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鳥族は、まさかヴァンが制圧?

ヴァンフリート君、拉致られます。

アーリーが一旦クーンに戻り、ミーシャ達は鳥族の族長宅に向かうと、早速嫌がらせを受けた。


「キャー、何で私だけ〜」


「コラチキン!話を聞け!」


「ヴァン無駄よ〜、いくら呼び掛けても聞かないもん!ヒャ!」


鳥族はその言葉通り飛ぶ事が出来る。但し、羽が退化?進化して長時間は無理だが、空から汚物を落とし、動きの遅いワルワラに集中攻撃されていたのだ。


「カーチャン右だって」


「ワワワ、ヒィ〜」


ワルワラはヴァンのアドバイスがあって、直撃こそ喰らう事は無かったが地味に細かく命中して臭い。急いで森に逃げ込むと一時的に嫌がらせが収まるのだった・・。


「ジャガーさん撃ち落としてよ〜プンプン!」


「まぁ、撃ち落とすのは簡単なのだが怪我させると後々面倒なんだよ」


プンスカとワルワラが珍しく怒っていた。それもその筈、出会って何も言わずいきなり上空から嫌がらせを受けたのだ。


「みて誰かいるよ」


「おい、お前ら何しに来たんだ」


森の中に逃げ込むと枝が邪魔して上手く飛べないのか、先程まで嫌がらせをしていた凄く鳥っぽい男が高い所から話しかけてきた。そいつの顔は鴨そっくりだ。まるでヌイグルミを着てるみたいだ。


「いきなり攻撃してくるとは低能でアホだな。このチキン野郎!」


「クチの悪いガキだな!」


相変わらずヴァンの毒舌が冴え渡り、鴨男はチキン呼ばわりされ顔が真っ赤になり激オコだ。


「もう、ヴァン焚き付けないでよ〜」


「話が通じないアホチキンだよ、弱っちいから地上で戦えないチキン野郎だよ!」


「う、煩い!」


「ほら、高いところから見下ろしてマウント取った気分なんだよ、やっぱチキンだ」


「チキンチキン煩いわ!」


「ククク、無いニャニャニャ(大笑」


挑発を繰り返すヴァンフリートの毒舌は留まることを知らない。ミーシャは笑い転げ、ジャガーは苦笑い、ワルワラはオロオロするばかりだ。因みにシャルロッテ以下4人は、思いっきり引いていた。因みに兎族と鳥族の間には確執がないので見届け役としてスペンが同行している。


