クイノコシ
生存者の救助を終えて、4人のヒーローは仮設指揮所に集まっていた。
「皆、ご苦労だったな」
ルイーズが4人に労いの言葉をかけた。
「いかがでした?私のサイキック・・・」
アキレスが何かを言おうとした瞬間。
「生存者はわずか15名でした」
スカーレットが伏し目がちに言った。
「なにを言っておる、15名の命を救ったのじゃ、胸を張れ!」
クララがヒーロー達に笑顔を向ける。
「あの少女はどうなったなりか?」
翡翠蘭がルイーズに訊ねる。
「命に別状はないようだ」
「一安心ですね・・・で、私の活躍は」
アキレスが何か主張したそうに話を切り出したが、バッカスが割って入る。
「あの狐野郎、『クイノコシ』って言ってたが、どういう意味だ、クララさん」
バッカスがクララに詰め寄った。
「エンガは、狐火を使って、人の魂を食う妖怪じゃが、好みの魂を見つけた時は、肉体ごとむさぼり食うのじゃ」
「あの少女は大好物ということなりか?」
翡翠蘭が、自分の救った少女を気にかけるように言った。
「確かに、あの少女の魂は、ワシにも特別に見えたのぅ」
クララがこめかみを押さえながら言った。
「あの少女の持ち物から身元がわかった、名前は氷川雪乃、17歳だ」
ルイーズが資料を見ながら話す。
「まあ、エンガはあれだけのダメージを受けたのじゃ、完治までに1年、いや、数年かかるかもしれん。しばらくは大丈夫じゃろう」
「妖怪なら、早く完治するかと思ってました」
スカーレットが驚いたように目を見開く。
「奴は、頭目候補になれるほどの上位妖怪じゃ。失った体を治癒するには、大量の妖力を集めなければならん」
「あの狐野郎は、単独行動が普通なのか?」
バッカスが質問を続ける。
「奴が他の妖怪と行動するとは、聞いたことがないのぅ」
「今回、このデパチカを狙ったのはなぜですかね?まあ、僕の活躍が無ければ、追い払えなかったと思いますが」
アキレスがルイーズとクララに、目で訴える。
「妖怪は気まぐれじゃから、真意はわからんがのぅ。妖路が近くにない、人が集まる場所をあえて狙ったのかもしれん。簡単に言うと穴場狙いということかのぅ」
「とにかく、氷川雪乃はSGJの治療所に移して、護衛をつける。翡翠蘭、頼めるか?」
ルイーズが翡翠蘭に指示する。
「了解なり!」
翡翠蘭が敬礼する。
「それとクララ様、申し訳ありませんが、しばらくSGJにお泊りいただけますか?」
「ああ、かまわん」
「この場は警察に任せて、我々は一度SGJに戻ろう」
ルイーズが引き上げの指示を出す。




