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第1章 第27話 どうやら戦いは苛烈を極めているらしい

- 秘宝の世界 -


導きの迷宮は、某ファンタジーランドで人気の“ビッグ●ンダーマウンテン”のような外観であり、空高くそびえ立っていた。


その出入口に近い場所は、町の中心部となっており人口密度が高い。

レトロな看板が目立つ商店が数多く立ち並んでいて賑わっていた。


導きの迷宮には、軽武装した人たちが出入りしている。


この秘宝の世界では、冒険者ならぬ“探究者”という職業があると、ポランに教えてもらった。


どうやら、この世界には、至る所に迷宮があるらしい。

迷宮は、国や町の管理下に置かれているわけではなく、迷宮内で生きるも死ぬも自己責任になるそうだ。


僕らは導きの迷宮の中に入り、その1層を奥に向かって進んでいた。


導きの迷宮の出入口付近には灯りが点されていた。

しかし、奥に行くほど徐々に暗闇へと変化していく。


僕らと同じタイミングで導きの迷宮に入った探究者たちがいたが、迷宮に入ってすぐの場所にあった階段から2層に上がって行った。


この1層で得られるものは灯石アカリイシしかなく、灯石アカリイシはこの世界ではポピュラーなものだそうだ。


それではたいした稼ぎにはならない為、1層は人気が全くないらしい。


「さて、どうやって灯石アカリイシを探そうかな?」


初めて訪れた場所であり、初めての仕事クエストである。

そもそも、灯石アカリイシが何なのかもよく分かっていない。


たぶん、電灯として使われる石だとは思う。

この迷宮の出入口を照らしていたのも灯石アカリイシだろう。


迷宮の中は、真っ暗になってしまった。

しかし、ミアが身体を光らせてくれていることで、暗闇の中でも歩くのはあまり苦ではない。


「そういえば、ここには危険なトラップとかはないの?」

「この迷宮にはないわ。」


僕はMAPマップを見ながら、この先がT字路になっていることを確認した。

因みにモンスターを表示する“赤印”は、どこにも見当たらない。


T字路まで歩いて来た。

こういう時、僕は左に曲がりたい派である。


「ぜー君、どっちに行く方が良いと思う?」

「右を曲がって進んだ先に“黄色印”が幾つか見えます。」


「あ。確かにあるね。」

「そこで、誰かが灯石アカリイシを探しているのではないでしょうか。」


「おぉう。鋭いね。」


確かにその可能性は高い。

むやみやたらに探し回るよりも確実かもしれない。


「よしっ!右を行こう!」

「はい。」


僕らは右に曲がった。


しばらく歩くと、その先に明かりが見えてきた。

ポランが“黒い犬もどき”に姿を変え、ポランの上に乗っているミアが“透過”でその姿を消す。


どうやら、そこには誰かがいるようだ。


****************


- 魔素の世界 -

《マリブ村 野営地》


ミズナが叫んだ。


音速斬ソニックブーム!」


自身に“加速”のスキルをかけたミズナは、電光石火の如く直線状に動いた。

そして、すれ違いざまにデススペクターを切り裂く。


その様子を見ていた私兵騎士たちから歓声が起こる。


しかし、ミズナは違和感を持った。

あまりにも手応えがないのだ。


デススペクターは、その歪んで幾重にも重なって見える身体を醜くよじらせたものの、何事もなかったかのように大きな鎌を振りかぶった。


その鎌をミズナに向かって振り下ろす。


「っ!!」


ミズナは剣でその攻撃を受け止めたものの、バランスを大きく崩してしまった。


「ギュエヲォォォォォォ!」


デススペクターが絶叫の声を上げる。


その声を聞いたミズナの身体に異変が起こる。

急に身体が硬直したのを感じたのであった。


まずい!


ズバシャッ!


