戦友
「雪乃〜」
大柄のおじさん超マッチョヒーロー、ストロング・バッカスが、休憩室でコーヒーを飲んでいる氷雪華に声をかける。
「バッカスさん、私には氷雪華ってヒーローネームがあるんです、本名で呼ばないで下さい」
氷雪華がバッカスを睨みつける。
「ルイーズが呼んでるぞ〜」
ーーーまたスルー!
「いや、それも!ルイーズ支部長ですよ!」
「わかった」
ーーーいや、わかってないな。
氷雪華はコーヒーを飲み干すと、支部長室に向かった。
支部長室と室名札の掛かった部屋には、エグゼクティブデスクに座る支部長のルイーズ橘がいた。
ハリウッドの女優のような風貌の、日系ハーフの美人だが、いつも険しい表情を見せていることから、近寄りがたい存在と見られている。
今も、パソコンに向かって眉間にシワを寄せている。
「ルイーズ」
「うわ!」
急に声をかけられて、ルイーズが大声を上げて驚く。
「なにしてんの?」
氷雪華がルイーズを睨みつけている。
「ちょっと、ノックくらいしなさいよ!」
「ノックしたよ・・・ゲームしてたのね?」
「し、し、してない、わよ・・・」
「支部長になったんだから、ちゃんと仕事を・・・」
「忙しすぎてゲームが出来ないのよ!ちょっとくらいいいじゃない!」
ルイーズが逆ギレする。
「で、何のご用ですか?支部長殿」
「あ〜、もうどうでもいいけど、命令違反しちゃあダメよ」
「あの通達が命令とは思えなかったので」
氷雪華がふざけてテヘペロをする。
「雪乃、これは友人として言わせてもらうけど、単独で突っ込むのはやめて!」
ルイーズが少し声を荒げて言った。
「心配してくれてるのはうれしいけど、敵は待ってくれないからね」
「あんた、体にいくつ傷跡あるの?」
「えっと・・・11くらいかな?」
「雪乃は女の子だよ」
「そのつもりだよ」
「はぁ〜、もういいわ、以上よ」
「ルイーズ」
「なに?」
「ありがとう」
氷雪華は笑顔で言った。
「落ち着いたら、ご飯行きましょう」
ルイーズも笑顔を返した。
ーーーよく、ここまで生きていられたわね、雪乃。




