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イザ兎族の所に

ユリアを母親の元にイザ

兎族の女の子をスティーグに任せ、ミーシャ達三人はその場で分かれハミングバードに向かった。それはもちろん偵察艦の動きを確認する為だ。


「以外に早く動いたな、ディスティアの連中は本星に戻って行った」


「ニャ!ハミングの整備は終わったニャ、館に移動するニャ~」


強襲艇を偵察艦に戻し数時間後、この惑星を離れていくのが確認できた。間違いなくディスティアに戻っていったのだろう。それを確認したジャガーは隠蔽用のシートを外して館の近くにハミングバードを移動させるのだった。


「ミーシャさん、ジャガーさん、助けてくれて本当にありがとうございます」


ミーシャとジャガーが到着後ハミングの整備をしていると、可愛らしくお礼を述べに来たのは兎族のユリア、7歳だ。愛くるしい薄ピンク色の毛並み、ピコピコと動く耳はとても可愛らしい。もちろん美顔だ!


「うふふ、ちゃんとお礼を言えたね!」


「おお、うさちゃん結構可愛いね!」


フラっと現れたのは館の地下に隠れていたヴァンフリートだ。流石に人間の子供が歩き回っていたらマズイので、静かに籠もっていたがハミングのエンジン音が聞こえて出てきたようだ。


「だ、だれ、人間だし」


「ふん、ヴァンフリートだ、もうすぐ3歳だよ」


「ユリアちゃん、私の息子ヴァンだよ」


「えっ?人間が産まれるの?産んだの」


「そうよ、旦那様は人間でウラッツェンって言うんだよ!」


「ああ、なんだかもう分からなーい」


獣人が人間と交わると両方の種族が生まれることを知らないユリアは、混乱しているのか頭をブンブン振っていた・・。


「君が保護された兎族の女の子のユリアだな」


「クッソ、族長シャルロッテ!」


いきなり現れたシャルロッテに敵意むき出しになったユリアは、敵わないのは分かっているのかオコ顔で真っ赤になっていたが、拳を握りしめジッと睨んでいた。なにか恨みでもあるのだろうか・・。


「おいおい、そんなに敵意を向けるなよ」


「煩いシャルロッテ!」


「ユリア説明してくれるニャ?」


「こいつら境界線を無視して私達の畑を荒らしたの、父さんは襲われて怪我してまだ治ってないの!」


殆どの兎族は温厚で優しく争いを好まない。それをいいことに猫族は好き勝手に略奪や暴力をふるっていたのだろう。


「シャ〜ル〜」


「はい、ミーシャ様!」


「えっ?彼女が上なの」


ミーシャが略して呼ぶと片膝をついて頭を下げるシャルロッテを見たユリアはビックリしていた。


「猫族に御布令を出すニャ、境界線を必ず守り他種族が手を出すまで戦わないニャ!」


「はい、畏まりましたミーシャ様!」


「ユリアこれでいいニャ?」


「ミーシャが族長なの?」


「違うニャ、族長シャルロッテはミーシャの配下ニャ!」


「ユリアちゃん、狼族と猫族はもう闘う事は無くなったのよ」


「嘘よ、嘘でしょ!」


「ユリアちゃん久しぶりだね」


「あー、アロルドさん!」


ミーシャとワルワラがユリアに説明していたが理解できないようなので、離れて聞いていたアロルドが姿を表した。すると初めて知り合いにあったのだろう。彼女はやっと笑顔を見せるのだった。


