スイッチ
「こんな時間にどうしたんじゃ?」
雪乃がSGJにあるクララの部屋を訪ねた。
「夜分にすみません、師匠にお聞きしたいことがあって・・・あ!」
クララのリビングに入るなり、雪乃は驚いた。
「お〜、雪乃、お疲れ〜」
蘭子がテーブルに座ってくつろいでいた。
「え!?何やってるんですか!入院中でしょう!?」
雪乃が目を丸くする。
「固いこと言わないの〜」
「師匠!注意して下さいよ〜!」
雪乃がクララに食ってかかる。
「この阿呆になにを言っても無駄じゃ」
クララが適当にあしらう。
「もう〜」
雪乃が呆れてテーブルにつく。
「で、雪乃よ、何か話があるのじゃろう?」
クララが雪乃にお茶を淹れる。
「実は・・・」
雪乃はクララと蘭子に、先日の美月との訓練での出来事について話をした。
「すごいなぁ、雪乃!美月さんの木刀を弾き飛ばしたなんて、初めて聞いたぞ!」
蘭子が拳を前に突き出す。
「うむ・・・雪乃よ、おぬしはこの1年半で、肉体的にも精神的にも強くなった」
「はい!皆さんのおかげで」
「かまぼこ板の件、覚えておるか?」
「もちろん!」
「おぬしは、すでに動力源から生まれた力を、体へ巡らせるところまで出来ておる」
「うんうん、雪乃から溢れる気力は、飽和状態だね」
蘭子が茶菓子をつまみながら、お茶をすする。
「飽和状態・・・」
雪乃は湯呑みを両手で持ち、茶面を見つめる。
「あとはスイッチを押すだけじゃ」
クララは自分の湯呑みにお茶を注ぐ。
「スイッチを押す・・・」
ーーーあの時、丸山師範に怒鳴られて、私はお母さんを思い出して・・・
「まあ、あれだね、美月さんがいい練習相手になってるってことだから、地道に続けてみたら?」
蘭子が雪乃の肩を軽く叩く。
「継続は力じゃ、剣術訓練を続けつつ、瞑想をやってみるとよい。なにかわかるやもしれん」
「はい!ありがとうございます!」
ーーー氷の剣、たしか・・・




