↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/43

成長

「さあ、今日もランニングから行くわよ〜」

蘭子が軽いストレッチをしながら言った。


「はい!」

雪乃が引き締まった顔で返事をする。


「お!」

ーーー何だか今日はひと味違うじゃない。


二時間後。


雪乃は肩で息をしながら、膝に手をついていた。

「はぁ、はぁ、はぁ」


「我についてこられるなんて、やるようになったなり」

蘭子が雪乃の肩を叩く。


「は、はい!はぁ、はぁ」


ーーー強く!なるんだ!


「はぐっ!はむっ!」

「んぐ!んぐ!」

雪乃が朝食を次々と口に運ぶ。


「わ〜お!豪快だなぁ」

蘭子が雪乃の食べっぷりに見とれる。


「こないだまで吐いておったのに、見事な変わりようじゃのぅ。ほれ、ワシの卵焼きも食え」

クララが雪乃の皿に卵焼きを入れる。


「いただきます!」

雪乃は遠慮せず、その卵焼きをご飯と一緒にかき込む。


「おかわり下さい!」

雪乃が茶碗を高橋に突き出す。


「あ、ああ!」

ーーーやはり、重箱を増やさねばならんな。高校生の食欲・・・恐るべし!


「雪乃、三杯目だよ、大丈夫!?」

蘭子が心配そうに言った。


「体力つけないと、強くなれませんから!」

三杯目のご飯を受け取ると、生卵を割ってかき込んだ。


「そんなに食べて知らないよ~」

蘭子が呆れ果てた表情で言った。


学校の昼休み。


「雪乃、食べないの?」

珠希が箸の進まない雪乃に訊ねた。


「う〜ん、朝ご飯食べ過ぎたみたい」

雪乃がお腹を押さえながら言った。


「さすがにこの量を二人で食べるのは厳しいかなぁ」

梨々花はそう言いながら、おかずを自前の紙皿に乗せる。


「あ、ホントだ!」

梨々花の後ろに、クラスメイトの内海亜希奈と木村架純が、物珍しそうに、雪乃の弁当を見ていた。


「ランチビュッフェだね〜」

亜希奈がおかずの多さに感心した。


「でしょう!?ねぇ、氷川さんの家ってお金持ちなの?」

架純が雪乃に訊ねる。


「い、いや、違うよ」

雪乃が困り顔で応える。


「ねぇ?それは何?」


「その鰻巻き美味しそう!」


亜希奈と架純が弁当に関心をそそられる。


「アハハ〜、一緒に食べる?」

雪乃が笑顔で言った。


放課後、訓練所に帰って来た雪乃は、空の弁当箱を高橋に渡した。

「高橋さん、ごちそうさまでした」


「・・・雪乃、朝飯をあれだけ食ったのに、よくこの量の弁当を食えたな」

高橋は思わず訊ねた。


「あ、あのね、高橋さん、実は・・・」

雪乃は事の顛末を話した。


「だよな、この量を一人で平らげるなんて、ヒーローではなく、フードファイターを目指しているのかと思ったよ」

高橋は胸をなで下ろした。


「高級食材じゃなくていいんだけど、引き続き5人前でお願いしてもいいですか?」

雪乃は目を潤ませながら、高橋を見つめた。


「あ、ああ、問題ない」

高橋は快諾した。


「何の話じゃ?」

雪乃の後ろからクララが声をかけた。


「あ、師匠、ただいま戻りました」


「雪乃、夕食まで精神修行をするぞ!」


「はい!」


「・・・」

高橋は弁当箱を洗いながら考えていた。


ーーー友人と楽しく食べているのに、食材のランクを下げる訳にはいかんな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。