「戴冠式」
村に到着すると、クラーク村、ゾルビン村の住民みんなが集まり、拍手で出迎えてくれた。クルーシア、チルサルが村のみんなに事情を説明すると、何も不思議に思わず、ドッっと喜んだ後、ウキウキで戴冠式の準備をし始めた。村の人数を合計すると、だいたい50人ほどだ。その中に、思い入れのある人物の姿が目に入る。
「あーー!!ラグおばさん!!」
「あらあら、今日はいつにも増して元気だね。錦木さんも、色々あったようですが、無事で何よりです。」
ラグおばさんだ。クルーシアはラグおばさんを見つけ、尻尾をブンブンと振りながらラグおばさんに抱きつく。勿論、ゴロゴロと鳴きながら。
「ねえねえ!私、錦木の王妃になるの!」
「はいはい、さっき聞きましたよ。良かったね。でも、錦木さんはあまり乗り気ではないし、巻き込まれた身なんだから、あまり無茶させちゃダメだよ?」
「分かってる!それでさ...!」
とめどないクルーシアの会話がラグおばさんに降りかかる。知っていた事だが、こうしてみると完全に親に甘える子供だ。ラグおばさんも嬉しいだろうな。ラグおばさんだけじゃない、村のみんなの宝なんだもんな、クルーシアは。俺はただの人間で、獣のような力も、傷を癒す魔法も使えない。それなのに宝を預けてくれてる。俺はクルーシアに守られてばかりだ。俺もしっかり守らないとな。
ーーーーー2日後 戴冠式当日
「うおおおお!!!錦木さーーん!!」
「村の宝のクルーシアがまさか...こんな嬉しい事はないっ...!」
「錦木ーー!!おめでとー!」
クラーク村で戴冠式が行われた。チルサルから木で作られた王冠を戴冠されると、とんでもない歓声が聞こえた。全く棘がなく、柔らかくて心地がいい。
ちなみに、王になったら「様」と呼ばれるのが通常だが、俺はいつも通りでいたいから意地張っていつもの「さん」付けにしてもらった。
「錦木!見て!久しぶりにこれ着たの!」
クルーシアが出会った当初に着ていた、ドレスを着ていた。これをみると俺も感慨深くなる。ただの異世界から来たカップラーメンしか持ち合わせない人間の事を、村のみんなは優しく接してくれた。感謝だ。
「うぅ...久しぶりに見た...この村の活気...その一役にクルーシア.....。」
簡易ステージの上に俺とクルーシアが登って戴冠式を行っていたが、最前列にいたラグおばはんがクシャクシャになるまで泣いていた。よく見ると、観客のお年寄りの方の大体が大泣きしていた。...そういえば、ラグおばさん言ってたな。「昔は活気があって楽しかったけど、奪われた」って。
「...良かった。俺、嬉しい。」
俺は思わず声が出てしまった。だが、それと同時にあることを思い出す。
【残りのカップラーメン数】 286個
「カップラーメン1年分が当たった俺、貧困異世界で無双する」を読んでくださり、ありがとうございます。
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