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地獄は終わりを告げ、再び地獄へ

「私に姉妹はいないわ……。 それに庭師って、確かもう結構なお年だったはず……」


 徐々に喉も思考も戻りつつある、声も平気だ。


 そうだ、私に姉妹はいない。

 コーンエル家の子供は私一人きりだ。 だからこそ、父にあの話をしたのだから。


「庭師の親父は若い時に独り身になった。 俺の母親は病気で死んだからな。 そして長年の寂しさから親父はコーンエル家のメイドと関係を持った。 そして産まれたのが俺さ」


「私は庭師とはあまり顔を合わす機会がないから、よくわからないわ。 それでも貴方が彼でない事はわかる。 だって今の貴方は、庭師の息子よりもっと年上に見えるもの」


 ブランドル男爵家の次男という肩書きが嘘なのか、それとも庭師の息子が嘘なのか。 だとしたら、ジャクリンが私の姉妹だというのも嘘に決まっている。


 なのに、二人は顔を見合わせて笑う。

 いや、馬鹿にしたように、だ。


「なぁ、フロタリア。 まだわからないのか?」


「わからない? 何を?」


 わからないのは全てだ。 彼らが何者で、何を知っているのか。


「俺達はお前の未来を知っている」


「え?」


「お馬鹿さんなフロタリアお嬢様には、どうして私達の話が理解できないのかしらね?」


「つまり、だ。 俺達は魔術を使ってお前を殺し、この過去へと転生させた。 そして俺達は転移してお前を追い掛けて来たというわけだ」


「貴方が何度も転生を繰り返しているのは、その魔術の為よ。 私達が満足するまで貴方の地獄はどこまでも続くの」


「なのに、お前は転生後の記憶のみしか覚えていない。 地獄を味わったはずの過去が消えているのは、誰かの力が働いているとしか思えなかった」


「貴方達も死んだ、と言うの?」


「そうではない、俺達は生きているさ。 お前を土に埋めたら向こうに帰るつもりだ」


「それももう終わり。 だってフロタリア、貴方はネヴィルと結婚しないのよ? 今ここで死ぬの」


「貴方達の言う転生とネヴィル様との結婚、どう関係が?」


「貴方はね、憎らしいくらいの幸せな顔でネヴィルとの結婚生活を送っていたわ」


「フロタリアが死ねば、ネヴィルはおそらくエマと幸せな結婚生活を送るだろうさ。 俺達にはそんなもの興味無いがな」


 混乱する思考を必死に抑えてみても、彼らの言う話を理解できそうにない。


 ネヴィル様と結婚し、その後に彼らに殺された?

 そして、この過去へと送られて転生を繰り返しているというのだろうか?

 だったらもっと年を取った顔をしているはずだ。 私は十四歳。 相応の顔、肌も若い。


 デュークとジャクリンも私と変わらない顔立ちだ。

 転生すると、その世界に見合った顔立ちになるとでも?


「俺達の本来の目的はフロタリア、お前の地獄にさらに手を加えて苦しませる事だった。 なのに……」


「どうやら私達と同じ転移者が貴方を守っているようね。 まぁ、それもここまでなのが残念よね」


「フロタリア、知っているか? 俺達のような転移者は姿形を変えられるという事」


「ねぇ、デューク。 もう、いいでしょ? この女を早く殺したいわ。 顔を見ているだけで胸焼けして吐き気がするのよ」


 ジャクリンの吐くような切り出しをきっかけにデュークの顔付きが変わり、迫って来る。


 途端に恐怖を身体中が襲う。

 知っている、この感覚。

 あれは夢ではない、実際に起きた事だ。

 あの場にいたのはジャクリンとデューク。

 地獄の最中にいる私を眺めて、けたたましく笑っていたのも、この二人だったのだ。


「デューク、邪魔者はいないから存分に楽しみなさいな」


「あぁ、もちろんだ」


 私は何度、この地獄を味わったのだろうか。

 いったいどれだけの死を繰り返して来たのだろうか。

 それほどの憎しみを与えた私の罪は、どうすれば償えるというのだろうか。

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