表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「❤️彼女の妹 彼女の親友 Ⅰ」黒のストッキング姿の長身美少女の彼女の妹が突然部屋に上がり込んだ夜。机の下で絡みつく白い脚、迫るゴスロリ。  作者: ⚓フランク ✥ ロイド⚓
第4章 彼女の姉 彼女のママ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/95

第8話(1) ニューヨークの彼女たち、空港

第8話(1) ニューヨークの彼女たち、空港


《《2026年12月18日、JFK空港到着後》》

《《イミグレ》》


 ターミナル4の到着ロビーを抜け、イミグレーションのレーンに並んだ。


 真理子は……。


 漆黒のゴスロリ衣装。フリルとレースが幾重にも重なったジャンパースカート。ヘッドドレス。白いレースの手袋。パニエで膨らんだスカートの裾が、隣のレーンの旅行者に当たりそうになっている。


 周囲の旅行者が振り返る。子供が指を差す。でも、誰も声をかけない。ここはNYだ。


 問題は、イミグレの職員だった。


 四十代の白人男性。疲れた目。真理子たちを頭からつま先まで見た。真理子のゴスロリ。明美のミンクのハーフコートとトナカイのセーター。凜花の「NY!NY!」という小声の呟き。


 職員が手招きした。「こっちに来い」


 別室に連れて行かれた。狭い部屋。パイプ椅子。蛍光灯。


「職業は?こちらへの渡航目的は?売春目的の疑いがある」


 凜花が「売春って何?」と日本語で聞いた。遥が「後で説明する」と小声で返した。


 真理子がアンヌと女将さんに目配せした。


「アンヌ、女将さん、米国政府の招聘状をこの猿に見せてあげてぇ~」


 アンヌと女将さんが、カバンから書類を取り出した。東大と東京都のマークの付いた英文の招聘申請書。米国政府の公印が押された招聘状。NY州政府の招聘状。それをイミグレのカウンターに、静かに、しかし確実に叩きつけた。


 職員の顔色が変わった。書類を手に取り、読んだ。もう一度読んだ。


 苦々しい表情のまま、パスポートを一冊ずつ手に取り、日本では最近見ない入国スタンプを押した。六冊。返却した。


「ファックユー、ジャップビッチ!」


 小声だったが、真理子の耳には届いた。


「ですわ~、NYのイミグレって、品がないですわねぇ~。衆議院の予算委員会の野党並!」

「真理子、空港でそれを言わない」アンヌが小声で制止した。

「あんたたち、荷物受け取ってから騒ぎなさい」恵美がさばさばと言った。「あんた、喧嘩売りに来たのかい」とため息をつく。


「ファックユーってなに?」と凜花が聞いた。

「あなた、大学生でしょ」遥が顔を覆った。


 六人は別室を出た。


 荷物受け取りのターンテーブルに向かいながら、真理子がパニエを揺らして言った。

「NYのイミグレって、品がないですわねぇ~。衆議院の予算委員会の野党並!」

「もしも、ゴスロリ衣装の真理子がタイムズスクエアを闊歩すても誰も止めない。これがNYなんだろうな」

「ですわ!この街、私向きですわ!」


 明美がスマホでマップを開いて「どの店から行く?フィフスアベニュー?ソーホー?」と真剣な顔をしている。


 凜花が「NY!NY!NYだ!」と意味不明に叫んでいる。

 遥が「契約金あるんだから何でも買えるわよ。問題は何を買うかよ」と冷静に言う。


 悠馬はいない。お留守番。


《《迎え》》


「真理子、あなたのことだから、当然、プライベート・ハイヤーを事前予約してあるわよね?ネットで調べたら、7人+スーツケースを積むなら、『ストレッチ・リムジン』か、または『メルセデス・ベンツ・スプリンター(バン)』2台は必要よ」

「プライベート・ハイヤーじゃないわ。護衛をお願いする会社の車を手配しておいたわ」

「ハァ?護衛をお願いする会社?なによ、それ?」


「説明は明日……あ、あそこよ!」と真理子が〔Mis. M. Manaka〕というプラカードを掲げた黒人男性と白人女性のコンビを指さした。身長が2メートルはありそうな、プロレスラーみたいな巨漢と、私と同じ170センチくらいの金髪、ソバカス顔でバブルガムを膨らませている。

「あの二人が迎えなの?」

「そぉよぉ、え~っと……」とスマホを見た。「彼がニック、『ハワード&ニック探偵事務所』の共同経営者。彼女が、マリー。受付兼調査担当と、社長のハワードがメールしてきたの」

「あのねえ、ニックとかマリーとかハワードとか言われても、私にはちっとも……」

「だから、説明は明日!」


 真理子が手を振ると、ニックがニカッと手を振替した。興味のなさそうなマリーは肩まで片手をあげてニギニギしただけ。なんなの!


