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「❤️彼女の妹 彼女の親友 Ⅰ」黒のストッキング姿の長身美少女の彼女の妹が突然部屋に上がり込んだ夜。机の下で絡みつく白い脚、迫るゴスロリ。  作者: ⚓フランク ✥ ロイド⚓
第4章 彼女の姉 彼女のママ

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第7話 高橋真一(凜花パパ)のNY出張

《《ミネソタ、セントポール》》


 ミネソタのホテルのチェックアウトを済ませ、真一はタクシーに乗り込んだ。


 目的地はセントポール国際空港。ここからニューヨークへ飛び、ようやく彩花に会える。


 タクシーが市街地に入ると、進みが極端に遅くなった。


 前方の通りが、派手な色彩と騒音で埋め尽くされている。


「……なんだ、これは」


 真一は眉をひそめた。


 窓の外では、虹色の旗を掲げた集団が、大音量の音楽に合わせて踊り狂っている。


 露出の激しい格好をした男たちが抱き合い、女たちがプラカードを掲げて叫んでいる。LGBTのパレードだ。


 真一には、彼らが何を主張しているのか理解できなかった。


 ただ、その異様な熱気と、生理的な違和感だけが胸に込み上げる。


 日本で真面目に働き、家族を養ってきた彼にとって、この光景はただ「狂っている」としか言いようがなかった。


「……まったく、アメリカという国はどうなっているんだ?」


 彼は窓から目を逸らし、膝の上のカバンを強く握った。


 彩花は、こんな「狂った連中」とは違う。


 彼女は、高橋家の誇りであり、清潔で、知的な、自慢の娘なのだ。


 タクシーがようやく人混みを抜け、速度を上げた。


 真一は安堵のため息をつき、ニューヨークにいるはずの、自分の理想通りの娘の姿を思い描いた。


 彼が今しがた「異常」として切り捨てたその世界の最先端に、彩花が立っているとも知らずに。


《《ラガーディア空港》》


 ミネソタからニューヨークへの国内便はラガーディア空港に降りた。


 到着ロビーを出ると、彩花が立っていた。紺のコートに黒いパンツ。空港の雑踏の中で、ひとりだけ静止しているように見えた。


「彩花」

「パパ、お疲れ様」


 抱擁はなかった。彩花は軽く会釈して、スーツケースに手を伸ばした。「こっちよ」


 駐車場に向かいながら、真一は娘の背中を見た。背筋が伸びている。歩き方が変わった、とは思わなかった。ただ、なんとなく——遠い、と感じた。


 駐車場に停まっていたのは、見たことのない車だった。


 白い巨体。流線型のボディ。彩花がキーを操作すると、ファルコンウィング・ドアが、翼のように上に自動で開いた。


「……彩花、この車は、どうしたんだ?」

「テスラよ。モデルX、プレイド」彩花はさらりと言った。「私の研究に賛同してくれる財団があるの。話の分かる財団で、その補助金で購入したわ。パパの会社よりも金回りが良いみたいよ」


 真一は胸にざわめきを感じた。奨学金やバイトで買える車じゃない。


 真一は助手席に乗り込みながら、眉を寄せた。財団。その言葉が、どこかに引っかかった。しかし、何も言えなかった。


 エンジン音もなく、車は滑り出すように動き出した。


《《マウントサイナイ医科大学付属病院》》


 彩花が向かったのは、彼女のコンドミニアムではなく、マウントサイナイ病院だった。


「彩花、おまえの部屋じゃないのか?」

「今は研究室の方が近いから。パパに見せたいものがあるの」


 真一は自分の部屋を見せたくないのか、と思った。また汚部屋になっているのか。それとも——見せたくない何かが、あるのか。


 付属病院は、アッパーイーストサイドのマディソンアベニューに面した正面玄関。ガラスと石材で構成された重厚なエントランス。


 案内板には「The Mount Sinai Hospital」の文字。訪問者が列をなし、白衣の医療スタッフが行き交っている。


 彩花は受付でIDを見せ、真一を「家族」として通した。


「治療棟へ行きましょう」彩花が先導した。


 治療棟の廊下を歩いた。消毒液の匂い。規則正しい足音。彩花は迷いなく進んだ。


 ある治療室の前で、彩花が立ち止まった。小窓から中を覗くように、真一を促した。


 父母と、十代前半と思われる女の子が、医師と向き合って座っていた。医師が注射を準備し、母親が娘の手を握っている。


「パパ、この患者は」彩花がカルテを看護師から受け取り、説明した。「性同一性障害のある11歳の子よ。両親と本人の同意を受けて、第二次性徴を抑制する治療を行っているの。私たちのグループが開発した薬剤を使った定期投与よ」


「せ、性同一性……」真一は小窓から目を離した。「それは、病気じゃないのでは?精神科の方じゃないのか?」

「脳と身体の性が一致していない状態を、身体の側から調整する治療よ」彩花の説明は淀みがなかった。「GnRHアナログとシプロテロンアセテートの複合投与。思春期の性ホルモン分泌を抑制することで、本人の性自認に合った身体発達を可能にするの。骨密度低下や成長抑制のリスクを最小限に抑えつつ、思春期の身体的変化を止める」


