開花
「ぐはっ!」
雪乃が美月にふっ飛ばされる。
「おい!何度も言わせるな!攻撃の後の防御をおろそかにするな!立てっ!」
「はい!」
雪乃は立ち上がり、木刀を構える。
「行くぞ!」
美月が木刀を構えると、連続突きで襲いかかる。
「くっ!」
雪乃が美月の突きを必死で捌く。
「攻撃をよく見ろ!そして見極めろ!集中!」
美月が連続突きに加え、上下左右から木刀を振るってくる。
「つっ!」
雪乃はかわしきれず、美月の木刀が肩や腕をかすめる。
「これが真剣なら、貴様は死んでるぞ!」
「はぁ!」
雪乃がわずかな隙をついて、無我夢中で打ち返す。
「甘い!」
美月がそう言った瞬間、雪乃の体が宙を舞う。
「え!?」
ーーーデジャヴ?
走馬灯のように、翡翠蘭との訓練が脳裏を過る。
ダァーン!
雪乃は地面に叩きつけられた。
「氷川雪乃、貴様の闘志は買ってやる。だが、技術だけでなく、戦いに対する認識もまだ甘い!」
美月は木刀を雪乃に向けて続ける。
「今の貴様では、せいぜい誰かを庇って死ぬのが関の山だ。私はそんなヒーローを認めん。誰かの代わりに死ぬなど、愚行だ!」
「愚行・・・」
雪乃の脳裏に、華穂の姿が浮かぶ。
ーーー愚行なの?違う、お母さんは私に託したんだ。
雪乃が木刀を杖のようにして立ち上がる。
ーーーたくさんの人に支えられて、私がいる。
「母が命をつないでくれたんだ・・・」
雪乃の目が氷のように冷たく光る。
「ほう」
美月の表情がこわばる。
ーーーなんだこの雰囲気。クララ様の言っていた魂の輝きなのか?
「スゥー・・・」
雪乃がゆっくりと脇構えをとる。
「なんだ?この冷気・・・いや、実際に温度が下がったわけじゃない。まさか!」
美月が無意識に後ずさる。
「私は・・・氷の剣!」
雪乃が目にも止まらない速さで踏み込む。
「なに!?」
美月が防御の姿勢をとる。
「抜刀!」
雪乃がそう叫びながら木刀を薙ぎ払う。
次の瞬間、美月の木刀がはじき飛ばされた。
「・・・お前、今のは?」
美月はあまりの出来事に愕然とした。
「あ、あれ?丸山師範?」
雪乃は木刀を薙ぎ払った姿勢のまま、キョトンとした表情で言った。
「貴様、自分が何をやったかわかってないのか?」
「体が、勝手に動きました。でも、嫌な感じはしませんでした」
「貴様、やはり危ういな」
美月が木刀を拾いに行く。
「丸山師範、あまり感覚を覚えてないのですが、さっきの感覚で良いのでしょうか?」
雪乃が木刀を中断で構える。
「そんなことはまだわからん。しかし、攻撃として申し分ない」
美月が霞の構えをとる。
「ちょっと、考えてみます」
「どんな力だろうと、基礎訓練は絶対怠るな!」
美月が突きを放つ。
「はい!」
雪乃が美月の突きを強く弾く。
ーーー何だったんだろう、さっきの感覚。体が軽い感覚だけは覚えてる。