 真理子が彼らの方に歩み寄った。私も着いていく。後ろを見ると、凜花と遥、明美はキャ~ギャ~騒いでいたが、女将さんと恵美がしっかりトロリーを見張っているので大丈夫そうだ……しっかし、なんだ!あのスーツケースの山は!明美は三個もだ!


「ハァイ、ニックとマリーね。私は真理子、彼女は、アンヌ、一週間、よろしくね」とアメリカンアクセントで挨拶した。ニックと握手、ガムを膨らませているマリーを無理やりハグ。


 ニックが「俺達は車を取ってくるからな、マリコ」と言った。マリーに「なあ、マリー、言っただろう?日本人女性は、モンローみたいに洋服を山積みに持ってくるんだ。だから、ヴァンが二台いるって言ったろ?」

「ああ、わかったわよ。しかし、あの目立つ女性、すごいわねえ。アナ・デ・アルマスみたい。でも、もっとアジアンで、もっと……大きい」

「事前に地味な服装って言ったんだがな……」とため息をついた。私も同感。


 明美は、トナカイのはねているセーター、黄色のパンツにロングブーツ、ミンクのハーフコートを着ている。ただでさえグラマラスな明美の体型が服装で目立った。彼女はニューヨークでも目立つ。あ~あ。


 私は、恵美と女将さんに迎えの車が来ている、あのガムを噛んでいる金髪女性の後を着いていくのよ、その幼稚園児の三人をしっかり見ていてねと、スーツケースが四個載っているトロリーを一つ引き受けて、真理子とマリーの後を追った。


 グルグル回って、エレベーターで駐車場まで行った。黒の『ストレッチ・リムジン』が二台、手回しよくニックが待機線のところに停めてあった、


「前のニックの運転の車に私とアンヌと恵美。マリーの方は、女将さんが引率して、幼稚園児三人。いいわね」と真理子がテキパキと指示した。凜花が後部トランクにスーツケースを載せていく。さすが、脳筋の凜花。ケースを揺すって固定した。遥と明美は手伝う隙もない。


 真理子は、前席でニックと何か相談をしている。恵美が、

「アンヌ、この人たち、ホテルの人?」と聞いた。

「私も知らない。真理子が手配してくれたの」

「真理子、さすがね……わけわかんないけど……」


 空港から、ミッドタウン・トンネルを抜けて、一方通行の37番街を走って、8番街を過ぎてすぐ、左手にホテルが見えた。


《《チェックイン》》

《《37丁目の無愛想な洗礼》》


 深夜1時。漆黒のストレッチ・リムジンが、37丁目の「ホームウッド スイーツ バイ ヒルトン ニューヨーク ミッドタウン マンハッタン タイムズスクエア サウス」の前に横付けされた。


 周囲はマンハッタンらしい、ゴミ袋と蒸気の漂う殺伐とした深夜の風景だ。真理子はリムジンを降りると、パニエを揺らして赤レンガの入り口へ向かう。


 ホテルのエントランスで真理子が「じゃあ、ニック、明日は九時に迎えに来て。バイバイ」と言ってニックたちと別れた。


「アンヌ、女将さん、チェックインをお願いしますわ。わたくし、重い荷物を持つのは趣味ではありませんの」


 フロントデスクには、退屈そうにガムを噛む黒人男性の職員が立っていた。★3つ程度のビジネス・サービスアパートメント。ヒルトンの看板を背負ってはいるが、サービスに過度な期待は禁物だ。


 アンヌがみんなのパスポートを出し、職員は事務的にルームキー(プラスチックカード)を7枚発行した。


「エレベーターはあっちだ。朝食は6時からだが、あんたたちが起きる頃には終わってるだろうな」

「台車(トロリー、trolley)をお借りしたいのだけど……」と事務員に聞いたら、「ここはNYだぜ?東京のホテルと違うんだよ。そんなものがあるか?」と言う。


 真理子が、受付の横の部屋を見て、台車を見つけた。三台。

「あら、NYでは、これは台車(trolley)じゃないのね?これ?でも、使えそうですわね?お借りしますわ」

「……NYでは、ラゲッジ・カートと呼ぶんだ、アジア人め」


 職員の無愛想な皮肉を、真理子は「フン」と鼻で笑って受け流した。


 アンヌと女将さんが台車にスーツケースを積み始め、凜花が「重いよ~!」と騒ぎながらも一生懸命押している。遥と明美は苦笑いしながら手伝い、恵美はため息をつきながら全体を見守っていた。


