騎士、散策する。
ルウイさんは自分の鎧と剣を部屋に置いて軽装になると、キッチンに下りてきた。
白いシャツと、紺色のパンツを履いてるだけなのに様になる。
綺麗に筋肉がついて均整のとれた体がより一層際立つ。はー・・格好いいなぁ。思わず見とれちゃったよ。
お昼ご飯を手早く作って、カウンターに置くとルウイさんは目をキラキラさせる。くっ・・!可愛いなおい。
「簡単な物ですけど・・」
「いえ、すごいです!!こんなすぐに作れてしまうなんて・・」
いちいち感動してくれるので、ちょっとキュンとしてしまうではないか・・。ちなみにうちの畑で採れた野菜とお肉を塩、コショウ、コンソメで煮込んだ物と、パンを豪快に出しただけなんだけど・・。
こんな風に喜んでくれるなら、夕飯、もうちょっと手の込んだ物にしてあげよう。
嬉しそうに、綺麗な所作で食べている姿は王子様みたいだ。・・この人、絶対いいとこの坊ちゃんだろうな。
あっという間にお皿を空っぽにしてしまったルウイさん・・・。
これはもしかして足りなかったかもしれない。今まで女二人で生きてたし・・、この二年間は一人だったからなぁ。
デザートにリンゴに似た果物を剥いて出すと、それもぺろっと食べてしまった。
うちのエンゲル係数、爆上がりしそう・・。
食事を食べつつ、家の事をざっと説明する。
「えーとですね・・、ルウイさん一応私は、翻訳家をしてまして・・普段は、朝は野菜の水やりとか収穫してから、午前か午後のどちらかで仕事をしてます」
「はい・・」
「掃除とか、家事とか手伝って貰えると嬉しいんですけど・・いいですか?」
「もちろんです!」
ルウイさんは、すっごくいい笑顔で返事してくれた。
多分・・なんでもかんでもしてあげたら、恐縮しそうだなって思って・・、思い切って頼んでみたけど、正解っぽかったな。こんな綺麗な人に家事や掃除を頼むのはちょっと気が引けたけど・・。
「うちの菜園の野菜は、好きに食べて下さいね。あと、畑の奥に行けば川があるんで、魚も釣れます」
「魚釣り・・!」
ルウイさんの目がキラキラしてる。
なんか・・すごく分かりやすいなぁ・・この人。
「釣り道具が、畑の横の小屋に入ってるんで好きに使って下さい」
「いいんですか?!」
「魚、好きなんで・・釣ってきてもらえると嬉しいです」
そう言って笑うと、ルウイさんはますます目をキラキラさせた。ぜひともお魚を釣って、我が家へのエンゲル係数のカーブを緩やかにして欲しい・・。
今日は午前中、ルウイさんに掛かりきりで仕事ができなかったので、午後は翻訳の仕事を早速させてもらう事にした。なんか、色々聞きたい事はあったんだけど・・、とりあえず仕事をしておかないと。
ルウイさんは、早速お皿を洗ってくれて・・
やだー、めちゃくちゃ助かる!!嬉しい!!
でも服が汚れちゃうから、エプロン買っておこう・・。私の持っているエプロンだときっとパツパツだ・・。ちょっと面白そうだけど・・。
キッチン兼、リビングの隣の部屋が仕事場なので、扉を開けておく。
「ま、自由に過ごして下さい。何かあれば扉を開けておくので声をかけて下さいね」
「は、はい・・」
奴隷紋があるから、遠くへは離れられないけど・・
裏手の川の距離なら、大丈夫だろう。
ルウイさんは、釣りに行く気満々らしい。仕事場から外を見ると、小屋から早速釣り具を出して確かめていた。
うーん・・大型犬だな、やっぱり。
半年間だけの付き合いになりそうだけど、綺麗な横顔を綻ばせているルウイさんにちょっと胸が温かくなった。
なにせ・・この18年間・・普通じゃない生活しかしてないし。




