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第2章 第2話 どうやら危険な香りのするニヤけらしい

- 魔素の世界 -

《ポルファス王国 西部 ヤークション フクダン伯爵邸》


ヒーロこと、ヒーロスト・フォン・フクダンは夢を見ていた。


悪の王が、4人の戦士と戦っている。


女の人が弓で矢を放った。

その矢は、悪の王の何本もある腕の1本に刺さった。


悪の王は、苦しみながら矢が刺さった腕を自ら千切り捨てた。


ヒーロは、夢の中で目を覆う。


その戦いの様子を誰かが陰で見ている。

頭に被った高いハットには、怪しく光る眼がついている。

腕と足が異様に長い。

人だろうか?


その誰かは、なぜか喜びに悶えている。

何だかとても嬉しいみたいだ。


男の人が、光り輝く剣を悪の王に突き刺した。

悪の王が倒れ込んだ。


どうやら戦いは終わったようだ。


最後に止めを刺した男の人は、頭がとても痛いみたいで頭を抱えながら苦しんでいる。

でも、少したったら治ったみたいだ。


しばらくして、4人の戦士はどこかに行ってしまった。


ヒーロはその4人を追いかけようと思った。

しかし、自分の身体が動かない。


夢だからだ。

そうか、これは夢なんだとヒーロは気付いた。


陰で様子を見ていた誰かは、今度はなぜか怒っている。


その声が聞こえた。


「何であいつは、普通に自我を保つことができるのだ?」


そう言って地面を蹴っていた。

すると、その誰かと、はっきりと目が合ってしまった。


「これはこれは。どうやら僕ちゃんが至福を繋いでくれるようだね。」


ヒーロは怖くなった。

逃げ出したい。

でも身体が動かない。


その誰かが、ヒーロに近づいてくる。

高いハットに怪しく光る眼は・・・ニヤけている。


ヒーロは危険を感じた。

逃げないと。


「・・・ヒーロ・・・ヒーロ。」


誰かが呼ぶ声がする。


「ちっ。邪魔が入りましたか。」


その誰かは、足を止めた。


「君は、とても幸運なのだよ。すぐにまた会える。」


そう言うと、その誰かは姿を消した。


「・・・ヒーロ・・・ヒーロ。」


ベッドに横たわるヒーロは、身体を激しく揺り起こされていた。


「う~ん。」


ヒーロが目を覚ます。

何か嫌な夢を見ていたようで、気分はあまり優れない。


「ヒーロ!」


目の前にはケイルがいた。

そして、あの獣人の女の子も一緒だ。


ヒーロは、スケルトンに襲われたことを思い出した。

そして、慌てて辺りを見渡す。


自分の寝室だ。


「よかった・・・みんな助かったんだね・・・。」


ヒーロは安堵したのであった。


**************


異世界免許教習所ココカラ


僕は朝食を食べ終えた後、大賢者コマゾーの下に向かった。


ミアとポランは、審査の準備があるらしい。

今日は別行動になりそうだ。


MAPマップを見ると、コマゾーのいる建物の前に“青印”が2つ見られる。

建物の前には、コマゾーとキントンがいた。


「ふむ。レベル3になったようじゃにゃ。」

「おはようございます。」


コマゾーはジロジロと僕を見てくる。


具現制作者モデルメイカーをジョブに選択するとは・・・レアだにゃ。」

「やっぱり、レアですかね?」


「ふむ。儂は前例を聞いたことがないにゃ。」


大賢者が知らないなら、僕が初めてなんじゃないのだろうか・・・。

そんな気がしてきた。


「まあ良いにゃ。今日は見習いのキントンと一緒だにゃ。」


「ミライ殿、どうぞ宜しくお頼み申すでござる。」

「僕自身も見習い同然だからね。まだ分からないことだらけだよ。」


僕は昨日、初めての仕事クエストを達成した。

すると、見習いから新米にステータスが変化していた。