 真一はわけがわからなかった。

「……つまり、この女の子は、女の子じゃなくなる?」

「そうとも言えるわね。次の部屋も覗きましょう」


 彩花はすでに次の部屋に向かって歩き始めていた。


 別の治療室。今度は父母と、十代前半の男の子だった。やはり、定期投与の処置を受けている。

「彼は10歳で、自分が男性とは思えないと感じ始めたの」と彩花が言った。「さっきの子とは異なる薬剤だけれど、同じ方向性の治療よ」

「この子も……男の子じゃなくなる?」

「そうとも言えるわね」


 真一の脳裏に、ミネソタで見たLGBTパレードの光景が浮かんだ。虹色の旗。

 大音量の音楽。「狂っている」と切り捨てた、あの熱気。


 彩花は今、その「狂った世界」の中心に、白衣を着て立っている。


(彩花は何をしようとしているんだ?)


《《レストラン》》


 病院から徒歩数分、マディソンアベニューの小さなイタリアンレストランだった。


 彩花が予約していた。窓際の二人席。外を路面電車が通り過ぎた。


 ワインを頼んだ。料理を頼んだ。しばらく、差し障りのない話をした。美咲と凜花のこと。優子のこと。日本の秋のこと。


 彩花は静かに聞いていた。相槌を打った。笑顔も見せた。


 真一はカバンの中のプリントを思った。ずっと、このタイミングを測っていた。


 ワインを一口飲んで、カバンを開けた。

「彩花、これを見てくれ」


 プリントをテーブルに置いた。

 論文の表紙。彩花の名前。タイトル。


 彩花はプリントを見た。一秒の間があった。

「……凜花から?」

「ママからだ。凜花が持ってきたらしい」


 彩花はプリントをテーブルの上で少しだけ動かした。それだけだった。

「読んだの?」と彩花が聞いた。

「全部は読めなかった。でも、概要はわかった」


 真一は言葉を選んだ。

「今日、病院で見たものと、この論文は……つながっているのか?」

「ええ」と彩花が静かに言った。「同じ研究よ」

「彩花」真一はグラスを置いた。「パパには、正直に話してくれ。お前は……何を目指しているんだ?」


 彩花は窓の外を少し見た。マディソンアベニューの夜の灯り。それから、真一を見た。

「ミシェルのことは、話したでしょう?」

「ああ」

「あの夜から、私はずっと考えていた。なぜ、止められなかったのか。なぜ、ナイフで刺す以外の方法が、私にはなかったのか」


 真一は黙って聞いた。

「暴力は、力で止められる。でも、力を使った瞬間に、私も同じ側に立つ。ナイフを握った私は、あの豚どもと同じ方法を使った。それが、ずっと引っかかっていた」

「……だから、化学で?」

「暴力性を、化学的に制御できるなら——誰も傷つけずに済む。ナイフも、銃も、要らない」


 真一には、その論理が理解できなかった。でも、否定もできなかった。

「財団のことだが」と真一は言った。「どこの財団なんだ?」

「大きな財団よ。アメリカでは有名な」

「名前は?」


 彩花はワインを一口飲んだ。「B&Mよ」


 真一にはピンとこなかった。しかし、彩花の答え方が——少しだけ、間があった気がした。

「その財団は、信頼できるのか?」

「研究に口は出さないわ。それだけで十分よ」


 真一はそれ以上、聞けなかった。

 料理が来た。二人は食べた。話題は変わった。

 帰り際、店を出てタクシーを待ちながら、真一は彩花に言った。


「彩花、お前の研究が正しいかどうか、パパにはわからない。でも——」彩花が真一を見た。「無理するな。それだけだ」


 彩花は少しの間、真一を見ていた。その目に、何かが一瞬だけ浮かんだ。それが何だったのか、真一には判断できなかった。

「……わかった」と彩花が言った。


 タクシーが来た。彩花はドアを開けた。

「パパ、気をつけて帰って」

「ああ」


 タクシーが走り出した。

 真一は後部座席で窓の外を見ながら、娘の最後の目を思い返した。


 あの目に浮かんだものは——諦めだったのか。それとも、何か別のものだったのか。

 優子に電話しようとして、やめた。

 なんと言えばいいのか、わからなかった。


 連絡は明日にしよう。考えをまとめないと……。

【注意・免責事項】


※本作に登場するすべてのキャラクターは18歳以上です。

※制服・女子高生風衣装・部活動ユニフォーム等の描写はすべて演出上のコスプレ要素であり、現実の未成年を描写したものではありません。

※当シリーズの作品はすべてフィクションであり、実在の事件・人物・団体とは一切関係ありません。

※作中に描かれる出来事は、詳細な描写を意図的に抑制しています。

※本作は医療・倫理・社会的テーマを扱うフィクションであり、特定の思想・行為を推奨するものではありません。

※性的・暴力的要素を一部含みますが、描写は必要最小限に留めています。

※苦手な方は閲覧をお控えいただくことをおすすめします。

※本作は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

※飲酒・喫煙の描写が含まれます。

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