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力の源

「集中せい」

クララが雪乃に指導する。


「はい!」


「指先にもっと集中じゃ!」


「あ!」


ガシャン!


「雪乃の負け〜!」

蘭子が雪乃を指さしながら言った。


「あの、クララさん?」


「なんじゃ?」


「これ、ジェンガですよね?」


「ああ、そうじゃが?」


「遊びですよね?」


「修行じゃ!」


「雪乃もまだまだだね、次は私から〜」

蘭子がジェンガを整え始めた。


「これは、なんの修行ですか?」

雪乃が腑に落ちない様子で訊ねた。


「集中力じゃよ」


「はあ・・・」

「あの、クララさん?」


「なんじゃ!?」

クララが眉間にシワを寄せる。


「魂を鍛えてくれるのでは?」


「・・・フゥ」

クララがため息をついた。

「それなら、もうやっておる」


「え?」


「雪乃よ、一つ教えておいてやろう」


「はい!」


「よいか?魂はいわば動力機関じゃ。そこから生まれる力を、体中へ巡らせる方法を学ぶ必要がある」


「え〜っと・・・?」

雪乃は腕組みして、首をかしげる。


「落ち込んだり、緊張していると、実力が出せんじゃろ?」


「確かにそうですね」


「古来より、気の流れを利用する気功など、様々な術が存在しておる」

「魂の力を引き出すには、気力と集中力を鍛えることが必須じゃ」


「はい!何となく理解しました!」


「最初の一年は、武術の修行は無しじゃ!竹刀も持つでない!」


「ええ!」


「ただし、トレーニングは欠かさずやるのじゃ!翡翠蘭と一緒に身体を鍛えておけ、よいな!?」


「はい!師匠!」

雪乃は引き締まった表情で言った。


「我のトレーニングは厳しいなりよ〜」

蘭子が雪乃の顔を覗き込むように見た。


「ふむ!よい返事じゃ!」


ーーーこやつの魂、昨日よりも力が増しておる、何か特別な変化が?


「雪乃、ワシの手を握ってみよ」

クララが右手を差し出す。


「はい?」

雪乃がその手を握る。


「この、かまぼこ板を左手に持つのじゃ」

クララが普通のかまぼこ板を雪乃に渡す。


「こうですかね?」

雪乃がかまぼこ板を手に取る。


「そのかまぼこ板を、この木のテーブルに突き刺してみよ」


「ええ!?そんな、かまぼこ板がテーブルに刺さるわけないですよ!」

雪乃は耳を疑った。


「いいからやるのじゃ!」

クララが鋭い目つきで雪乃を睨んだ。


「わ、わかりましたよ!ハァァァァ!」

雪乃はかまぼこ板を振り上げて、一気にテーブルへ振り下ろした。


ザクッ!


「え?」

雪乃は言葉を失った。


かまぼこ板が、テーブルに突き刺さっていたのだ。


「うむ」

クララは雪乃の手を離した。


「師匠、これは?」


「どういう手品なりか!?」


「これはほんの一部じゃ。雪乃、おぬしが魂の力を自在に扱えるようになれば、かまぼこ板で車を斬ることすら出来るじゃろう」 


「は、はい!」

ーーーこの人、本当に凄いんだ!


次の日、早朝。


「ふわぁ〜」

雪乃が伸びをしながら、大きなあくびをする。


「シャキッとしろ!」

蘭子が雪乃の背中を叩く。


「だって、まだ4時半ですよ〜」


「はいはい、文句言ってないで走るわよ〜」


「病院ではずっと寝てたけど、体力には自信あるんですよ」


二人は山の中を走り始めた。


「いつも、トレーニングは、どれくらい、してるん、ですか?」

雪乃が走りながら、たどたどしく訊ねた。


「そうなりね〜、三時間くらい走って、腕立て、腹筋、背筋、スクワットを1000回・・・を3セットなりかね」


「え!?」


ーーーそういえば、師匠が。


「翡翠蘭はのう、身体能力がチンパンジー並みじゃ」


「ぷぷー、え?チンパンジーですか?」


「何を笑ろうとる?」


ーーーバカにしてたわけじゃないけど、これは・・・


「雪乃!遅れてるなりよ」

気がつけば、翡翠蘭が50m程先を走っていた。


「は、はい!」


一時間半後。


「やはり、雪乃はおぬしについていけんかったか」

クララが翡翠蘭に言った。


「いやぁ~、まあ、最初はこんなもんなりよ。我も半分もメニューをこなせてないなりが・・・」

翡翠蘭がタオルで汗を拭きながら言った。


「はぁ、はぁ、はぁ」

その傍らで、雪乃が大の字になって倒れていた。


ーーー部活なんて、比じゃないわ!


「雪乃、朝食を食べたら、学校行くなりよ〜」


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