騎士、依頼帰り。
今日は、丸っとルウイさんがいないので、久々のお一人様だ。
うーん、とりあえず洗濯して、掃除して・・、仕事しちゃうか。
ルウイさんの綺麗な部屋を思い出すと、私が掃除するよりルウイさんに頼んだ方がいいかもしれない・・。
いや、奴隷じゃないからそれは頼むのは止めよう。
うっかり頼むと、何でもやってしまいそうだし、半年すぎた頃にはダメ人間の私に成り下がる自信が120パーセントある。
それでなくても、今朝は欲望に思いっきり負けた。
わしゃわしゃと頭を撫でて・・、ハッとしてルウイさんを見ると、綺麗な淡い紫の瞳が嬉しそうに見つめるので・・、何というかこう良心にパンチ食らった気分だった。
相手は奴隷でも犬でもない、人間だというのに・・。
私の理性よ仕事をしてくれ。頼むから。
せめてもの救いは、ルウイさんが嫌がる事もなければ、怒る事もなく、涼やかに微笑みつつ、お弁当を持って出かけた事だ・・。騎士団長様が心が広くて良かった・・。
っていうか、「撫でて」とか軽率に言わないで欲しい。
はぁ・・と、大きなため息をついて、ひとまず家事をしてから仕事をした。
お昼のサンドイッチは、自分でも食べたけど美味しかった!
これはルウイさんも喜んでくれてるかな〜?帰ったら、感想をきっと言うであろう・・ちょっと楽しみにしておこう。
夕飯の材料を確認するために、冷蔵庫を開ける。
「あ・・卵、なかったんだ・・」
ルウイさんが、昨日卵を持ってきてくれたから忘れてた。
食材の買い足しのついでに、ハンドクリームも予備にもう一つ買っておこうと思って街へ歩いていく。
いつも一人だったのに、ルウイさんがこの三日間、常に手を繋いでいたので・・なんか視界が広い。あの人、体大きいからなぁ〜。まだそんなに経ってないのに、存在感すごいなって感心してしまった。
街に着いて、まずハンドクリームを買う。
匂いがない方がいいかな・・、狩りに行く時は匂いはつかない方がいいけど・・。いいや、二つ買っておこう。とりあえず買っておいてしまう癖は、前世と変わらない。いいんだよ、腐るものでもないし。
食材も買って家へ戻ろうとすると後ろから、馬の蹄の音がする。
あ、馬車かな?
そっと道を避けると、側にいた女の子達がきゃあきゃあ言ってる?
そちらを見ると、ルウイさんが警備隊の人達と魔狼退治を終えたのか馬に乗ってギルドへ戻る所だった。
馬、乗れるのか!!
って、騎士団長さんだから当たり前か!!
颯爽と馬に乗っている姿は、シンプルな服を着ていても大変王子様である。はぁ〜〜、やっぱりエフェクトかかってるのか?すんごい爽やかな風が吹いてない?
思わずぽかんと見ていると、ルウイさんと目が合った。
「トーリ!こちらへ来ていたんですか?」
馬に乗って、こちらへやって来る。
おお、格好いいなぁ〜、様になるなぁ〜・・、そんな事を思いつつ、ニコッと笑う。大人精神年齢50歳の私。
「はい、買い物をしたくて・・。もう終わったんですか?」
「ええ、今日の分は。ギルドに馬を戻してくるので、少しお待ちいただけますか?」
もう仕事はいいの?
そう思いつつ頷くと、ルウイさんは嬉しそうに微笑んでギルドへ向かっていった。
じゃあ・・、私もギルドへ行って迎えにでも行けばいいか?
そう思ってギルドへ歩いていると、後ろからカイルが馬に乗って近くへ来た。
「あ、カイル、お仕事お疲れ〜。どうだった魔狼退治?」
「鬼神がいた」
「はい??鬼神・・???」
「ルドヴィクさん、一人でほとんど魔狼を狩ってた・・」
ああ・・・、なんか想像できる。
静かに頷いて、前を見るとギルドの前で、その鬼神とやらが大型犬のようにニコニコして手を振っている。・・とりあえず、心の中の理性を引きずりだして欲望の前に置いておいた。




