衣装
「ついに!スパーリングですか!?師匠!」
雪乃が目を輝かせて言った。
雪乃達は、地下の戦闘訓練所に集まっていた。
「そんな大袈裟なものではない、まずは戦いの感覚を掴むことからじゃ」
「脚技は使わないから、安心していいなりよ」
翡翠蘭がヒーロー衣装で、軽く体を揺らしながら言った。
「ところで、雪乃の戦闘服は、その剣道着なりか?」
「これが一番しっくり来ますから」
雪乃が素手で戦闘態勢をとる。
「用意はいいかの?では・・・始め!」
クララが旗を振り下ろす。
「かかってくるなり」
翡翠蘭が人差し指をクイッと折り曲げて、雪乃を挑発する。
「お願いします!」
雪乃が一気に間合いを詰めると、左右の掌底打ちを放つ。
翡翠蘭が雪乃の攻撃を軽くかわす。
「そんな動きじゃ、ヴィラン相手に一分と持たないなりよ」
見切ったかのように、フットワークだけで雪乃の攻撃を避ける。
「まだまだです!」
雪乃がさらに手数を増やす。
ーーーよし!入っ・・・
雪乃の掌底が、翡翠蘭の顎を捉えたと思った瞬間、雪乃が宙を舞って地面に叩きつけられた。
「ぐあっ!」
「今ので死んでるなりよ」
翡翠蘭が雪乃の顔を覗き込む。
「え!?」
雪乃は困惑した表情を浮かべる。
ーーー何も見えなかった・・・
「翡翠蘭はテコンドーのスペシャリストでもあるのじゃ」
クララが解説する。
ーーーテコンドーって、中国じゃなくて韓国じゃない!
「くそぉ!まだまだぁ!」
雪乃は立ち上がると、翡翠蘭に掌底打ちを連打する。
「雪乃〜、もっと工夫するなりよ〜」
翡翠蘭が難なくかわす。
「なんで、なんでチャイナ服なんですかぁ!?」
雪乃がフェイントでタイミングをずらす。
「おっ!いいね!」
雪乃の掌底打ちが翡翠蘭の左肩をかすめる。
「やった・・・」
喜んだ瞬間、床に叩きつけられて、天井を仰いでいた。
「脚技のヒーローと言えば、チャイナ服なりよ」
翡翠蘭は、雪乃の横にしゃがんで言った。
「まあ、今日は初日じゃから、これで終わろうかのぅ」
クララが察したような顔で言った。
「ありがとうございました」
雪乃は苦い顔をしながら立ち上がった。
「なかなか筋は良かったなりよ」
翡翠蘭が雪乃の肩を叩いた。
「翡翠蘭さん!」
「何なりか?」
「テコンドーなら、チマチョゴリでしょうが!」
雪乃は大声を上げた。




