騎士、釣りをする。
夕方近くまで翻訳の仕事をして・・、原稿用紙をまとめてデスクの横に置く。
「う〜〜〜、目がチカチカする〜〜!」
両腕を椅子に座りつつ、グーッと上に伸ばす。
肩がちょっとバキバキいう・・。
外を見ると、すっかり夕焼け空だ。
ルウイさんはどうしたかな・・?仕事場を出て、キッチンへ行くと誰もいない・・。まだ川かな?
洗濯物をさっと部屋へ取り込んでから、菜園を通って川まで歩いていくと、大きな岩の上に座ってルウイさんが釣りをしていた。
夕陽に照らされて、金髪が輝いていて・・なかなか綺麗だなぁ。
静かに釣り糸が垂れているのを、じっと見ている。
「・・釣れましたか?」
ちょっと小声で話すと、ルウイさんは小さく笑って釣り糸を引き上げると、大きな岩の上から軽やかに飛んで、私の前に下りてきた。おお〜〜・・すごい!
と、岩陰にバケツを置いておいたらしい・・。
持ってきてくれると、中に魚が5匹いる!!しかも大きい!!!
「え、すごい!!こんなに獲れたんですか!?」
「はい、結構ここは魚がいますね」
少し照れくさそうに話すルウイさんに感動する!嬉しい〜〜、今日は魚も出そう。私がバケツの中の魚に喜んでいるのを見て、照れてるんだけどニコニコしているルウイさんは、なんというか大型犬そのものだ・・。なんか尻尾があったら、絶対ブンブン振ってるな・・。
「とりあえず、そろそろ夕飯にしましょうか?」
「ああ、そうですね・・」
そういうと、さっと私の手を取ってルウイさんは流れるように手を繋いで、家へ戻るまでの坂道を登っていく。
ん・・・・・?
今、ナチュラルに手を繋いだな?
あれ・・?こんな風に手を気軽に繋いじゃうものなの?
私は、疑問符を顔中から発するように、ルウイさんを見ると、ルウイさんはニコっと笑うだけであった。
・・・う、うん?
まぁ、いっか?手を繋ぐだけだし・・・、騎士さんだから坂道を登るおばあちゃんに手を貸す・・みたいな感じかな?そう思う事にした。
まだ、私は外見は18歳だけど。
家のデッキに着くと、そっと手を離してくれた。
・・うん、介護みたいなもんだな。これは。
ルウイさんから魚の入ったバケツを受け取って、外の流しでささっと捌く。
鱗とか家の台所で削ると、掃除大変なんだもん。
釣り具を小屋へ片付けてきたルウイさんが、魚をさばく私を見て驚いた。
「魚が捌けるんですね・・」
「あ、はい、たまに釣りもしますし・・。食費の節約のためにも必要なスキルです。鳥も捌けるんですけど・・、兎とか鹿は無理ですね・・」
流石に四つ足の生き物は無理だけど、鶏ならいける。
・・転生して、こんな風に生き物を捌くなんて思わなかったけど・・。
ルウイさんは、それを聞いて嬉しそうに笑って・・
「では、獣の肉が取れたら私が捌きましょう」
「あ、それは有り難いです・・」
そっか、お仕事欲しいのか。
でも、確かにお肉も取ってきてもらえると嬉しいなぁ〜。ルウイさん、いっぱい食べそうだし。
綺麗に魚を捌いて、籠の中に布巾を敷いて上にのせる。
おし、5匹完了!
今日はソテーにしよう〜。
「ルウイさんのおかげで、今日の食卓盛り沢山です!」
「そう言って頂けると・・ありがとうございます・・」
ちょっと照れ臭そうに笑って、籠を持っている私に流れるように裏口の扉を開けて、中へ入れてくれた。
すごい・・、
流れるようにエスコートしてるよ。
この人・・モテるんだろうなぁ〜、いや、モテてたろうな・・。
そう思って、ルウイさんを見上げると、小さく笑いつつ首を傾げて私を見る。
あざと可愛い・・・。
「・・・・ルウイさん、慣れてますね・・」
「・・慣れ・・???」
「いえ、こっちの話です。そこのソファで本でも読んで休んでて下さい」
ルウイさんは、不思議そうな顔をしつつソファに座って、ローテーブルに重ねて置いてあった本を一つ取ると読みだした。私はそれを横目に見つつ、ご飯を作り始めた。
なんか・・大型犬が横でステイしてる気分だな・・と、思いつつ。