「だ、大丈夫なのか。ヴァンフリートはまだ子供だぞ」


「シャルロッテ気が付かないか、ヴァンは小さいが知識といい戦い方といいまるで大人だぞ」


アロルドはヴァンを観察していたのだろう。アーリーとタメ語で会話。先読みの出来る戦い方を見てそう感じていたらしい。


「うむ、確かにヴァンフリート”くん”は捕まえることが出来ないな・・」


スペンは服従した際、ヴァンフリートに負けたことを素直に認め”さん”付けで呼んでいた。


「くっそ、小さいお前なんか攫ってやる!」


「はーい、よろしくね〜」


鴨男は急降下してヴァンを掴むと、枝をピョンピョンと移動して空高く舞い上がっていくのだった・・。


「嗚呼、ヴァンが攫われた・・」


「大丈夫ニャ!」


「は、早く行かないと、騒ぎが大きくなったら大変だ!」


顔面蒼白なのは勿論ワルワラだ。ミーシャはヴァンフリートの能力を理解しているのか慌てることはなかった。しかし、ジャガーは頭を抱えていた・・。


ーー


「おお、巡航速度が早いな・・」


一番艦ワルワラに乗船していたアーネストはその新型戦艦の性能に驚いていた。とにかく早いのだ。


「ジャンプシーケンスも従来より30%程、早くなっています」


「欠点はないのか、無ければ標準型としては最高の出来栄えだな」


「燃費が悪い事を除けば性能は最高なのですが・・」


ファーバー級最大の欠点は燃料の消費だった。ステルスを使用し砲撃しながらオーバーブーストを掛けると燃費はエルフォード並に落ち、補給を行う輸送船が新たに必要らしい。


「戦い方に工夫すればなんとかなるし、エナジーボールの増産を行っているので大丈夫かな」


「そうなのですが、本当はコアを使いたいのです。そうすれば主砲の威力も飛躍的に上がります」


「コアか・・あれは生産するにも時間と労力が必要だからな。そう安々とは使えない代物だよ」


生産効率の悪さはウラッツェンも承知していた。だからギリギリの設計にしたのだろう。


「あのですね、私が設計した主砲はオーバーブースト対策が施されてあります。但し、燃料消費が激しいので、そう何回も撃てませんが・・・」


「簡単に言えば威力が増すのか?何倍くらいだ」


「ほぼ倍です、ですが一斉射撃を5回使えるかどうかです」


「わかった、取り敢えずそれは艦長判断に任せるしか無いな」


エナジーコアの生産はクーンだけではどうしようもなかった。フォーレストの生産拠点を大幅に拡張すれば生産できなくはない。しかし費用と人員の問題が山積みだった。今後の課題がまた一つ増えるのだった。


「ウラッツェン!今後、戦艦のトン数は上がるのか!」


帰港して直ぐに問いただされたウラッツェン。アーリーは軍備に関して今後必要となる戦力について知りたいらしい。それは予算編成に直結する為だ。


「アーリー様、現在標準型は20万トン級ですが、武器開発が進み、燃費問題が解消されるのであれば大型化は避けられません」


クーン艦隊は量産体制が整った事もあり、総数は増える一方だ。ファーバー級が出揃えば70隻以上保有することになり、旗艦の数を増やすかどうか悩む所だ。


「クーンの予算だけではどうにもならないな・・・ラインスラストに売り込むか!」


「確かにそれは名案だねアーリー。しかしファーバー級は渡せないだろ」


「ウラッツェン、量産型の設計を新たに行った場合、納期はどれだけ必要だ」


「はい、船体加工は短時間で可能ですが、エンジンと砲台に関しては新規に製造部門を増やさないと対応できません。残りのファーバー級も砲身と砲台待ちなのです」


砲身と砲台の生産を増強する場合は溶鉱炉から作らなければならない。確実に5年以上は必要だ。仮に増やしたとしても要求を満たせば過剰設備になることは間違いなかった。勿論そんな余裕はクーンにはない。とても悩ましい問題なのだ。


「わかった、砲身と砲台に関してはラインスラストに製造を委託する方向で行こう!」


ラインスラストの技術力はテコ入れはしたもののまだ少し遅れている。だが一番遅れているのは船体製造だ。特にメインフレームに関しては職人が育って無く絶望的だ。しかし砲身や砲台は既存の加工技術で製造可能だ。もちろんジェネレーターや加速器に関しての重要部品はクーンが製造を行い余力もある。アーリーは分担することで少しでも負担を減らし今後必要となる戦力増強に関しての問題解決をすすめるのだった。


「早めにその問題は解決したほうがいいよね」


「ええ、今から行きましょうか」


「わわわ、いきなりですか!」


「そうよ、思いついたら即行動よ!」


こうして砲身と砲台の技術移転が行われ、職人気質の高いラインスラストは性能を上げることに必死に努力し数十年後の後、ラインメタル社とヴィンテン社の2つを立ち上げ全星団に武器を供給を行うまでになっていった。因みにディスティアも同じことを行いザハトラー社を立ち上げ、3社は技術を競い合うのだった・・。


ーー


「この高さは逆に怖いな、しかし乗り心地は最悪だな」


「お前は怖がらないのか・・しかし飛ぶのは大変なんだぞ・・はぁ、はぁ・・」


「まぁ、がんばれや」


鴨男は全然怖がらない2歳児に対して呆れ顔だ。しかも浮力が足らないのかバタバタと小さな羽を懸命に羽ばたいていた。そんなヴァンフリートはなすがままなされるがまま、後ろから抱きかかえられて空の旅を文句を言いながら満喫?していた。そしてやっとこさ族長のもとへと連れて行くのだった・・。


「族長!変な小僧を捕まえてきました!」


「いやー、鳥って上下するから乗り心地最悪だな。滑空って言葉知らんのか」


「なんだと、こいつ小さいのに生意気な話っぷりは!」


「小さいだけで差別すんな!」


族長の名前はカーネルだ。もう一度言おう、決してネタではない。まさしく白い毛並みの強そうな鷲族の男でメガネ姿なのだが、セカンドネームはサンダースでは無い!


