騎士、張り切る。
仕事を終えたルウイさんは、ニコニコとギルドの玄関前で待っていてくれた。
「お仕事、お疲れ様でした!」
「いえ・・、お弁当美味しかったです。ありがとうございました」
お口に合って何よりです。
すぐに感謝を述べるルウイさん・・、スマートや・・騎士の鑑や。
私が静かに感動していると、ギルドの入り口からメルクさんが出てきた。
今日は黒い革の全身スーツみたいなの着ているけど、どこで売ってるんだろ。
「あら、トーリも来てたの?ルドヴィクさん、ちょっと報酬の話をしたいんだけど・・」
「はい、分かりました・・、トーリ・・中で待っててもらっても?」
「はいはい、大丈夫ですよ」
おばちゃんみたいに返事すると、ルウイさんは小さく笑う。
すまねぇ・・私は50近いんだわ。
ギルドの中へ入ると、テーブルと椅子が一角に置いてあって、メルクさんはそこへ座って待ってて欲しいと言うと、カウンターの奥へ書類を取りに引っ込んだ。
私もルウイさんの隣に座ってみる。
仕事が終わって報酬金を貰いに来る人もいて、今日はちょっとザワザワしてる。
聞こえづらいかなって思って、ルウイさんの耳の近くに顔を寄せて、
「魔狼・・たくさんいたんですか?」
そう聞くと、ちょっと驚いた顔をして私を見る。
え?なんか驚く事あったの?あ、距離近すぎた?
「あの、魔狼たくさんいたのかな?って思って聞いてみたんですが・・、すみません、急に耳元で聞いちゃって」
「・・いえ、すみません・・、ちょっと驚いただけです」
ああ、驚いたのか。
いきなり耳元で聞いたら、びっくりするか。
「すみません、気を付けます」
そういうと、ルウイさんはちょっと照れ臭そうに笑って、私の耳元に顔を近づけるのでドキッとしてしまう。な、なんだ???
「大丈夫ですよ、可愛い声が近くに聞こえたので驚いただけです」
びっくりして、さっと顔を離す。
わ、わわ・・流石騎士!!口がうまいな!!年頃の乙女ならイチコロだ。
年頃の女の子にそんな事をしてはいけないと思うぞ?
ちょっと睨むように、ルウイさんを見る。
「・・・お上手ですね」
「本心からですが・・」
いや、完全お世辞でしょう?
そういうのはね、社交辞令っていうんでしょ?本気にしちゃうと抜け出せなくなっちゃうんだから、やめて欲しい。
「じゃあ、そういう事にしておきましょう」
そういうと、ルウイさんはちょっと不満そうに私を見る。
いや、50近いんで、そういう顔をされましても・・、どう対応すべきか分かりません・・。当方、普通じゃないんで。
そんな事を考えていると、メルクさんが書類を持ってやって来る。
「遅くなっちゃってごめんなさいね〜!これ、今日の魔狼退治と訓練も兼ねて、色々教えてくれた報酬金ね!お肉と皮はどうする?」
「肉は、保管して頂けるなら一頭分欲しいです。皮は買って頂けると助かります」
ルウイさんはサクサク答えつつ、メルクさんから貰った書類にサインをしていく。・・なんか、討伐数が32頭って書いてあるんですけど、私の気のせいですか?
魔狼って、集団で狩りをするけど・・だいたい10頭くらいの集団ですよね?3セットやっちゃったの??
思わず書類を目を丸くして、凝視していると、
メルクさんが面白そうに私を見る。
「すっごかったのよ〜!ルドヴィクさん!!魔狼を蹴散らしちゃって!すごく張り切ってたのね!でもぉ、一人で狩っちゃうと、うちの警備隊の訓練にならないから、次回はもう少し加減して欲しいわ!」
メルクさんが、私とルウイさんを交互に見て、にっこり微笑む。
あー・・、そうだよね、訓練も兼ねてるもんね。
ルウイさんを見つめると、「次回は気をつけます」と、ちょっと照れていた。
おっけー、次は冷静に行こうね。




