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憎悪が支配する未来

「フロタリア、いい様だな」


「デュ……ク」


 壁に押し付けられた私の身体はジャクリンによって抵抗する力を奪われていく。

 そんな様子を楽しげに笑って眺めるデュークには、図書室での優しく接してくれた時のような雰囲気を微塵も感じない。 そしてジャクリンも。


「ようやくお前を手に入れられる」


 朦朧とする私の顔を覗き込みながら、デュークは頬に触れていく。


 どういう事なのだろうか。

 ただの悪夢だと思っていたのに、まるで続きを見ているようだ。


 突然の事態に、思考が全く追い付いていかない。


「デューク、私はこの手に力を込めてしまいたいのよ」


 ジャクリンの指が、いっそうの力で私の首を締め付ける。


「まぁまぁ。 殺すのはジャクリンに好きに任せるが、俺が楽しんだ後にしろ」


「さんざん嬲ったくせに、まだ足りないの?」


「あの時のフロタリアはいないのだからな」


「どっちでもいいわよ」


「ジャ……ク……リ……。 どうし、て……」


「どうしてかって? 決まってるわ、貴方が気に入らないのよ。 ずっとずっと」


 私とジャクリンはこの学校に入学してから知り合ったはずだ。 それまでは存在自体知らなかった。

 だからジャクリンに憎まれる理由も疎まれる理由も思い付かない。


 いや、本当に知り合ったのは入学してから?


「何もわからないでしょ、フロタリア。 教えてあげてもいいわよ?」


「やめとけ。 教えたところでどうせ死ぬ。 意味ないだろ」


「あら、絶望を知って死んでいくのも一興でしょ」


「絶望を抱くのも有りか。 だとしたら、まずはフロタリアを地獄に落としてやるか」


 ジャクリンの手が首から離れていく。

 途端に私の身体は、壁を伝って床に沈み込む。


 苦しくて息を吸い込もうとしても、力を失った身体ではどうにもできない。


 二人は立ったまま、私を高みから見下ろしている。

 そして床の上に沈み込み、両手で身を守るように縮こまる私を嘲り笑う。


「私達はね、貴方が憎いの。 憎くてたまらない。 だから殺したのよ」


 殺した?

 ジャクリンは確かに今、殺したと言った。

 だが、苦しさで声の出ない私には何も発する言葉を持ち合わせていない。


「貴方はもう何度も死んでいるの、知らなかった?」


「俺達が殺して転生させたのさ。 それだけではない。 お前に地獄の苦しみを存分に味合わせる為に俺とジャクリンもついてきた、優しいだろ?」


「貴方はここで何度も転生を繰り返しているの。 もちろん、そうさせたのは私達」


「なのにお前には転生前の記憶がない。 俺達の計画では転生前の地獄の記憶は消えないはずだった」


「貴方はどうやら夢の中の出来事だと思っていたようね」


「何度殺しても結果は同じ、お前は呑気にネヴィルを見てばかりだった。 地獄どころか何も覚えちゃいない」


「私達の計画を知った何者かが邪魔して、貴方の記憶を消したとしか思えなかった。 だから憎い貴方に近付いて正体を探ろうとしたのに」


「まぁ、それも今となってはどうでもいい事だ。 フロタリアはネヴィルと結婚しないのだからな」


 まるでわからない。勝手に話を進められても理解できない。

 転生、記憶、何を言っているのだろうか。

 ネヴィル様との婚約の件を相談しに帰宅したのがこの事態を引き起こしている事だけは理解できるのに。


「でもね、フロタリア。 貴方はもう転生しなくてもけっこうよ。 これから私達が殺して土に埋めてあげるから。 だから貴方の向かうのは転生先ではないの」


「なぁ、知ってるか? ネヴィルはエマを何度も部屋に連れ込んで二人きりの時間を過ごしていたぜ。 フロタリアという婚約者がいるのに、下衆な奴だと思わないか?」


「ど……して、そんなにまで……私を憎むの……?」


 やっと出た声は掠れて途切れ途切れだ。


「私の幸せを貴方が奪ったからよ。 当たり前のような湯に浸かって、地位も未来をも約束された婚約者もいて。 とにかく妬ましくて大嫌いなのよ」


「お前は俺の結婚の申し込みを鼻で笑って断った。 ネヴィルしかお前には見えていなかったからな」


「知らな……。 そんな、の私……知らない……」


「でしょうね。 では、私の存在も知らないかしら?」


「どういう、事……?」


「私はコーンエル家の養女になった、もう一人の娘」


「え?」


「血の繋がらない貴方の姉妹よ」


「そして俺はコーンエル家の庭師の息子だ」

お読み頂き、ありがとうございます。

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