キントンの場合は、見習いと言ってもチート級だから、僕が吹かせれる先輩風など微塵もない。


「今日は何を教わるのでしょうか?」


僕はコマゾーに尋ねた。


コマゾーは、傾奇者が着ていそうな派手な着物の袖を翻すと、ニヤリとして答えた。


「今日は、儂とキントンと一緒に、これから仕事クエストに行くのにゃ。」

「・・・・・。」


「どうしたのにゃ。」

「それ、簡単な仕事クエストじゃないですよね?」


「もちろんだにゃ。」


僕は、ドン引きしてコマゾーを見た。


「あの。まだ僕はレベル3なんですけど・・・。」


コマゾーは、僕の話など聞いちゃいない。

右足で耳を掻いている。


「今回の行き先は“逸脱の世界”だにゃ。」

「はあ。」


「ふむ。では、仕事クエストを指示するにゃ。」


僕は、コマゾーから仕事クエストを指示された。


「いやいやいやいやっ! まだ僕には無理ですって!」


どうやら、ミアとポランだけではなく、僕も項垂うなだれてしまう一日になるらしい。


**************


その頃。


ミアとポランは、トボトボと所長の部屋という名の建物に辿り着いた。


憂鬱ゆううつだわ・・・。」

「なんで今回に限って、万物の世界なんでやんスかねw」


「あのクレイジー所長、きっと私たちを殺す気よ。」

「はぁ・・・溜息しか出ないでやんス。」


所長室の建物前にはミックの姿があった。

そのミックも、今回の審査の対象となっている。


ミアは、ミックにへばりつくと涙目で懇願した。


「一生のお願い!ミッチー、今日はか弱い乙女を全力で守ってね。」

「それだと、審査にならんだろうが。」


ミックが白い目でミアを見る。


ミアとポランがミックに縋りつく。

ミックは呆れて溜息をついた。


所長室の建物の光る扉から、所長のゴランが出てきた。


「おっ? 早いな。お前たち。」


ゴランが一歩踏み出すと、ドスンという音とともに地面が揺れる。


「今日の審査は、お前たちを含めて6人が対象だ。」


ミアとポランが、この世の終わりだという顔をしながら、ゴランを見上げる。


「準備が出来ているなら、先にお前たちだけでも行くか?」


「ああ。」

「ちょっ!ミッチー!ああ。じゃないわよ!」

「まだ心の準備ができてないでやんス。」


「しかし、審査は所長がするんじゃないのか?」

「そうだ。審査は所長である私が直接行う。」

「じゃあ、残りの3人が来るまで、待つ必要があるんじゃないか?」


ゴランはニヤリとした。


「それは大丈夫だ。」


すると、ゴランの左腕が、ドッスン!と派手な音をたてて地面に落ちた。


「はぁ~~~!!??」

「なななっ~~~!!??」

「!?」


その落ちた左腕は、ガチャガチャガチャと音をたてて形を変えていく。

そして、ミニゴーレム所長に変形した。


ミニとはいえ、まだ6mはあろう巨体ではある。


「なに?なに?なに?」

「なんで?なんで?なんでやんスか?」

「おいおいおい。」


3人は呆気に取られていた。


「ハッハッハッ。驚いたか。」

「ハッハッハッ。驚いたか。」


ミニゴーレム所長と巨大ゴーレム所長が同時に笑う。


「私は“合体形”のミスリルゴーレムだ。」


「はあっ!?」

「ええっ!?」

「おいおいおい。」


「7体が合体すると“完成型”となる。」


「じゃ、じゃあ、どれが本当の所長なんでやんスか?」

「全部、本当の私だ。」


3人は開いた口が塞がらない。


「さあ。転移の間に行こうか。」


ミニゴーレム所長が歩き出した。


「生きて戻ったら、絶対にミライに一発かますわ。」

「同感でやんス。クレイジーにも程があるでやんス。」

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