4.鍛錬の日々
俺たちが召喚されてから3週間。俺たちは日々、訓練を行っていた。
今日は剣技の特訓だ。龍輝など、戦闘系の人が模擬戦に参加するが、カケルと他の魔法職の人は模擬戦には参加せず、素振りを続けている。
「おお!」「頑張れ!」などの歓声が聞こえる。どうやらこれから龍輝が試合に出るみたいだ。「はじめ!」とソバルトが行った途端に二人は動き出した。と思いきや、
「どりゃぁ!!」
「うわー!」
龍輝が一瞬で勝ってしまった。
男子は、どんだけ強いんだ…?!と驚き、女子たちは「キャ〜!かっこい!」、「龍輝くん、応援してるよ!」などと言っている。龍輝は頭を掻きながら「ありがとう」と言って手を振っている。女子の声がより大きくなる。
羨ましい……不公平だよね!?だよね!?
俺はおもむろに自分のステータスを確認する。
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真條カケル 16歳 男 レベル9
職業 重力使い
筋力 3
体力 10
魔力 9
敏捷 10
魔抵抗 5
幸運 15
スキル 重力操作、言語適応
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3週間ずっと厳しい訓練(カケルの意見)に耐え続けた。模擬戦には参加していないが、それでも模擬戦以外の、素振りや、走り込みにはちゃんと参加した。それで結果がこれだ。それに比べて勇者様龍輝は、
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天道龍輝 16歳 男 レベル25
職業 勇者
筋力 300
体力 300
魔力 300
敏捷 300
魔抵抗 300
スキル 全属性適応、全属性耐性、属性複合攻撃、複合魔法、魔力探知、超加速、剛腕、剣技、未来予知、起死回生、気配察知、気配隠蔽、魔力探知
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成長率は俺のほうが上だけど、もとの力が違いすぎる。
ねえ、不公平だよね!?だよね!?
しかもこの成長率は召喚直後の反動のようなもので、いつ緩やかになってもおかしくないらしい。
オワッタ……
この3週間で『なにもできない無能の役立たず』というレッテルをより強く貼られてしまった
いっそのこと、旅に出てしまおうか?などと考えたことは数え切れないほどある
しかし、外に出たところで、なにが変わる?
魔物に食べられるか、強盗などに殺されるかの未来しか待っていないことが自分でもわかる
それなら、まだ守られているここにいたほうがいい
そうこう考えているうちに訓練が終わったらしい。
あいつらが来る前に早く帰ろう
そう思って歩き出そうとするが、肩を掴まれた。
どうやらもう遅かったらしい。
「なあカケル。そんなに急いでどこに行くんだ?」
「ちょっと気持ち悪くてトイレに行こうと……」
「俺達が、稽古してやるよ。弱いお前を強くするためにな」
話が噛み合ってない!
「いや〜大丈夫だよ。君たちだって疲れてるだろうし、俺も今日は素振りをいつもの倍以上やったから」
「じゃあ。俺達との稽古もいつもの倍以上できるな!」
「いや、それはちょっと……」
「ァ゙?俺達が貴重な時間を割いて、弱いお前に稽古をつけてやるんだ!お前は、はい!ありがとうございます。だけ言ってノコノコついてくればいいんだよ!」
謎の理論を突きつけられ、そいつの取り巻きに連れて行かれる。今話してきたのはこの前の4人組だ。
いきなり大きな力を手に入れたんだ。誰かにぶつけたくなるだろう。でもその的がいざ自分となると、恐怖でしかない。ところどころ、こっちを見ている人がいるが助けに来ようとはしない。
誰か助けてくれという目をしてみんなを見ていたら、ひとけのない、建物と建物の間まで連れてこられていた。
いきなり脇腹を蹴られふっとんだ。
「ぐぁ!」
「おいおい真條、ちゃんとやらないとだめだろ。ほら、はやく立てよ」
そう言って、今度は横から腹を蹴蹴られた。ゴロゴロと転がり、立とうとしたところで、取り巻きの一人が魔法を放ってくる。
「魔力よ顕現し、われの前に立つものを焼き飛ばせ———ファイヤーボール!」
「あ゙あ゙あ゙っ!」
背中が焼けるように痛い(実際に焼けています)。
すかさず、別の取り巻き達が、魔法を打ち込んでくる。
「魔力よ顕現し、われの前にいるものを痺れさせろ———パラライズ!」
「ううぁ……!」
「魔力よ顕現し、われの前にいるものを切り刻め———ウィンドカッター!」
「ぐぉぁぁ!」
「早く立てよ!お前のために時間を割いてやってる、優しい俺達が強くしてやるからよぉ!」
そんな事を言われながら、俺は4人から色々なところを蹴られる。視界の隅が白くぼやけて意識が朦朧としてきた。
その時だった。
「あなた達何をやっているの?!やめなさい!」
と声がした。4人は、『やべっ』という顔をしてその場に固まる。
詩葉が駆けつけてくれたみたいだ。どうやらクラスメイトがこのことを伝えてくれたらしい。
詩葉が冷たい口調で言う。
「なんでこんなことしたの?」
「いや、俺達はカケルに稽古をつけていただけで……」
「そうなの?それにしては一方的でカケルくんだけがすごく怪我してるけど?」
「稽古に怪我はつきものなので……」
「なら、私があなた達に稽古をつけてもいいかな?」
「ひ、ひぃ〜……ご、ごめんなさい」
「謝るのは私じゃないでしょ!」
「真條……悪いことをした」
「私は謝ってって言ったんだけど!」
「真條…すまない」
「言いかた!」
「真條、申し訳ありませんでした」
「あなた達、今回のことは大目に見るけど、次同じようなことしてたら、腕の2,3本じゃ済まないからね」
「は、はい……」
4人組は尻尾を巻いて逃げていった。
「カケルくん大丈夫?」
詩葉が声をかける。
「だめ……」
「うわぁ!カケルくん!しっかり!癒やせ———ハイヒール!」
体の傷がどんどん治っていく。詠唱の短さからして相当魔法適性が高いんだろう。
「ありがとう詩葉」
「全然大丈夫だよ。他にも困ったことがあるなら言ってね」
「ありがとう。今は大丈夫だよ」
笑顔で返事をして、服の汚れを払い、立ち上がる。
この先、俺は何回この世界に絶望するんだろう?そもそも俺はこの世界で生き延びられるのだろうか?
そんな疑問が頭をよぎる。だが、そんな事は考えないように頬を叩いて食堂へ向かう。
目の前は真っ暗だ。でもできる限りは生き延びよう。そう思い、足を前に踏み出す。が、なにもないところでつまずいて転ぶ。
「どうしたの!?カケルくん!」
詩葉が駆け寄って治癒してくれる。
本当に目の前は真っ暗だ……
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