ、黒い噂がたったな。寝返ったとある貴族はどうも金で動いたらしい」
「それってご法度ですよね」
「ああ、それは禁じ手だ、今回は拮抗していたから使ったのだろう」
この王位争いに関して買収はご法度だ。もし金で票を買った事が明るみに出れば糾弾され、例え選ばれたとしても求心力が極端に低下するだけではなく。王位返還まで発展する可能性があるのだ。
「うふふ、寝返ったのはどなたです?」
「何だ、興味があるのか?」
ちなみに期日内なら票の移動は自由にできる。配分は下級貴族1票、中級貴族3票、上級貴族5票だ。勿論分けることも投票しないのも自由だ。買収するの場合、一票いくらで値段を決めるのだ。
「ええ勿論です。可愛い弟ですもの、私が説得したら票が増える可能性がありますし」
「そうか、そいつの名はな・・・」
そして数日後。とあるパーティーで知り合った貴族の男とホテルで密会を行っているレイチェル。部屋に入るなり男の腰に腕を廻し艶めかしい表情を浮かべていた。
「綺麗だ、君はとても綺麗だ」
「眺めているだけでは本当の味わいを試せませんよ〜」
偽装を外したラシェルの顔は完全に別人だ。DNA検査でもしない限りバレることはない。
「レイチェル、君は一体何者なんだ」
「うふふ、新興貴族と申したでしょ、ただの成り上がりものですわよ」
ラシェルは素性を隠し、新興女貴族レイチェルとしてラケールが実際に登録したのだ。そしてコートを脱ぐと下着が透けて見えるくらいの薄いドレスが現れ、極上のボディーを曝け出していた。そして手招くように寝室に移動していく・・。
「そ、その身体は本当に綺麗だ!罪だ罪作りなボディーだ」
「うふふ、こっちにいらっしゃってくださらない」
薄い布を通して見える膨らみはツンと上向く美乳と綺麗な先端だ。それとそれに負けない艶めかしさが引き立つ美顔の組み合わせに、買収され裏切った貴族の男は我を忘れ引き寄せられて行く。何台ものカメラが設置してあるとは知らずに・・。
「あー、すごく良かったよ。それで何が知りたいんだ」
事が終わった男は余韻に浸りながらレイチェルが知りたいことを聞いてきた。床に沈む寸前にお願いしたようだ。
「うふふ、勝ち馬に乗るならどちらに投票すれば宜しいのでしょうか」
「何だ、そんなことか。第一王子で決まりだろ」
「ふーん、それならサヴァリオ王子に面会を申し込まなければいけませんね・・・」
わざと少し困ったような表情を作るレイチェル、これはもちろん男の言質を取るためだ。
「何だ劣勢の相手に票を売るのか」
「ええ、新興貴族は何かと物入りでして、ですが私が面会を申し込んでも取り次いでくれないのですわ」
「わかった、そういう事なら知人を介してアポを取ってやるよ。俺は票を動かしたからマズイんだ」
「ああ、そうですわね。2票も”売った”のでしたね」
「なっ!何で”売った票の数”まで知っている」
「うふふ、値段を教えてくれないかしら。私の一票を高く売りたいのよ」
「君は見た目と違って強かなんだな・・・」
「ええ、もちろん成り上がらなければなりませんのでね!」
とまぁ、”売った”言質を取りさえすれば上出来だ。週刊誌が喜ぶ程度の証拠を集めれば、後は早めにアラベルド家に仕込みをすれば完璧だ。極上の体を手に入れたレイチェルさん、意外に楽しんでいるようだった・・。
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