救助作戦
4人のヒーローが、ゆっくりと地下への階段を降りていく。
「こちらルイーズ、通信状況はどう?」
ルイーズが地上の仮設指揮所から、無線でヒーロー達に呼びかける。
「ああ、良好だ」
バッカスがインカムで、ルイーズと通信する。
「ボディカメラの映像も良好だ、各員、警戒しつつ侵入せよ」
ルイーズが無線で命令を下す横で、クララがモニターを無言で見つめる。
「オーケイ!麗しのルイーズ嬢!」
スカーレットが明るく陽気に返事をする。
「ルイーズさんは上司だぞ!口を慎め!」
アキレスがスカーレットを注意する。
「てめぇら、状況がわかってねぇのか!叩き出すぞ!」
バッカスが二人を小声で叱りつける。
「愚かなり・・・」
翡翠蘭が小声で呟く。
4人が地下の食料品売り場に到着すると、バッカスが片手で姿勢を低くするよう合図を送る。
バッカスがしゃがんで、気配を消しながら移動すると、他の者も身を低くしてバッカスに続く。
「!」
バッカスが何かに気づくと、スカーレットと翡翠蘭に合図を出す。
「まずいぞ・・・」
モニターを見つめるクララが呟く。
ドミノ倒しのように、人々が連なって倒れていた。
モニターに映っているだけでも、20人近くいる。
スカーレットと翡翠蘭が、意識を失っている人に触れて脈を測る。
二人はモニターに向かって首を振る。
「そんな・・・いや!あきらめるな!生存者を探せ!」
ルイーズが手に汗を握りながら、無線に向かって大声で叫ぶ。
「待て!」
次の瞬間、クララが叫ぶ。
「いた、アイツか・・・見えるか?クララさん」
バッカスがカメラを何かに向ける。
「エンガ!・・・あやつが!」
キャア!
ガシャン!
「誰かが襲われてるなり!」
翡翠蘭が叫ぶ。
「バッカス!突撃だ!」
その言葉に反応して、ルイーズが号令をかける。
「おう!!」
バッカスが走り出す。
「俺たちは生存者を探すぞ!」
スカーレットが先陣を切り、倒れた人の生存確認をしていく。
「生存者はいる!」
アキレスが声を上げる。
「ルイーズさん!この俺の活躍、報告しといて下さいよ!」
「助けるなり!」
アキレスと翡翠蘭が、スカーレットと別の場所で生存者を探す。
「うおおおおお!化け物がぁ!」
バッカスはそう叫ぶと、デパートの高い天井スレスレのロングジャンプをする。
そして、クララから受け取った護符を体に貼り付ける。
大きな白い毛の塊がゆっくりと振り向き、凶暴な獣の顔が姿を現す。
そのエンガの目がバッカスを睨みつける。
「ヒーロー・・・キタカ!」
高く宙を舞うバッカスが吠え猛る。
「鬼神剛烈拳!!」
バッカスの拳が赤い炎のように輝き、暗闇を照らすと、エンガの顔面を捉えた。
エンガの顔が空気の抜けたボールのようにひしゃげる。
エンガはフロアの端まで吹き飛ばされたが、途中にある全ての物を通り抜けていった。
「皆、よく聞け!奴は実体が無い!護符が無ければ物理攻撃は効かんぞ!」
クララが無線越しに叫ぶ。
「アキレス!お前のサイキック・ブラスターならダメージを与えられる!」
ルイーズが大声で助言する。
「アキレス!サイキック・ブラスターだ!」
バッカスがアキレスに指示を出す。
「よし任せろ!チャージ!ハァアアア!」
アキレスの背中の2本筒が、両肩に担いだバズーカ砲のような形へと変形する。
「発射までどれくらいだ!?」
バッカスがチャージするアキレスに訊ねる。
「10分くれ!」
アキレスが平然と答える。
「まじなりか?」
翡翠蘭が呆れた言い方をする。
「ふざけんなよ・・・」
バッカスも呆れ果てる。
「うう・・・」
バッカスのすぐ近くから、うめき声が聞こえた。
「翡翠蘭!ここに生存者がいる!」
「任せるなり!」
翡翠蘭は倒れた人々や散乱した商品を飛び越え、軽やかな身のこなしで生存者の元へ駆けつける。
そこには、1人の少女を庇うように、覆いかぶさった女性の姿があった。
女性は体を引き裂かれ、すでに息絶えていた。
しかし、少女は背中に傷を負いながらも生きていた。
「生存者発見なり!」
翡翠蘭が感極まって叫んだ。
「オレノショクジ、ジャマスルナ・・・」
エンガがゆっくりと体勢を立て直すと、無数の火の玉を召喚する。
火の玉が一斉に翡翠蘭を襲う。
「お前らの相手は俺だ!オラオラオラァ!」
バッカスが怒涛のような連撃で、火の玉を蹴散らしていく。
「行けぇ!翡翠蘭、その娘を助けろぉ!」
「了解なり!」
翡翠蘭は少女を抱き上げると、素早い動きでその場から離れる。
「こちらも1名、生存者発見!一旦、地上へ戻る!」
スカーレットが生存者を担いで階段を目指す。
「ハァアアアアアア!」
アキレスのサイキック・ブラスターに精神エネルギーがチャージされていく。
ーーー俺の見せ場まで、あと5分!




