恩返し(カップラーメンで)
「すまねえ…錦木。全く動けねえ…。」
包帯ぐるぐる巻きで仰向け状態のミルジが申し訳なさそうに謝ってきた。そして初めて俺の名前を呼んでくれた。
「いいよいいよ。兄貴分のミルトがあんな状態じゃ、食わせれるのは俺だけだろ。住民達もカップラーメンに夢中だし。」
「…俺、この景色が好きなんだ。このみんなが和気藹々としてる感じの。」
突然、ミルジが自分語りのようなものを始めた。
「この景色を守るには、ゾルビン村の皆んなの最低限の元気、活気がないといけなくて、それでなんとかパンダの獣人の攻撃を耐えて食料を手に入れてたんだ。正直寂しかった。だから、見つけてくれて嬉しかった。」
ミルジが空をまっすぐ見上げながら、まっすぐな気持ちを伝えてきてくれた。なんだ、以外と素直なところあるじゃん。かわいいやつだな。でも、俺も嬉しい。正直な気持ちを伝える事は、友人関係、対等関係でも中々難しい。
「こちらこそ。ありがとう。素直に打ち明けてくれて。」
俺は純粋な気持ちを、純粋な枠組み通りに言葉を送り返した。
「…さて、そろそろだな。皆さん!3分が経過したので、蓋を開けて食べてください!」
「おお!」
「早く食べよ食べよ!」
「ワン!」
住民達、ミルトが一斉にカップラーメンを食し始める。辺りには美味しそうな香り、湯気に包まれる。カップラーメンのこの前置きはパチンコでいう先バレだろう。
「おいしーー!!」
「な、なんだ…この食べ物、美味すぎる…。」
どうやらゾルビン村のみんなの心も鷲掴みにできたようだ。あまりの美味しさに箸を落とす者がちらほらいた。…さて、ミルジにも食べさせてあげるか。俺は醤油味のカップラーメンを、かやくの卵を含みながら麺をすくい、ミルジの口へと運んだ。
「…うめえ…。なんなんだこの食べ物は…。こりゃ、世界を変える味だぜ…。」
ミルジがまたまた感動していた。「世界を変える味」か…。確かに、新しい美味いカップラーメンに出会うたびに、俺もそんなこと考えてるな。ゾルビン村の住民達、ミルトがチラチラと美味そうにカップラーメンを食べるミルジを笑顔で見ている。直接「恩返し」って言ってしまうと、ミルジは恥ずかしがるだろうし、やりがいも無くなってしまいそうだから言ってないけど、少しは恩返しができてそうでよかった。
【残りのカップラーメン数】 296個
「カップラーメン1年分が当たった俺、貧困異世界で無双する」を読んでくださり、ありがとうございます。
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