「よく覚えていたね最後にあったのは、もう3年も前だよ」


「はい!遊んでくれたアロルドさんを忘れません!」


定期的に狼族は各種族の元を訪ねていたのだ。距離が距離なので毎年会うわけにはいかず。数年に一回が限界なのだ。


「狼族はアーネスト王の配下ミーシャ様に忠誠を誓いました。猫族も同じです」


「はい、猫族はミーシャ様の命令には勿論従います」


「アーネスト王ってもしかして人間なの?」


「そうだニャ〜、獣人の王様ニャ、ミーシャはアーリー精霊女王様の配下ニャ!」


「ああん、もう良くわかんないよ〜」


「ミーシャ様、兎族の所に行くのでしょうか」


「セオドア当然ニャ」


今度は猿人族のセオドアが姿を現した。


「セオドアさんは猿人族の方ですよね・・」


ユリアは初めて見たのだろう少し引いていたが、種別に関して違いは言葉で伝えられていたのでなんとなく理解していたようだ。


「はい、猿人族お目付け役のセオドアと申します」


因みにセオドアは常にひっそりと目立たないようにミーシャの事を観察している。


「行くニャ!ユリアを送るニャ!」


「はっ!」


ミーシャの一言で兎族の里に向かうことが決まり、アロルド、シャルロッテ、セオドアは軽く頭を下げるのだった。


ーー


「おい!大丈夫か!地上で何があった」


数時間後、偵察艦の格納庫では防毒服を纏った医務官が解毒剤を与え、意識が回復し始めている隊員に声を掛けていた。


「んっ!アレ、確か地上に降下して・・」


「アレ、隊長今から降下ですか」


「何だと、記憶がないだと」


医務官は瞬時に記憶喪失と判断したようだ。そして強襲艇のメモリードライブを再生すると・・・。


「主任、降下前の映像しか残っていません」


「フライトレコーダーはどうなんだ、航路が示されるはずだ」


「うーん、地上降下の記録は丸っきりありませんね。それも格納庫に入るまでも記録されてません」


「機械の不具合なのか・・・」


「ですがあのキノコは何処から持ってきたのでしょう」


「謎だ、あの星には謎が多すぎる」


「主任、あの毒キノコは前回確認してないのか」


「ええ、初めてみました」


猫族の狩人が持ってきたキノコは人間が探しても中々見つからない。それもその筈だ、大木のうろの中の奥底にだけ生えているのだが、極めてその数が少なく、匂いを頼りに探すしか無いのだ。その作業はとても危険で間違って胞子を大量に吸い込むと幻想が起こる。


「とりあえず検体を隔離して空気の入れ替えを行うのだ」


「了解しました!」


今回の出来事は報告されたが、謎が多すぎて結論に至らなかった。その後、記憶喪失になった隊員たちはディスティアに戻ると、薬の副作用に悩まされるのだった。


「あれ、飯まだだっけ?」


「もう、あなたさっき食べたわよ」


「そ、そうか」


ふと記憶が曖昧になる場合があり、この場合は笑い話で済んだのだが・・・。


「どう、気持ちがいいかいエイミー」


「それだれ、何処の女!(怒」


「ごめん・・」


「あなた浮気しているのね!」


「違うよ元カノだよ〜ごめんマルティナ」


「!!」


バッシ!と平手打ちを食らったとある若い隊員は、励んでいる最中に間違って違う女性の名前を呼んでしまった。それも2回も・・。


「もう、私の名前忘れたのヒーン」


「本当にごめん、あの星に行ってから俺ちょっと記憶が変なんだ・・・」


自分の手をジッと見つめる若い隊員の表情は混乱していた。


「ねぇ、お医者に行こうよ」


「うん、そうするよ」


流石に悩んでいる彼氏のことが心配になったのだろう。彼女は優しく声を掛けてくれるのだった。因みに使用禁止薬物に指定されている理由はこの症状だ。今回、打たれた分量は半日分なのでまだマシだ、1週間もすれば混乱は収まる。しかし大量に投与すると廃人になるので禁止されているのだ。


ーー


ユリア「すっごーい、お空を飛んでるね〜」


セオドア「そ、そ、そうだね」


シャルロッテ「      」


アロルド「無理して来なきゃ良いのに(笑」


ハミングバードに乗ってユリアが住んでいる兎族の里に向かっていた。ユリアは喜び、セオドアはまだ慣れて無いのかビビっていた。そしてシャルロッテは離陸して早々に気絶した。アロルドは平気なのか皆の様子を見て笑っていた。


「これって、完全に乗員オーバーじゃないのかな〜」


「ヴァン、仕方ないよ、アーネスト様が来たら船を変えてもらいましょう」


ハミングバードの最大乗員数は6名だ。だがミーシャ、ジャガー、ワルワラ、ヴァンフリート、ユリア、セオドア、シャルロッテ、アロルドと8人も乗っていた。ヴァンフリートはワルワラが、ユリアは窮屈だがアロルドと一緒の席に座っていた。