「よしそこまで言うなら力比べだ!」


「しっかし力比べだけで物ごとを決めてるから脳筋ばっかだな〜」


訪れた目的も聞かずにいきなりの力比べが始まってしまい、外に移動すると殴りかかってきたが・・。


「うりゃ!スカ!」


「おっとと」


「ゴリャ!スカ!」


結構早い動きで拳を繰り出してくるが、ヴァンフリートは身軽に避けていた・・。


「こ、こいつ!スカ!」


「当たらないね〜」


カーネルはムキになって殴ろうとするが虚しく拳は空振ってしまう。そして15分が過ぎる頃には息が上がってきたのかハァハァと息使いが荒くなって来た。


「はぁ、はぁ、何故だなぜ俺の拳を避けられる!」


「ウーン、このまま避けても勝負がつかんな〜、わりぃ俺ちっちゃいから何か武器使っていいかな」


「なんだと、素手で戦え!」


戦いを中断して武器をくれと言い出したヴァンフリート。流石に2歳児のパワーでは大人に敵う訳がない。


「ほれ、おっちゃん。一度中断して俺のパンチ受けてみりゃ分かるよ」


「おう分かった、ちょっとやってみろ」


ヴァンフリートはひょこひょこと近づき、カーネルの腕にパンチを繰り出しペチッと音はしたがやはり2歳児。全然痛くないらしく首を傾げるのだった。


「なぁ、コレじゃ1万回当てても肩叩きと変わらないでしょ」


「そ、そうだな、確かにパワーは全く無いな」


「おまえさー、俺に本気で当てたら死ぬだろ」


「ま、まあな。じゃ武器はどれにする?好きなの選んでいいよ」


あくまでも戦う事が前提らしく、ヴァンフリートは置かれている武器からブーメランを数本手に取りカーネルと距離をとった。


「オッチャン、頭に当てたら負けね」


「ああ、いいぞ」


そして再開される試合、カーネルはいきなり距離を詰めて来た。しかしヴァンフリートは慌てる事なくブーメランを2本同時に投げた。


「ホイッと!」


「下手だな何処に投げてる!受けてみろ翔羽拳!」


素早く繰り出される高速の拳は、シャドーボクシングの様に速い!もし当たってしまったら確実に気を失うだろう。だがしかしいくら頑張ってもヴァンフリートに当てるどころか掠りもしない。


「なんだワンパターンだね」


「クッソ!イテ!」


戻って来たブーメランが脇腹にヒットしたが頭では無いので無効だ。ヴァンフリートは怯んだ隙を突いて股下を潜りながらブーメランを拾うと、振り向きながら股間目掛けて振り上げた!


「ほれ」


「あ゛!」


もちろんアレの先端が玉を直撃、カーネルはズンと来る痛みに一瞬腰が引けて屈んでしまうと、続いてコンっと額にブーメランの先端が当たった。


「イテ!」


「エッ!当てたぞ!族長から一本取ったぞ」


「ヤリィ!」


「嗚呼、まさか・・・」


そう、屈んだ事で小さなヴァンフリートでも届く距離に頭が下がったのだ。カーネルは信じられない表情を浮かべ、ヴァンフリートはガッツポーズだ。未だに負けた事を理解できないのだろうか、鴨男をジッと見つめていた。


「勝負は勝負だからね!あっ、別に俺は族長の椅子は必要無いから」


「お、俺が負けた、負けたのか」


「カーネル様、事前の決め事なので負けになります」


「そうかわかった、今日から君が族長だ!」


カーネルの耳には届いて無かったのか、ヴァンフリートに族長を譲ると言い出した。


「カーネルさん、俺はよそ者で族長になっても大変だから、お願いを聞いてくれるだけでいいよ」


「そ、そうか、それだけでいいのか」


「うん、簡単だよ?他種族と争わないで、七部族で話し合いをしてくれないかな」


「はっ?」


「チキンさん、森にいる仲間を呼んでよ、話し合いをしたいんだ!」


「チキンじゃねー!何度言ったら分かるんだ!俺はカラスだ!」


「プッ、カラス、そのまんま鳥なんだ(笑」


こうしてヴァンフリートは鳥族を取りまとめることに成功したのだった。。

宜しければブクマ評価おねがーい!

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