その瞬間、デススペクターが振るった鎌の斬撃をミズナは受けてしまった。

ミズナの左腕が地面に転がり落ちる。


「ミズナ様ぁっ!!!!」


私兵騎士たちに大きな動揺が走った。

皆がミズナを助けようと動き出したことで、陣形に大きな乱れが生じている。


「っ!だ、だめっ!」


ミズナは何とか声を出そうとするが、出血と痛みで声が出ない。


「ギュエヲォォォォォォ!」


私兵騎士たちに向かって、デススペクターが再び絶叫の声を上げた。

その声を聞いた私兵騎士たちの動きが止まる。


そこに死の騎士デスナイトの群れが襲い掛かった。


私兵騎士たちは、一気に敵の群衆に飲み込まれていく。


「ぐはぁっ!」

「うぐぁ!」


次々と倒れ込んでいく私兵騎士たち。


ミズナは必死に意識を保ちながら、デススペクターの背中に剣を突き刺した。

しかし、やはり手応えは全くない。


デススペクターはミズナを左手で払い飛ばすと、倒れ込んだミズナの身体に大きな鎌を振り下ろした。


死の軍団は、ついにマリブ村にもなだれ込んで行った。


「やめ・・・て・・・」


ミズナは、薄れゆく意識の中、村人の悲鳴をその耳にしたのであった。


****************


《ポルファス王国 南部》


その頃。

ポルファス王国南部の戦いは、苛烈を極めていた。


【開戦時の状況】

      カモット辺境伯率いる私兵騎士隊

        1千     3千    1千

 山     □□□  □□□  □□□

    ―――――――――――――――――――

       ↑↑↑↑   ↑↑   ↑↑↑↑

    ■■■■■■■■ ●● ■■■■■■■■

 平原 イバラン兵8千 結合点 マイラン兵8千

                2千

       ■           ■

     イバラン本陣     マイラン本陣

        1千         1千


イバラン国とマイラン国の連合軍が、一斉に山を駆け登る。


それに対するポルファス王国軍の私兵騎士隊は、右翼をカモット自ら率いる1千、左翼をカモットの息子が率いる1千、中央を私兵騎士隊長が率いる3千という布陣で連合軍を迎え撃った。


王国軍両翼の私兵騎士隊はクロスボウで敵を迎え撃ち、登ってくる連合軍を次々に撃ち落としていく。


連合軍の陣形に乱れが出たことを確認したカモットは、即座に次の指示を出した。


中央に布陣する私兵騎士隊長率いる3千は、そのカモットの指示を確認するなり、全員が一気に山を駆け下りて“敵の結合点”を攻める。


  【現在の状況】

      息子     隊長   カモット

       1千      3千      1千

     □ □ □   □□□   □ □ □

     ↑↑↑↑    ↓    ↑↑↑↑

     ■  ■    ●●  ■  ■

 山  ■  ■  ■ 結合点 ■  ■ ■ 

     ■ ■ ■      ■ ■ ■

    ―――――――――――――――――――

 平原    ■           ■

     イバラン本陣      マイラン本陣


それは、イバランとマイランの連合軍が“にわか”で作られた点をついた作戦であった。

敵の弱点は、その連携の弱さである。


  【進捗】

      息子         カモット

       1千    隊長    1千

     □ □ □   3千   □ □ □

     ■ ■ ■  □□□ ■ ■ ■

 山   ■  ■    ●●  ■  ■

    ■  ■  ■     ■  ■ ■ 

    ―――――――――――――――――――

 平原    ■          ■

     イバラン本陣     マイラン本陣


それにより、私兵騎士隊長が率いる3千は“敵の結合点”に大打撃を加えることに成功した。


結合点の壊滅に危機感を持ったマイランの兵は、結合点を守るべく兵を動かそうとする。

その動きを見たカモットが、次の指示を出した。


敵側面に伏せておいた“王国騎士常駐隊”の2千を、ここで繰り出したのであった。

それは、見事にマイラン兵の側面を叩いた。


  【進捗】

      息子         カモット

       1千    隊長    1千

      □ □ □  3千    □ □ □

     ■ ■ ■  □□□■  ■ ■□常駐隊

 山   ■ ■■    ■■ ■ ■ ■ □2千

     ■   ■ ●     ●    □

    ―――――――――――――――――――

 平原     ■          ■

      イバラン本陣     マイラン本陣


急に側面から現れた敵に襲われたマイラン兵は、一気に瓦解しはじめる。

形勢不利と見た連合軍は、一度体制を整え直すべく撤退の銅鑼を鳴らしたのであった。


こうして、後に“シキニ山地の戦い”と呼ばれるこの戦いのはじまりは、まずはカモット辺境伯率いるポルファス王国南部軍に軍配が上がったのであった。


****************


一方、その頃。


ポルファス王国西部の都市ヤークションを目指していたウォルス、ジーニャ、エレンの3人であったが、その行く先に“赤印”がMAPマップに記されているのを確認していた。


先を急ぐ。


「ウォルス、もっと早くならんのさね!」

「もう馬が限界じゃ!しかし、やっと見えてきたぞ!」


3人が急いで向かっている先には、村があるようだ。


MAPマップの“黄色印”が次々と消えていく。

村人が“赤印”に襲われていることに間違いないだろう。


「ちょっと、厄介なのがいるようさね。」


光精霊であるジーニャは、いち早くその“赤印”が闇属性の敵であることを肌で感じ取った。

そして、その敵の中には“強者”が存在するようだ。


「オリオンかしら?」


エレンが、ジーニャに聞いた。


「分からないさね。ただ、雑魚ばかりじゃないようさね。」

 

ジーニャは、大きく揺れながら走る馬車の上によじ登った。

向かう先から、悲鳴が上がっているのが聞こえてくる。


「まずは、一発“かます”さね。」


ジーニャは、馬車の上に立ち上がると、両手に持った杖を上にかざした。

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