第2章 プロローグ
万物の世界。
そこは、8つの世界の中で最も“小さな世界”である。
そして、8つの世界の中で、全ての系統種族の存在が認められている唯一の世界である。
“竜獣系”が主となるこの世界には、国というものは存在しない。
否。
正確に表現すれば、存在することができないというのが正しい。
かつて、この世界は争いがなく平和な世界であった。
しかし、それは過去のことである。
いまは違う。
なぜなら、この世界は11時間ごとに1時間の“厄災”が訪れる。
その厄災に生き残ることが、この世界の全てだ。
いつから、そしてなぜ、この厄災が起きるようになったのか、その理由を知る者はいない。
11時間ごとに訪れる1時間の厄災。
それは、生物にとって絶望しかない。
その厄災は、まるで“呪い”であるかのように繰り返される。
必ずその時間が来ると、空は反転して“蒼紫色”に変わる。
夜であっても、蒼紫色に染まるのだ。
その空の色の変化がまるで合図となるかのように、全ての竜獣系は狂乱する。
文字通り、世界中で狂い暴れるのだ。
安全な場所などない。
空であろうが、水の中であろうが、地の底であろうが、安全な逃げ場など何処にもないのだ。
1時間を経過すると、その厄災は何事もなかったかのように収まる。
しかも、狂乱した竜獣系には、その1時間の記憶はない。
厄災が終わると、全ての竜獣系は自分の住処に平然と戻っていくのである。
そしてまた、11時間後に同じことを繰り返す。
それはまるで、神に見放された世界であるかのように。
***************
- 異世界免許教習所 -
僕は朝早くに目が覚めて、一人で湖の畔に来ていた。
レベル3になった。
そして、具現制作者をジョブに選択した。
かつての僕。
初代所長のミライの像を眺める。
かつての僕は、ゴーレムクリエイターであった。
何度も転生を繰り返しているようで、その当時の記憶は欠片すらない。
いまの僕は、“創出”よりも“創作”する方が向いている。
あの呪いの道具の呪縛を解いた時、そう確信したのだ。
異世界免許教習所に雇われし者となって、まだ3日目である。
新たな始まりの予感がする。
それに興奮して、僕は朝早くに目が覚めたのであった。
MAPに“青色”が2つ表示された。
それは、オリハルコンゴーレムのキントンと黒色のゴーレムであった。
どうやら湖の中に潜っていたらしい。
「おお。ミライ殿でござるか。」
「もう日が明けたようだね。はじめまして、かつての創造主君。」
さあ。
僕の3日目が始まろうとしている。




