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第1章 第22話 どうやら武器と防具は最低ランクらしい

僕たち4人は、八つやつどきで貰ったクッキーを頬張りながら、爽やかな柑橘系のジュースを片手に“鍛冶場”に向かって歩いていた。


このクッキーは、お掃除ゴーレムと同じ銅色のゴーレムが、屋台のようなもの所々で曳いていて飲み物と一緒に配っていた。


本当にゴーレムは働き者だと思う。

MAPマップにはゴーレムの位置が表示されない為、運が悪いと食べ損ねることがあるそうだ。


「やっぱり武器と防具も創造神さまの恩恵で頂戴できるのかな?」

「もちろんでやんス。」

「レベルによって、装備できるものは限られるわ。」


「じゃあ、僕とぜー君はレベル1だから期待できないよね。」

「そうね。あたりまえよ。」


鍛冶場は熱気に溢れていた。

やはり鍛冶職定番の“ドワーフ”が中心となって作業が行われているようである。


僕らは、その姿を遠目に見ながらそこを横切ると、鍛冶場の横にある建物の中に入った。


建物の中には、壁や棚一面に様々な武器と色々な防具が置かれてあった。

各武器や防具には、強さと特徴などの説明書きがされている。


その中には見覚えのある“白衣”もあった。

救護室で最初にエレンを見た際、そのエレンが着用していたものだ。


どうやら白衣は防具になるらしい。

しかも、防御力30とかなり高い。


「どうやって武器と防具を選べばいいの?」

「基本、自由よ。」

「ここにある武器と防具は、自由に持って行って良いでやんス。」


「レベルが高くなったら、自分専用の特注品を鍛冶場で作ってもらえるようになるわ。」

「オイラも早く、そんな立場になりたいでやんス。」


ポランはブラックタールである。

ブラックタールは、基本的に自身の形状変化を妨げる防具は装備できないらしい。


僕らはそれぞれ、自分に合う武器と防具を見て回った。


*********************


- 魔素の世界 -

《ポルファス王国 王宮 謁見の間》


その頃。


ポルファス王国 王宮 謁見の間には多くの貴族たちが集まっていた。

隣国モルカットに異変ありとの情報を聞きつけて集まった貴族たちである。


王の姿はまだここにはない。

貴族と文官が騒がしく意見を言い合っている状態が続いており、その周りでは若干数の王国騎士が呆れ半分でその言い争いを見守っていた。


「なぜオルタスの姿がここにないのだ! どこに行った!?」


鼻持ちならぬ顔と態度の貴族たちが、文官や王国騎士を責め立てている。


「軍団長は、昨夜遅くに隣国モルカットの異変を確認しに行かれました故・・・。」


「そんなことは聞いてはおらん!」

「軍団長が、自ら勝手な行動をして良いのか!?」

「これだから、平民は!」


貴族の中でも特に身なりの良い男が、一歩前に歩み出てきた。

そして、文官と王国騎士に冷めた目を向けて口を開く。


「王国騎士軍団長たる者が、勝手な振る舞いをしたことは厳罰に値するであろう。」

「シーラオス侯爵閣下!それは誤解でございます!」

「何じゃ?貴様は、誰の許しを得て我に意見をしているのか? おっ?」


シーラオス侯爵と呼ばれた背の低い男が王国騎士を睨みつける。

シーラオスは貴族の中でも、特に強い差別意識を持っている男である。


平民の身分ながらも王国騎士軍団長にまで登りつめているオルタスを心底嫌っており、ほとんどが平民出身である王国騎士軍団など、人とは思っていない性格をしている。


「よさぬか、シーラオス。」


その喧騒の中、ポルファス王と王宮魔導士が謁見の間に入ってきた。

瞬時に場が静まる。


「オルタスには、が許しを与えておる。」


王は玉座に座ると全員を見渡した。


その王の姿を確認した王宮魔導士は、王に一礼して一歩前に踏み出すと貴族たちに向かって言葉を発しはじめる。


「先程、南部より使い鳩が届いた。」


1拍の間を置いて、さらに王宮魔導士がその内容を告げる。


「南部領内にて異変あり。敵詳細不明多数。我、出陣す。との知らせである。」


それを聞いた貴族たちの中で、どよめきが起こる。


ポルファス王が、それを右手で制した。


「詳しいことは分からぬ。ただ、は戦が起きたものと判断した。」


再び、貴族たちの中でどよめきが起こる。


ポルファス王国の南部。

その領地を治めているのは、“カモット辺境伯”である。


辺境伯とは、伯爵よりも上位の爵位であり侯爵に近い立場となる。

約50年前に起きた国同士の領地争いが激化した時代、当時の南部にあった国々を平定して、ポルファス王国の領地拡大に大きく貢献したのが、現領主であるカモット辺境伯であった。


