騎士、ついでに。
報酬金を無事貰ったけど、結構な金額にまたまた目を丸くする。
す、すごいな・・・、一文無しからあっという間にお金持ちになれそうだ・・。
この近くに出る魔狼の群れは、大分狩ったので少し時間をおいてからまた訓練も兼ねて、同行して欲しいとメルクさんと話をして、二人で家に帰る。
ギルドの外へ出ると、すぐに手を繋いでくるけど・・、疲れているだろうに奉仕の精神、すごい。
「ルウイさん、手を繋がなくても私は転びませんよ?」
「いえ、万が一に備えて・・です」
「・・・お仕事熱心すぎませんか?」
こんな田舎で、何か起きるわけでもないのに・・。
騎士さんの安全センサーが危険だと判断してるのか?
まぁ、いいか・・。
確かに大きな手は温かいし、ちょっと視界は狭くなるけど安心感はある。
二人で夕方の街をのんびり歩いていく。
こういう時間もいいものだなぁ・・って思いつつ。
夕食の後、ルウイさんがお皿を洗ってくれた。
寝る前だし・・と思って、香り付きのハンドクリームの瓶を持ってカウンターの椅子に座っているルウイさんのそばへ行く。
「それは・・?」
「ああ、こっちは香り付きです。寝る前にいい匂いがすると気持ちいいかなって・・、この香りを私が個人的に好きっていうのもありますけど・・」
そういって蓋を開けようとするけど、意外に固い・・!!!
ルウイさんが小さく笑って、開けてくれた。
・・半年後、ルウイさんがいなくなった時に備えて、私は握力を鍛えておこうと誓った・・。
「じゃあ、手を・・」
そう言いかけた途端、畑の方で、ガサっと大きく音がした。
え・・?動物??
ルウイさんは、サッと立ち上がり裏口にいつの間にか立てかけていた木刀を持つと、私を見て
「トーリはここにいて下さい」
「は、はい・・」
ルウイさんが外へ行くと、野太い叫び声がして、ビクッと体が跳ねた。
えええ・・??!な、なに??
外に出てなにが起きたか確認したいけど、中にいろって言われたし・・。
どうしようかとオロオロしていると、ルウイさんが戻ってきた。
「だ、大丈夫ですか?」
「はい、ちょっと泥棒に入ろうとした輩がいたので、とりあえず倒しておきました。ロープで縛ってきますね」
さらっと物騒なこと言ったーーー!!
とりあえずで倒せるの???魔狼32頭も倒してきたその日に???
騎士団長って、そんなにすごい生き物なの??
うーん、そういうの全然分からない。
深く考えるのは止めよう。
ひとまず魔法でギルドへ連絡すると、警備隊の人とカイルが来てくれた。
警備隊の二人が泥棒を連れていってくれたけど、カイルは調書を取らないといけないらしく書類を持ってうちへ入る。
なにも出さないのもなんだし・・と、思ってお茶を出して、
状況説明をルウイさんがしてくれた。
「二階へ木を伝って、登ろうとしていたのですが、罠に掛かったのでそこを木刀で少々」
「「少々・・・・・」」
私とカイルの声が思わず重なった。
泥棒の傷は少なかったが、全く揺さぶっても意識がなかった様子から見ると、急所に一発だったと思う。悪者とはいえ、相手が悪かったな・・。
ルウイさんは、ちらっと私を見る。
「・・・ところで、調書は終わったなら薬をお願いしたいのですが・・」
「ああ、そうでしたね。はい、手を出して下さい」
開けてくれた薬を掬って、ルウイさんの手に塗ると香りが広がる。
あ、やっぱりいい匂いがするなぁ〜。
「このクリーム、いい香りですね・・」
ルウイさんがそういって、笑いかけるので嬉しくなる。
「ねー!そうでしょう?これ、お花の精油が入ってるんですよ!」
この香りの良さが分かるとは!
さすが騎士様である。
カイルは、お茶を口からこぼしながら私とルウイさんを見てるけど、調書を濡らさないようにしてくれよ・・?