<ジャガー、ハミングを確認した。シンフォニーバードを持ってきたから上で乗り換えてくれ>


「了解!」


偵察艦がいなくなったと連絡したら、速攻でアーネストが来てくれたようだ。ハミングバードはグングン高度を上げ、待機していた戦艦の格納庫に向かっていくのだった。


ジャガー「あーそうだ。重力可変装置の調子が悪い、浮遊感が襲うからな」


ユリア「ここはどこなの?ふわふわ楽しい!あっ、すっごくお星さまが綺麗ね!」


セオドア「う、浮いている、ここは地獄なのか・・・間違いない俺は今日、天に召された!」


シャルロッテ「ここは?ウヒャ・・・・(沈」


アロルド「うおぉぉぉ!何だここは身体が身体が・・勝手に・・」


ユリアは終始、楽しそうに乗っていたが、他のメンバーは狂ったように頭を抱え我慢していた。シャルロッテは途中覚醒したが無重力を味わった途端また失神。格納庫に入り重力が戻ると全員無事に落ち着きを取り戻したのだった。因みにハミングバードの重力システムの不調が原因だ。


「アーリー女王、アーネスト陛下入りまーす!」


アーネストとアーリーが仲良く格納庫に迎えに来ていた。そしてハミングのハッチが開くと、ミーシャを先導にぞろぞろと降りてきた。


「あら〜、可愛いウサちゃんね!貴女がユリアね!」


「はっ!この方のオーラは・・」


呼ばれたユリアはアーリーを見た瞬間、何かを感じたのか目の前で片膝を付き、頭を垂れた。


「はい、私は兎族のユリアと申します。アーリー女王様ですね」


「そうよ、わたしがアーリーよ(ドヤ」


「おお、このオーラは」


「ああ、これは、6色のオーラ・・」


「嗚呼、神よ、神よ」


他の獣人達もアーリーのオーラが見えるのか、感じるのか一斉に片膝をついていた。


「おお、アーリー、君のことが分かるみたいだね」


「そうね、オーラは出てない筈なんだけど・・感がいいのかしら、それとも野生の直感なのかな」


ともあれ、アーリーの事を直感で支配者と感じるのか。皆次の言葉を待っているようだった。


「ミーシャ、紹介してくれないか」


「呼ばれたら立ち上がってアーリー様に挨拶するニャ!シャルロッテ!」


「はじめまして、猫族族長、ミーシャ様の配下、シャルロッテと申します!」


「はっ?ミーシャの配下?なの」


「アーリー、多分色々あるんだよ」


「うん、後から聞かせて」


そして、シャルロッテ、セオドア、アロルド、ユリアの順で自己紹介を済ませると、作戦室に一同を連れて行くのだった・・。


「皆さん、改めましてクーン精霊女王のアーリーよ、アーネストから説明を受けているから、今後の予定を簡単に教えるわ」


全員「はい!」


凄くシンクロの取れた返事だった・・・。


ーー


「アーネスト、今回彼らを見て感じたんだけど、毛深くない?」


今後の説明が終わったアーリーはアーネストと個室に入り、特徴的な彼らの事を話していた。


「うんそう、それは感じていた。クーンの獣人より毛深くて動物ぽいよね」


「思考も単純で直感で行動している感じよね、それと私の隠しているオーラが見えるって、星団内なら魔道士くらいよ、やっぱ野生の勘が働く意のね」


ユリアはまだ子供で体毛が薄いのだが、他の連中はクーンの獣人と比べると結構毛深いのだ。顔も濃い目というか動物っぽいのだ。


「猿人族は凄く自然が溢れる所にしか住まないそうだ。それともっと勤勉にして欲しいと話していた。そうだその事を相談しないと」


「ああ、クレアから聞いたわよ、もうソレって進化させるしか無いよ」


「はっ?進化?」


「そう、毛深さも顔の作りも、クーンに残っている古い書物に残っているイラストにそっくりなのよ」


その書物は1000年以上前のものなのだが、アーリーは暇を見つけてはその膨大な資料を読み漁り、大昔の獣人の特徴を知っていたのだ。


「うーん、どうやって進化させるんだ」


「まぁ、わたしの術を使えば出来るけど魔力がね〜。ここって精霊を感じないのよ」


「あ゛魔法の源が無いのか・・」


「今から精霊を移動させてもすぐに増えるわけじゃないし、結局ここの住人を進化するのに数百年は必要ね〜」


アーリーの力をもってしても解決困難な問題だった・・・。

宜しければブクマ評価など願いします。

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