カモット辺境伯は、その当時はまだ年が若かったものの軍略家としての才が非常に高く、領地争いに於いて多大なる成果を挙げたのであった。


そして現在は、齢70を超える老齢となっているが、未だ壮健であった。

その息子もまた“才に恵まれている”ことで知られている。


「カモットめ、この戦で戦果を挙げて、息子に代を譲る口実にする気だな。」

「カモットばかり戦果を得るのは癪に障る。」

「それにしても、どの国が我が王国に戦を仕掛けてきたというのだ?」


その姿を眺めていたポルファス王が口を開いた。


ふみには敵多数とあった。その為、王国騎士軍団を援軍として2万出す。」


貴族たちの中で、大きなどよめきが起こる。


ポルファス王国の王国騎士軍団は、総勢6万の騎士で構成されている。

その3分の1の勢力となると、よほど大きな戦がない限りは出撃することのない数字であった。


「さらに魔導士を100だ。誰ぞ、これを率いる者はおらぬか?」


貴族の間で喝采の声が起こった。


「2万の大軍など、見たことがないぞ。」

「さらに魔導士が100だ。」

「南部は遠いの。今から出ても3日はかかるぞ。」

「カモットが窮地にあれば、大きな“貸し”を作れるのも一興。」

「これだけの軍を率いるとなれば、歴史に名を残そうぞ。」


貴族たちの間で、それぞれの思惑と打算の入り混じった意見が飛び交う。


「その援軍の総指揮官の役目、どうかこのシーラオスにお命じ下され。」


シーラオスが貴族たちの中から一歩踏み出すと、王の前に片膝をついて跪いた。


「我が私兵騎士隊からも5千を出しましょう。その上で、必ずや南部の異変を平定してみせましょう。」


シーラオスが自信満々で宣言をした。

そのシーラオスの言を聞いた貴族たちから称賛の声が挙がる。


シーラオスに続いて、数人の貴族が王に申し出てきた。

それによって、シーラオス侯爵を総指揮官とした総勢3万を超える援軍が組まれたのであった。


*********************


《ポルファス王国 西部 ヤークション》


一方、その頃。


城郭都市ヤークションからは、若き女性騎士のミズナが率いた私兵騎士隊100騎が出て行った。

一旦の目的地は、隣国モルカットにほど近い場所にあるマリブ村である。


時を同じくして、このヤークションには使い鳩が届いていた。

南部領主のカモット辺境伯からである。


そのふみを手にした男。


「我が南部領内で異変あり。敵詳細不明多数。貴殿も気をつけたし。だそうだ。」


それを読むと、男はふみを手の中で握りつぶした。

その男は、目付け役として王宮よりヤークションに派遣されている“男爵”である。


ヤークションでは副官という立場にあり、その名を“マルカー”という。

周囲からは、“嘘つきマルカー”と陰で揶揄されている人物であった。


「フクダン伯爵には、使い鳩の知らせを入れずによろしいのですか?」


嘘つきマルカーの数少ない子飼いの部下が尋ねた。


「ふん。南部で何があろうと関係なかろう。」


マルカーはそういうと、手の中で握りつぶしたふみをビリビリに破り捨てた。


「それでは、このフクダン伯爵から指示を受けた王宮に使い鳩を飛ばす手筈のふみは、如何しましょうか?」

「捨て置け。」


「本当によろしいので?」

「何者かが、このヤークション領を攻めてくるなら、それはそれで良し。」


「と、言いますと?」

「フクダンめが何らかの事故に巻き込まれれば、我に日の目が当たるというものよ。」


「もし、何らかの混乱が生じた場合は、それに乗じまするか?」

「ククク。みなまで言わすな。」


マルカーは不敵な顔をして眼鏡をかけ直した。

そして、その神経質な程に細身の体を捩り、笑いを堪えるのであった。


こうして、フクダン伯爵が王宮に指示を仰ぐ為の使い鳩は飛ぶことなく、カモット辺境伯から届いた忠告のふみも“嘘つきマルカー”の手で消されていた。


*********************


異世界免許教習所ココカラ


僕らは、自分たちが装備できる武器と防具を手に取っていた。


●僕・・・・・・短い剣、皮の鎧

●ゼフェル・・・短い剣、皮の鎧

●ミア・・・・・武器なし、防具なし

●ポラン・・・・獣牙のグローブ、防具なし


「ミアは、何も装備しないの?」

「だって、私が戦うことないし、装備したら“透過”が使えなくて不便じゃん。」

「オイラも防具をつけたら形状変化できないから、武器だけにするでやんス。」


ゼフェルは無言だ。

でも、心なしか少しだけ楽し気にした雰囲気が感じられる。


「ミライは、これを背負って行くでやんス。」


ポランはそう言うと、皮でできた“リュックサック”を手に取った。


少しランドセルに近い形をしている為、ちょっと担ぐのが恥ずかしい気がする。

僕は、そのリュックサックの中に木のゴーレムから貰った“何かの実”を入れて、背中に担いだ。


「もう16時前じゃないっ! 早く行かないと夜ご飯までに帰れなくなるわっ!」

「念の為、回復薬とかも持って行くでやんス。」


「ここには無いよね?」

「救護室で貰っていくでやんス。」

「早くしましょ。絶対に夜ご飯までには帰るわよっ!」


僕らは、急いで救護室に向かった。


ミアは、いつも通りに救護室の扉をすり抜けて入る。

僕らは、救護室の扉をノックして中に入った。


エレンに会えるかもと少し期待していたが、救護室にいたのは“白衣を着た老婆”であった。

何か“人に魚類が混じっている”ような感じの見た目である。


「この時間から仕事クエストかぇ?」

「そうよっ!回復薬と毒消しを何本か貰ってくねっ!」


「新顔がおるようだねぇ。気をつけて行きんさいよぉ。」


ミアとポランが、リュックサックの中に物をどんどん突っ込んでいく。


準備は整った。

いざ!“秘宝の世界”へ!

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