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Renion Bridge (再会橋、再び出会う場所)  作者: 池端 竜之介
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Remains (いつも傍に)

続けての投稿です。どうしても書きたかったので!! 今時 こんな小説は受けませんね

聖書朗読が静かな教会の中に、響いた。

神父の祈りの声と、屋根を叩く雨音、そして嗚咽の声が響いていた。


ヨハネの福音書11章25節―26節


「イエスは言われた。

『わたしは、よみがえりです。いのちです。

わたしを信じる者は、死んでも生きるのです。」」


 あの日から、秋生はひどく冷静になっていた。

自分が何をしたいのか、すべきなのかをノートに書き連ねた。

片時も、真理愛の傍を離れることなかった。

亡くなった日は、一晩中一睡もせずにずっとそばにいた。

次の日には、町に出て真理愛のための買い物をした。

葬儀のミサが終わり、告別式に移っても、淡々としていた。


実際、真理愛の葬儀のミサも店のお姉さんたちと、数人の真理愛の知り合いくらいで、本当の親類や肉親は来ていなかった。

狭い町だ、どんな仕事をしていたかくらいはわかる。


神父の祈りの言葉が終わるとオルガンの音色が流れて参列者は小さな紙を手に持って讃美歌を歌っていた。

秋生は、讃美歌の"また会う日まで また会う日まで"と繰り返される歌詞が、心に刻み込まれた。


棺の中の真理愛は、純白のウエディングドレスに包まれていた。

胸の前で組まれた手には、真っ白なウエディンググローブかはめられていた。

ファンデーションと口紅で、まるで眠っているかのようだった。

頬の薄いチークと長いまつげの上のアイシャドーに書かれた眉がきれいだった。

きっと、目を開けてたら大きな黒い瞳で秋生を見つめてくれただろう。

だが、もうその瞳が開かれることはない。

その美しい、花嫁姿を見た参列者は、皆涙していた。

秋生を除いては


秋生は、ずっと真理愛と会話していた。


いつか、ミサの帰りに真理愛と見た結婚式で、ライスシャワーの中ではしゃぐ新郎新婦を見た真理愛が


 "ウェディングドレスってすてき"


と言っていたことを思いだしていた。

秋生の頭の片隅にも、真理愛のウェディングドレス姿があった。

すらりとした肢体にきっと似合うと思っていた。

そのとおりに、真理愛に白いウェディングドレスがとても似合っていた。

頬の高さまで、花にうずまった真理愛が嬉しそうに見えた。


献花が終わり、霊柩車が長いフォーンを鳴らして走りだした。

秋生は、真理愛の横に、ずっと座っていた。


火葬場に着くと、最後のお別れだと促され。


棺のふたが開けられた。

眠っているかのような、真理愛の顔があった。

秋生は最後だと思ったが、頭の中では、ずっと真理愛が笑っていた。


そして最後に点火のボタンが押された。


外は台風の後、秋風が吹きだして気温が下がっていた。


目の前に、セブンスターの星印が差し出された。

秋生は、一本引き抜くと、目の前てZippoのふたがカランとなり火が付いた。


 「大丈夫か」

と山口がいった。

秋生は頷いた。


「とうとう、家の奴は誰も来なかったな」


とさみしそうに山口は言った。


「お姉さんたちも来てくれたし、山口さんも」


と秋生はすまなさそうにしていた。


 「きれいな顔だったな、真理愛」

と山口がいった。

秋生は素直にうなづいた。


 「最後に、お前に出会ってよかったのかもな。」

と言って山口は、煙草の煙を深く吸い込んだ。


秋生は、灰になっていく煙草の先を見つめていた。


 「真理愛の墓、俺・・・建ててもいいですか」


と秋生は言った。どうせ真理愛の親類の墓にも入れないだろう。

と秋生は思っていた。


 「金かかるぞ」

と山口はいって、

 「分かった、伝手を調べてみる」

とうなづいた。


 火葬場の煙突から、黒い煙があがりいつしか、薄墨色になっていた。


 



 目の前には、白い骨壺かおかれていた。

 この中に真理愛が入っているとは思えなかった。

 

 骨上げで足から拾ってったが、最後にあの世でも話せるようにとのどぼとけをひろって収めた。

 秋生の狭いアパートの中に祭壇が築かれていて、花に囲まれた真理愛の遺影が笑っていた。


 山口か帰った後、独りになった秋生は、家の前の骨壺を目の前にして座っていた。


 秋生はリュックの中から、四角のケースを取り出した。

 蓋を開けると、2つのリングが入っていた。

 

 秋生は、骨壺のふたを開けて、骨上げの時にあらかじめ小さく砕いておいた左指の骨を取り出した。

 さらにリュックから、ピルケースの付いたネックレスを取り出した。

 ビルケースに、骨のかけらを入れてチェーンに指輪を2つ通した。


 「これで、ずーと一緒にいれるよ。真理愛」

といって秋生は首からペンダントをかけた。


 かすかに、鈴の音が聞こえた。

 リュックの横のカラビナにかかった、真理愛の宝物だった鈴がなっていた。


 「真理愛、お帰り」


と秋生は、胸のビルケースを握り締めた。

病院で泣いたから、一度も流れなかった。涙があふれてきた。

そして、猛烈な空腹を覚えた。


山口が、腹がへったら食えと言っておいてくれていたハンバーガーにかぶりついた。

そういえば、真理愛もすきだったものだ。

食べると猛烈な眠気が襲ってきた。


秋生は、骨壺を抱きしめて幼子のように背を丸めて眠りに落ちていった。

もう、目を覚まさなくてもいいと思いながら、泣きながら、両腕手で骨壺を抱きしめていた。


 




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