 真理子だけが、優雅に腕を組んで立っている。


「さあ、みなさん、部屋に参りましょう。お腹が空いたでしょう?」


 ガタガタと不快な金属音を立てる「ラゲッジ・カート」を凜花が力任せに押し、狭いエレベーターに押し込む。


「何よあの事務員、感じ悪い! ぶん殴ってやろうかと思った!」息巻く凜花を、真理子が手袋を直しながら一瞥する。

「おやめなさいな、凜花。猿の言葉を理解しようとするだけ時間の無駄ですわ」


《《バーガーキング》》


 部屋は、リビング付きのコネクティング・スイート。6人が雑魚寝するには十分な広さだが、ヒルトンという名称で、日本の高級ホテルを想像していた凜花は、その機能的な内装に肩を落とす間もなかった。


「……腹、減ったぁ〜〜!」


凜花がリビングのソファに倒れ込みながら叫ぶ。

「機内食、ハワイで食べたパンケーキ、全部溶けた!真理子、なんか食べようよ!」


 時計を見た。深夜1時半。

「凜花、落ち着きなさい。今から食事に外出するのか?物騒だろ?」

「何を仰るウサギさん! 外出しなくても、今の時代、文明の利器を"Take away"しますのよ。ウーバーイーツで」


「"Take away"?テイクアウトでしょ?」と凜花が首を傾げた。

「バカ!凜花、テイクアウトは和製英語よ! 本場では、"Take away"じゃん!」遥がすかさず被せた。

「NYの連中は"Take out"も使うけどね。いいからメニュー選びなさいよ」と二人に言った。

「バーガーキング!私、ワッパー食べたい!」凜花が日本のバーガーキングの味を思い出し、メニューをスクロールする。

「あ、これ!スパイシーサルサアボカドワッパー!日本でも期間限定でやってたやつ!これにする!」


 他の5人は、深夜の胃袋を気遣って慎重だ。

「私はワッパージュニアでいいわ……」とアンヌと女将さん。

「私はフィッシュバーガー」と遥と恵美。

「私はクラシックホットドッグにするわ」と真理子と明美。


 遥が注文をまとめる。

「オニオンリングとハッシュブラウンを2ピースずつ頼んで、みんなでシェアしましょ」


 20分後。ホテルのロビーに到着したウーバーの配達員から、巨大な紙袋が届けられた。


 遥がリビングのテーブルで紙袋を開封する。部屋中に、アメリカ特有の「重油のような肉の匂い」と、強烈なスパイスの香りが充満した。


「はい、アンヌ先生のジュニア、恵美さんのフィッシュ……。で、これが凜花の……えっ」


 遥が袋の底から、重機のような重さの包みを取り出した。

「スパイシーサルサアボカドワッパー」


 凜花がそれを受け取った瞬間、重みで手が沈んだ。


 包みを開けると、そこには日本の「ワッパー」の1.5倍はある直径、そして層のように重なったパティ、滝のように溢れ出すサルサソース、そしてゴロゴロと転がり落ちるアボカドの塊が姿を現した。


「……なにこれ」凜花が仰け反る。「これ、『スパイシーサルサアボカドワッパー』じゃない!絶対に違う!爆弾か何かよ!」

「凜花、それがアメリカの『普通』ですわよ」


 真理子が、自分のクラシックホットドッグ(これも日本の3倍は太い)を優雅に齧りながら笑った。


 明美はホットドッグのケチャップを口元に付けながら、無言で頷いた。

【注意・免責事項】


※本作に登場するすべてのキャラクターは18歳以上です。

※制服・女子高生風衣装・部活動ユニフォーム等の描写はすべて演出上のコスプレ要素であり、現実の未成年を描写したものではありません。

※当シリーズの作品はすべてフィクションであり、実在の事件・人物・団体とは一切関係ありません。

※作中に描かれる出来事は、詳細な描写を意図的に抑制しています。

※本作は医療・倫理・社会的テーマを扱うフィクションであり、特定の思想・行為を推奨するものではありません。

※性的・暴力的要素を一部含みますが、描写は必要最小限に留めています。

※苦手な方は閲覧をお控えいただくことをおすすめします。

※本作は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

※飲酒・喫煙の描写が含まれます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