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朝からギルドの戸を開けてアリシアさんが入ってきた。
ずっとギルドの奥にボスと入り浸っていたせいか、なぜか新鮮に感じる。
「キリハさんおはよー……って、右のケースにあった依頼は?」
「おはようございます。期限が長いとはいえ全く手がついていなかったので、こちらで適当に他へ流しておきました」
「でもそれだけじゃないよね?」
「はい。しばらく動けない間に、いくつか溜まっていまして。いつもいつもお世話に……」
「今さらじゃん、気にしないで」
アリシアさんがフリーになった時のために、事前に分けておいた依頼書を並べていく。
「特に言うべきことはありません。アリシアさんからすれば取るに足らないものです」
「見たとこ私からも何も言うことはないかな。せっかくだから、数日かけて全部終わらせてくるね」
「助かります」
並べていた依頼書を全て回収していくアリシアさん、しかし途中でその手が止まる。
「にしては数が少ないような気もする」
「実はこちらでも、別途手軽に動かせる戦力を確保しまして。ボスがいる間はその方に任せていたため、この中でも弱いのは間引いてあるんですよね。これからもゼロとはいきませんが、回すことになる依頼は少なくできそうです」
「ある程度は頼れそう?」
「はい。まだ一人ですが、好き好んでこんなところで活動する強者で物好きなんて、そうそういませんから」
「それ私の前で言っちゃう?」
「おっと失礼」
まあ実際王都や栄えている地の方が、好待遇な依頼もあるであろうことを考えれば事実なのだが。
まとめた依頼書を小脇に抱えて外へ向かうアリシアさん。
「留守はよろしくねー」
「お気をつけてー」
なんかこういうやり取りも久々な気がするな。




